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涼み方にご用心

 別に有益な情報は特にないけれども、夏の暑さから逃げ、涼む方法に失敗したのでここに記そうと思う。先月はずっと満身創痍だった。仕事も本格的に忙しくなったというのに、タイミングが悪い。しかも満身創痍と言っても原因が「遊び」と「不注意」なのだから何とも言えない。コロナではなかったのが不幸中の幸いだと思う。

旅行先のホテルでエアコンを一瞬23度に設定した。それが6月の末のこと。暑さで寝付けなかったので一旦部屋を冷やそうと思ったのである。生来のせっかち故のことで、早く快適な涼しさの中で眠りにつきたくそのような愚行に出た。ちょうどよい室温になれば、適性の温度に設定し直すつもりであったのだ。
しかし江の島あたりをめぐりざっと二万歩。歩き疲れた体にそのような力は残っていなかった。エアコンから送られるそよそよとした風を肌で感じながら気持ちよく寝てしまったようである。

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翌日、案の定喉に違和感を感じる。念のため帰りにPCR検査を受けてみるも陰性だったのでそのまま帰宅した。喉の違和感も一時的なものだろうと甘く見ていた。しかしその後のどの痛みはだんだん増し、声も枯れたのである。喉の風邪はしつこい。のどの痛みは比較的すぐ取れたが、声枯れはなかなか治らない。声を出すだけでも辛い。仕事での業務内容は電話対応のみだったのが幸いである。出しやすい声の高さを調節し出勤。「もともとこういうハスキーな声ですよ」と平然と対応した(つもり)が、声帯が壊れていくのを感じた。声が出なくなれば一貫の終わり、というか、働きに来ているはずなのになにもできない、といういたたまれない状態が発生してしまうので怖いのだ。

そして容赦なく続くじめじめとして寝苦しい夜。窓を開けっぱなしにしたり、扇風機をつけっぱしにしたりして快適な状態で寝たい。が、さすがにこの状態で喉に悪いことはできないので、我慢して暑さに疲弊しながら眠りにつくのである。(ちなみに宿敵のエアコンには自宅にはない)

10日くらい経つとまだ声の掠れは残っているが、楽に声が出せるようになった。寝苦しい夜は続いている。
扇風機を一瞬回してみる。涼しい。
もういいのではないかな。
そんなことより睡眠不足の方が困る。そう思いマスクを着け扇風機をつけっぱなしで寝ることにした。蛇足だが母曰く私が赤ちゃんの時からの相棒で年齢も同じらしい。

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翌日、よく眠れた。喉も無事だ。ただ、目やにがすごい。目もかゆい。ホコリ、ダニ、ハウスダストいずれかのアレルギーなので犯人は布団か、と思い念のため布団の表面を掃除機で刷った。しかしその翌日も翌々日も目がかゆい。というかかゆい通り越して痛い。
扇風機を出した日からだったので、犯人は扇風機か。まじまじと見てみると
羽に埃が張り付いている。分解してみると埃が落ちた、
夜な夜な埃をまき散らしていた、というわけで目も痛くなるはずだ。

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そんな感じで私の今月得た教訓は当たる風には気を付けろ、ということだ。清潔な心地よい風に節度を持ち適度にあたることを心がけて引き続き夏風邪に用心したい。
さて、しばらく続いていたじとじととした天気もすっかり快晴である。夏の暑さがまとわりつくが、楽しむ準備はやっとできたのである。

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織田 麻(Orita Asa)
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