― 第四十九話 コシラ ―

アナウンサー「只今、小豆諸島にコシラが現れましたっ!映像、出ますでしょうか?中野さん、中野さん?」

中野「はい、こちら中野です。上空よりコシラをとらえました!皆さん!こちらがコシラです!」

アナウンサー「ああっ、見えましたっ!コシラです!皆さん、これがコシラですっ!・・・ん?思っていたより、ん~、ちょっと小さいといいますか・・・。何というか、なんだか疲れているような感じもしますねぇ。ん、岩に寄りかかっている、というか、もたれている、というか、なんだか打ちひしがれているような・・・。」

コシラ「はぁっ・・・。」

アナウンサー「あの、中野さん?今、コシラが、・・・ため息をついたように見えましたが。」

中野「は、はい。私もそのように・・・」

コシラ「はぁあ・・・。」

アナウンサー「あ、また・・・。中野さん、いったいどうしたんでしょうね?たしかコシラはあの‟ゴジラ”の従弟、でなかったでしたっけ?」

中野「ええ、そのように私、伺ってますが・・・。しかしながら、・・・ねぇ?」

コシラ「・・・はぁ。」

アナウンサー「あ、また!いったいどうしたんでしょうね?」

中野「コシラ、心なし何だか悲しそうに見えますねぇ。」

アナウンサー「そう、そうなんです!私もまったく同じことを感じておりまして!」

コシラ「・・・。・・・あぁ。」

アナウンサー「あのう、中野さん。その、ヘリからコシラに話しかけられないでしょうかね?」

中野「そうですね。あの、パイロットさん、もっと高度を落としてもらえますか?・・・ああ、これくらいですかね。コ、コシラッ!コシラッ!」

コシラ「・・・ふぅ。」

アナウンサー「あ、コシラが今、ちらっとこっち見ましたね、中野さん!」

中野「はい!はっきりと目視できたと思います!おーいっ、コシラッ!どうしたんだい?」

アナウンサー「ああっ、またっ!ね、中野さんっ!確かにコシラはこっち見ながらため息ついてましたよね!」

中野「見ました、見ました!コーシラッ!コシラーッ!」

コシラ「・・・・・・・・・はあぁ。」

アナウンサー・中野「あー!見ましたっ!見ましたねぇ!」

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