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「やめる決断」は効用不明のおまじない?

「仕事やめたい」幾度となく口に出してきたが、今回は本気だ。

「やめたい」ということでストレス発散をしたり、「やめたい」とはいえ、やめる行動力がなかったり。

ただ、今回のコロナ休暇で時間があったので転職について考えるのにいい機会だった。ある程度、転職時期や計画については決まりつつある。

辞めたい理由としては、同時に裁かなければいけない仕事量の多さ、接客しながら電話とったり、来店による事務作業の中断、残業しても仕事が終わらず、マルチタスク中にミスしたり、業務量が多くミスしたりして上司に強く怒られる日々・・。どんなに対策しても同じことの繰り返しにふがいなさを感じ辛くなってしまったからだ。就活していた時の第一希望の会社で働き続けることができなかった事実、お世話になった方々の顔を思うとくやしさが募る。

それでも、未来を想像するとこのまま行動しないと、後悔すると思った。

すぐに引っ越しできるように段ボールにものを詰めたり、人に宣言したり、転職サイトに登録して担当者と話すなど、固めた決意を逃がさないように行動している。

というのも、私はあまり物事をやめる、ということができないタイプの人間だからである。

理由は多々あるのだと思う。「少しずつでも続ければ現状打破できると思っている」「お世話になっている人への義理」「行動力がない」などなど。

あとは「やめると腹をくくった後におこるなぞの現象」もなかなか物事についてやめるに至らないのも理由の一つだと思う。

                ◇

心の中で、来年には転職する計画を立てている私は、「いく、いる」を徹底することにした。

「(仕事場に)いく、(仕事場に)いる」

義務さえこなしていれば、多くを求めなければこれ以上嫌な思いはしないと思った。今の私にとっては大きい仕事も成果も興味はなかった。マルチタスクでミスして叱咤されるくらいならしないし、残業してまでする仕事量はこなさない。

とにかく大事なのは「自分のメンタル」と「お客様に迷惑をかけないこと」と強く胸に誓った。

そんなポリシーを持っての初出社は上長との二人出社。

いつもと変わらず業務をこなしていた。異なる点と言えば、お客様が来店している間になるべくすべての業務を簡潔させようとした。以前であれば、お待たせするのを嫌って、後回しにできる行為はお客様退店後へ後回しにしていたため忙しい時は残業するしかなかった。営業時間=勤務時間なので。これには「その場ですべてを確認するので、ミスにすぐ気が付ける」という点で、後々お客さまとのトラブルも防げる。以前は残業が多く、集中力が続かなくミスしてしまったというパターンも多かった。  

淡々と業務に向き合っていたのだが、試練は訪れた。

上長が昼休みから戻る5分前。接客中に電話がなった。離席にすると他の店舗に電話が流れ、そちらで電話受けと対応をしてもらえる。お客様対応中のため離席中にしようとしたところ、電話の調子が悪く、うまく離席にできない。

お客様を待たせてしまうと申し訳ないのですぐに出た。用件は見積書の質問だった。見積書のデータを検索しようとするも、こちらもパスワードが入らずうまく開かない。

「折り返しますぅ。申し訳ありません」

質問内容を聞き、一旦電話を置いた。見積書は落ち着くと出てきた。質問もごく基本的なことだったため、回答はすぐにできそうだ。

さぁ、どうしよう。私は接客中。電話の折り返しはすぐできる。来店のお客様にまってもらってもいいが、電話が長引いたらどうしよう。上長は5分でもどってくる。

以前の私だったらこう考えていたと思う。

「上長は私たちの仕事を管理するのが仕事。しかも昼休みから帰ってくるなり仕事頼むのなぁ。きっと私たちの知らない仕事だってしているし。電話回答今頂いた質問だけならいいけど、ほかにも追加質問がくるかもしれないよなぁ、接客中だから電話長引いたらどうしよう、でもこれくらいの回答だったら自分でやれよって思われたらやだなぁ。よし自分でかけよう」

ただ、「いくいる」「大事なのは自分のメンタルとお客様」の2つのモットーを持った私は違った。

よし、昼休みから戻ってきたら、電話回答は頼んじゃおう。マルチタスクはメンタル死ぬから極力やらない!きっと私のことだから、電話が思ったより長引いて、来店でお待ちしているお客さまからクレームor電話している最中に長引いていることに焦って話がはいってこない。お客様ファーストも自分のメンタルもどっちも守れない。これ頼んで「は?」って思われるのと、あとからミスって、バチクソ怒られるのとだったら圧倒的前者。

5分後、上長が戻ってきた。

自分の確固たる信念を頭の中で復唱しながらいう。
「あのぅ、ランチ終わりそうそう申し訳ないのですが、こちらの電話回答をお願いしたいのですが・・あっ私接客中で電話回答に時間長引くと怖いので・・」

自分のなかの最大限の「申し訳ないと思っている声色」でしどろもどろになりながらお願いした。

「あぁ、わかった」

表情と声色でどうおもったか感情を読み取ろうとしたが、読み取れなかった。が、今そんなことを考えている時間ではないと思いなおし接客中のお客様へ意識を向けた。

接客を終え、電話回答の感謝の意を伝えた。上長はなんでもなさそうに「いえいえ」と言ったあと、「そういえば」と別の業務の話について説明を受けた。

よかった。大丈夫だった・・。

そんなこんなで勤務時間が過ぎていった。引継ぎメールも作ったし、あとからやろうで生まれる残業もなく、私の心は晴れやかだった。

清々しい気持ちでいると、心の声が聞こえる。

ねぇ、別にやめなくてもいいんじゃない?

あれ・・これはどこかで覚えがある感情の動きだった。それが「やめると腹をくくった後におこるなぞの現象」である。

                ◇

私はいつもそうだ。「やめてやる」と思った瞬間、プレッシャーがなくなるのか何なのか、やめようと思っていたことが、やりやすくなったり、上達したりする。

例えば、大学時代の部活動、ラクロスをやっていたのだが、どうもうまくいかないし、合わない同期はいるし、こんなのやめてやるっておもっていたはずだった。ただその時は大きい大会があり、自分はもちろんでないが、その最中に辞めるのは失礼と思い、4か月後に辞める予定でいた。

そうすると、不思議なことにめきめきと上達したし、合わない同期ともイライラせずに話せるようになった。

だから結局楽しくなり、やめずにすんだという経緯があった。

きっと共通しているのは自分自身で勝手に作り上げたプレッシャーにつぶされていたのが、「やめる」といったん決めたことによって解放されるということなのかな、とも思う。

だって、上司への頼み事だって、お客様にお待たせしてしまうちょっとの時間だって、説明すればわかってくれた。もちろん本当にできないときや待てないときだってあるだろう。でもそれを判断するのは私ではな上司やお客様だ。

「しちゃいけない」なんて自分が勝手に決めたことで自分を苦しめていただけだったのである

「別にやめなくてもいいんじゃない?」に対してまぁでも、転職するって私は決めたしね、なにがあるかわからないけど、と心の声にこたえながら、帰り道、すっかりと日が落ちるのが早くなってしまった紫色の空を見上げた。

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