女子中学生

子どもの頃の性別違和感に対する対応について①

性別違和感を持ち始める時期

岡山大学ジェンダークリニック受診者の56.6%が小学校入学以前,また,89.7%が中学生までに性別違和感を持っていました。
MTF当事者では,小学校入学以前33.6%中学生までに79.3%が性別違和感を持っていました。FTM当事者ではさらに早く,小学校入学以前に70.0%中学生までに95.7%が性別違和感を持っていることがわかります。
特に,学校生活では制服をはじめ男女の区別がある物,男女別の活動なども増えるため,違和感を自覚する機会が増加します

出典:岡山大学大学院保健学研究科 中塚幹也 
   小児保健セミナー 性同一性障害と思春期(2015)

MTFよりもFTMのほうが性別違和感を感じる年齢は早い傾向にあります。特に、小学校入学以前でその差は大きく、

MTFは約34%、FTMは約70%

と、2倍に達しています。

生物学的な性役割を求めると拒絶・拒否などが見られ、学校生活においても違和感(着替えのときなど)を感じるようになります。
無理に親に期待される性役割を演じたりしている子も多く、発見が遅れる場合もあります。

性別違和の子どもの種々の問題

性同一性障害当事者が受診した時点で経験していたことを見てみると,自殺念慮を持っていたことがある者が約60%自傷・自殺未遂が約30%不登校が約25%といずれも高率でした。
自殺念慮を持っていた当事者の原因を見ると,小学校時代には,MTF当事者では性器への悩みが多く,FTM当事者では二次性徴への悩みが多くみられます。
中学校時代では,MTF当事者ではやはり性器に対する悩みが最も多くみられますが,二次性徴への嫌悪感もみられ始め,いじめも高率にみられます。
FTM当事者でも二次性徴への悩みがみられ,加えて恋愛に対する悩みがみられます。またMTF当事者,FTM当事者ともに制服に対する悩みも強くみられます。
このため,中学生の時期は自殺念慮が高率になります。
高校時代では,MTF当事者では継続して二次性徴や性器に対する悩みがみられます。FTM当事者では恋愛に対する悩みが最も高率になります。
高校卒業後(大学・社会等)は,MTF当事者、FTM当事者ともにこれまでの悩みに加えて,社会への適応の問題(会社での役割や戸籍上の問題、社会生活での問題など,社会生活に適応できないことに伴う悩み)が多くみられます。
さらに,精神科合併症の既往はMTF当事者の4人 に1人の割合でみられます。その内容は対人恐怖などの不安障害うつなどであり,子どもの頃から続く,周囲の人間関係や社会制度との摩擦が契機になることが多いと考えられます。
これらのことを考慮すると,思春期の対応は,性同一性障害当事者のその後の人生にとって重要な意味を持つことがわかります。

岡山大学病院ジェンダークリニックに受診地点で、自殺念慮の経験が6割と高率であり、精神科合併症はMTFにおいて4人に1人と高率であった。

学校生活では、ランドセルの色や身体検査、修学旅行・合宿などで、一緒に大風呂に入ることや、プールを避けるなど、多くの場面で違和感を覚え、服を破るケースも。

また、制服が一番大変で、FTMでは、セーラー服を着るのが嫌、ジャージで過ごしたり、長いスカートを履き、MTFはブレザーや学ランを着るのが嫌で、ジャージなど中性的な服を着用る。


部活動も男女別に分かれていることが多く思うようにならない。学校生活も苦しくなると休みがちになってしまう。また、友人たちの体の変化にも,性別違和を感じる事が多い。

②へつづく・・・


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