高齢者の方の格言③

高齢者の方の格言③
       デイサービス 生活相談員
 
 
~我が格言~(80代 男性)
※格言とは私の生き方に影響を与えた言葉である。
 
別段裕福なわけでもないが貧しいわけでもなかった。
末っ子の私は親父との思い出もそう多くはないが
未だ忘れられぬ思い出がある。
それを格言といってよいのかどうかはわからぬが。
少なくとも私にとっては重き言葉ではあった。
傘もささずに遊んでいるところをたまたま親父に見つかった。
これはいかん、きっと叱られるに違いない。
ごまかす様子もなく観念したようにうなだれていた私に親父が言った。
「傘をささんと、傘も買えんのかと思われる。運が落ちるで傘をさせ」
それから私は蝙蝠傘を鞄に入れ、どんな近場へ出かけるにも持ち歩くようになった。
こんな些細なことが親父の年を超えた今になっても残っているのだから
なんとも面白いものだ。
しかしながらそれ相応の年になった今でもこうして健康でいられることは、
親父の教えの甲斐あったからではないかとも思える。
気付けば私も、子らに傘をさすよう念を押しながら生活をしていたな。
 
次回作にも、ご期待を。

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