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プーチン大統領を抑止できる世界でたった一人の女性「アンゲラ・メルケル」

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が進むなか、私たち日本人が諸外国と、渡り合っていくためのエッセンスがたくさん詰まっています。

今回は、本の紹介をします。
とてもオススメの作品です。

『メルケル 世界一の宰相』
著:カティ・マートン
訳:倉田幸信 森嶋マリ

メルケルとプーチンの共通点

べルリンの壁が崩れた1989年、二人は東ドイツにいました。
壁の崩壊により、メルケルには光が差し、プーチンは居場所を奪われました。

メルケルは東ドイツでの経験があったからこそ、プーチンのことを理解でき、粘り強く対峙し続けることができました。日本の政治家も北方領土の交渉は、彼女に見習ってもらいたいものです。

プーチンとメルケルの会話は通常、まずはロシア語で始まる。だが、細かい点まで極めて正確に伝えたいとき、メルケルは母国語に切り替える。

(引用元:メルケル 世界一の宰相より)

メルケルは物理学者として、古い設備と限られた情報(英文の書籍が禁止されていた)だけでやりくりする日々を陰鬱に過ごしていました。
いっぽう、プーチンはソビエト連邦のKGBとして東ドイツのドレスデンで諜報活動に従事していました。

二度とあの頃に戻りたくないドイツの首相と、過去の繁栄を取り戻したいロシアの大統領という真逆の立ち位置が続いてきたわけです。

第12章 ウクライナを巡る攻防

ウクライナが侵攻されたことは今回に限ったことではありません。スターリンやヒトラーがいた時代も、侵略や迫害にあっています。悲しい歴史が繰り返されています。

最近では、ソチ・オリンピックが開催された2014年、ロシアによるウクライナ侵攻(クリミア半島へ)が行われました。

このときメルケルはヨーロッパの誰よりも、アメリカのオバマ大統領よりも、超人的な外交スケジュールをこなし、停戦合意の仲介を果たします。

メルケルはロシアがウクライナを攻撃している間にプーチンと38回の会話を交わしている。

(引用元:メルケル 世界一の宰相より)

しかし、その後も毎年ウクライナで戦闘が止むことはなかったそうです。2019年には、約13,000人のウクライナ人が犠牲になっていて、その1/4は一般市民。このような状態が続いていることが、NATOから加盟を阻まれる要因となります。

著者のカティ・マートン氏

メルケルと著者の強い信頼関係を感じる内容となっています。ゆえに、読者を満足させる情報がぎっしり詰まっています。

カティ・マートン氏はアウシュヴィッツ強制収容所で亡くなった祖父母をもつ、ハンガリー出身のアメリカ人ジャーナリスト。

冷戦時代にソビエト連邦の衛星国で育った背景や男性社会で戦ってきた経験は、メルケルと通じるところがある、と訳者の倉田氏は述べています。

分かりあえるところがあるからこそ、著者の取材にメルケルは快く応じ、作品の完成を見守ったのでしょう。

メルケル首相の功績

まずは、彼女の魅力を紹介します。
首相になっても普通のマンションで暮らし、スーパーで買い物をする。
得意料理はジャガイモのスープ。
派手な演出や自己顕示に無関心。
「権力は道具」にすぎないと語っています。

政治家としての長い年月を支えた自分の資質を一つだけ挙げるとすれば、それはなんでしょうかー。
「忍耐力です!」と彼女は笑顔で答えた。

(引用元:メルケル 世界一の宰相 カティ・マートン氏インタビューより)

功績を総じていえば、東西統一後のドイツをヨーロッパの確固たるリーダー国にしたことです。
他にも、ロシア、ウクライナの停戦合意をフランス大統領とともに仲介したことや、中東からの難民100万人を受け入れたことなどたくさんあります。
そして、4期16年の任期に自ら終止符を打ったことは何とも潔い。

最後に

今回のウクライナ危機をきっかけに「日本の安全保障」を危惧するコメントがSNS上でもたくさんあがっています。
この点においては、国内のメディアが責任をもって、日本国民へ危機として伝えるべきだと思います。

諸外国から付け入るスキを与えないこと、経済成長を真剣に考えることがいよいよ本当に必要なのではないでしょうか。核をもっている国々と、どう戦わずして勝つのか……。

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