― 第十四話 滝つぼ ―
中年の男「まてっ!はやまるんじゃないっ!」
若い男「いやっ、行かせてください!俺なんてもう死んだ方が・・・」
中年の男「いったいどうしたんだ?俺でよければ話を聞いてやるよ。」
若い男「・・・じ、実は俺、スシ屋で働いてるんっすが、なかなか上手く巻けなくて、親方っから怒鳴られてばかりで・・・。」
中年の男「そうだったのか。いや、仕事ってのは生易しいものじゃないからなぁ。ましてや、スシ屋なんてな。職人気質の親方さんなんだねぇ。」
若い男「俺はホントに才能ってもんがなくて!自分自身につくづくアイソが尽きましたよ・・・。」
中年の男「まぁ、そうあせることないよ。まだまだ若いんだ。いくらでも修行できるじゃないか。『巻き』っつったら、手巻き寿司とかかい?難しいんだろ?あれ。」
若い男「いや、『おしぼり』の方っす。」
中年の男「は?」
若い男「おしぼりっす。」
中年の男「あの、手を拭くやつ?」
若い男「顔も拭けるっす!」
中年の男「・・・そうかぁ。・・・・・・・・・そうかぁ。」
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