オンラインレッスン「左右逆に教えられない問題」をどう解決するか
動画レッスンだと左右逆に踊らないと、相手が合わせられない?どうしよう?
「俺の日本舞踊」の梅澤です。ブログ、Twitterなどで日本舞踊に関する様々な情報を発信しています。コロナの影響拡大を受け、日本舞踊のオンラインレッスン仕組みづくりに取り組んでいます。
日本舞踊に限らず、オンラインレッスンで直面する課題の一つが「左右逆に教えられないときどうするか」です。同じオンラインレッスンでも英会話レッスンとか、ストレッチング、ワークアウトなど、左右が逆でも特に支障がないものと違い、日本舞踊は踊りに左右があります。特に振りを覚える段階で、講師側が左右逆に踊れないと、受講側が戸惑ってしまい、なかなか先へ進まない、ということが起こりえます。
今回は、「左右逆に教えられない」という課題に対して、解決方法を記事にしましたので、日本舞踊に限らず、このテーマでお悩みの方はぜひご一読ください。
取り組んだ課題「講師が鏡で踊れない場合にどうするか」
■鏡で踊る、とは
左右逆に踊ることを「鏡で踊る」と日本舞踊界ではよく言います。講師と受講生が対面で踊れば、受講生は講師の見たままを真似ればよく、講師も受講生の様子がよく観察できます。
これには一定の技能が必要です。熟練した人でもかなり集中力を必要とします。例えば、
・利き腕と反対の手でお箸を使えますか?
・自転車に乗るとき、いつもの逆側から乗ったり降りたりできますか?
たぶん、急には難しいと思います。踊りも同じです。
動画ツールを使ったオンラインレッスンでは、カメラのレンズにうつる映像が(当然ですが)そのまま相手に届きますから、講師が普通に踊ると、受講生は映像の左右逆で踊らなければなりません。受講生が見たまま踊れるようにするには、「鏡で踊る」ことが必要なんです。
今回は、講師が鏡で踊れないことを前提とし、どのような工夫があるか試しました。
左右逆に踊れなければ、鏡を撮影すればいいのでは?ということで、まず、このようなカメラポジションを試してみました。
カメラポジション①
・鏡にうつった講師を撮影
・受講生がZOOMで録画
・受講生がその録画を見ながら踊る
・踊る姿はZOOMで中継し、講師がそれを見る
鏡に向かって、普通に踊れば、鏡には左右逆の姿が映ります。それを撮影しました。受講生は鏡に映った講師に合わせて踊ることで、見たままの振りを覚えることができます。
これでもよかったのですが、カメラの視野が狭いため講師の動ける範囲が狭くなってしまったので、別のカメラポジションも試しました。
カメラポジション②
三脚を思い切り高くして、斜め後方から撮影。が今回ベストでした。
良かった点①全体が把握できた
通常、振り渡しは講師と受講生が横に並んで踊ることで行います。
今回、講師の斜め後ろから撮影したことによって、鏡に映った講師の前方に加え、後ろ姿もうつすことができ、横で並んで講師の側面しか見れない状態よりも、踊りの全体像を把握することが可能になりました。
良かった点②講師が受講生をしっかり観察できる
振り渡しを、同時に踊ることで行うのではなく、講師の録画映像を使うことで、講師が受講生の踊りをしっかり観察することができました。
一方でデメリットもあります。
デメリット
音量・音質の問題
受講生が踊っているとき、音楽は受講生のPCのスピーカーから出る音を、同じPCのマイクで拾うことになります。このため、拾える音量が小さく、講師側では音量が小さく、ブツブツと切れて聞こえていました。
この課題に関しては、PCのスピーカーではなく、外付けのスピーカーを使用すれば解決できるかもしれません。
曲を短く切って練習する際の、曲の再生場所の問題
今回は短い曲だったので、基本、一曲通して練習をしましたが、長い曲だと、曲の途中で再生して練習することになります。
そうすると、曲をかける役割は講師ではなく受講生側になるため、「次は曲をどこから再生するか」を講師とスムーズに意思疎通する必要があります。受講生が曲の全体像を把握していないと「曲のどこからやるか」がわからなくなって、稽古のテンポが悪くなる恐れがあると感じました。
振り渡し後の稽古は?
振り渡しを終えたら、次に詳細の指導に入ります。先ほどのポジションでは、講師は受講生の映像を見ることができないため、カメラをこのような位置に移動しました。足元までしっかり写せるように高めに位置にしています。
お互いの映像を全画面表示で稽古します。
この時は、講師が指導する際、言葉での説明であれば問題はないのですが、踊って見せる時、やはり左右逆に踊る必要が出てきます。とはいえ、振り渡しなど通しで踊って見せる時よりは、難易度は低いといえるのではないでしょうか。
左右逆に踊ることがまったくできない場合は?
私は今まで出会ったことはないのですが、部分的にでも左右逆に踊って指導するのは苦手・・・という方がいる場合はどうしましょうか。この場合は、もう一台デバイスを用意すればよいと思います。この写真のような、受講生の映像を映すためのデバイスに加えて、もう一台、鏡を映すデバイスを用意し、手本を見せる時は鏡に向かって踊れば、受講生側は、鏡に映った映像が見られます。
そもそも鏡がないと…?
ここまで読まれて「うちの稽古場にはこんな大きな鏡はないよ」と思った方もいらっしゃるのでは。そうです、この方法が可能なのは講師の全体を映せる鏡がある場合。
鏡がない場合の解決方法
「動画の左右反転アプリ」があります。あらかじめ踊りを正面から動画撮影しておき、それを動画反転アプリで左右反転させます。それを受講側のデバイスで再生し、受講生はそれに合わせて踊る、講師はその様子をZOOMなどで見る、という方法が考えられます。
動画反転アプリについては以前、記事にしました。使い方など気になる方は読んでみてください。探せばほかのアプリもあると思います。
稽古がはかどる!?動画を左右反転できるアプリ「SymPlayer」を使ってみた!
Symplayerインストール
まとめ「左右逆に踊れない問題をどう解決する?」
・曲を通して左右逆に踊れることが難しい場合は、鏡に映った姿を撮影する
・詳細の指導の際は、鏡撮影用のデバイスと、受講生を映すデバイスを2台用意
・部分的には踊れる場合は詳細の指導の際、デバイスを正面に持ってくればOK
・鏡がない場合は左右反転アプリを利用する方法も
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