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パッとしない子

物語が好き。最近はエッセイも手に取るようになってきたし、雑誌も読む、漫画大好き。続きが気になって、めちゃめちゃ課金してしまう。

ただ、感想書かなきゃ!ってなるのはやっぱり辻村さんの本だ。言葉にして整理して吐き出さなかったら、たぶん私は寝られない。


「噛み合わない会話とある過去について」の中にも入っていると思う。悩みに悩んでKindleに加入して、ウキウキしながら辻村さんの本を検索して、このお話と再会した。

2ページ目くらいまでは気づかなかった。あれ、これって・・・というゾワゾワした感覚が確信に変わったのは「お礼を言われるのではないかということだった」のところ。読む覚悟がいることを思い出して、深呼吸してから読んだ。

登場人物と一緒に自分も鮮明に登場する。傷つけられていることに気付かないくらい鈍っていた私も、リアルタイムで伝わらなかっただろうなってことを後出しジャンケンのようにブワーーってぶつけた私も、正しいと思っていた言動で誰かを傷つけたかもしれない私も出てくる。今の私がヒリヒリ傷を負う。


以前読んだ時には、今よりも佑側に立ってスカッとした覚えがある。

「人の言葉をいちいち覚えていて、勝手に傷つくのはやめてほしい。こっちはそんなに深く考えていないのに、繊細すぎる」

思わずハイライトした。猫を剥いで私をむき出しにした人にはこう思われていただろうなって思った。言われたことがあるような気もする。一生そう思っていて欲しい。

真摯に他人を助けてくれたり指摘してくれる人なんて珍しいと思う。だから私は、作品に自分を見つめなおす機会をもらいながらアップデートして生きていきたい。なるべく出会う人と自分に嘘をつきたくない。色んな気持ちを拾いたい。


と思ってはいるけど、

自分の脳を誤魔化さなかったら生きていけないって思ったことがある。人のせいにしたことがある。失恋したとき、今より幼い自分を思い出したとき。穴があったら入りたい、周りにいた人の記憶から自分を抹消したいって切実に思ったとき。自分をいらないって言われたことと一緒かもしれないから、人を嫌な気持ちにさせていたかもしれないから。ポジティブに捉えるって、現実逃避の一種だと思ったこともある。

私の頭の中にあるものは、いつかの自分がぼかしたものではないのかな。嘘のない記憶なのかな。

美穂のヒヤッと感が分かってしまった。分かりたくなかった。


人それぞれ自己肯定のスタイルや生き延び方があると思う。ただ私は、こうはなりたくないって思った自分だけは信じたい。これが価値観だと思いたい。

ぱっくり割れた傷口があって、言葉で吐き出すことで絆創膏を貼ってるつもり。かさぶたの間しっかり覚えて、新しい皮膚を身につける。なるべく大切な人を傷つけない自分でいたい。

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