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手のひらの京 読了

よく本も読むから、読書の記録としても使おうと思う。今日登録して初投稿もしたので、ついでに今日読み終わった本のことでも書くか。

この夏、京都に3回ほど行ったからこの本にも何か縁を感じて京都の大きいブックオフで購入した。
綿矢りさが大学生になるまで生まれ育った京都を舞台にして今までにはなかった、京都ならではの季節や街並み、自然を丁寧に切り取っていたのでその繊細さが文章に表れていた。
夏に行ったので、俺自身京都の風景が記憶に新しい状態で、この繊細な文章を読むことで頭に明細に浮かぶというほどではないが、ぼんやり浮かべる京都を背景にしながら物語全体を読めたのも良かったと思う。

内容としては、性格や価値観、見た目もそれぞれ異なる3姉妹を中心に各々視点転換しながら物語は進んでいく。俺が1番共感し、こんな人生がいいなと思わせてくれたのは末っ子の凛やった。名前の通り凛は3人の中で一番沸々と自分の中で湧き上がる何かを自分で処理できる“凛”とした生き方の持ち主やった。

名前にもちゃんとなんとなく意味があるような気もした。読んでる中で綾香は1番幸薄そうな感じした。羽衣は可愛くないとあかん名前やし、実際自分のことを可愛いと思っててそういう自信を持ってることが羽衣を可愛く魅せているんやと思う。

3人とも、自分だけの理想や思想があってお互い邪魔し合わず干渉しすぎず、良き相談相手になれてたことが羨ましくもあった。俺は異性の兄弟でなかなか話す機会もないし、相談なんかもってのほかやし。

同著による勝手にふるえてろやインストール、ひらいて、夢を与えるなどの節々から感じられる鬱屈とした筋の強い物語と違い、先日読んだオーラの発表会に近い雰囲気が感じられた。

この本を読んで、沈んだり何か考えさせられすぎたりすることはなく、読み終わったあとスッキリしながらも京都に懐かしみを感じたりまた訪れたくなったりするような物語だ。

少し悩みすぎる日々の中で読んでみて欲しい一作かもしれない。

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