ロングインターバル(Long IT)の有効性
随分久しぶりの更新となってしまいました。
おかげさまでコーチとしてそれなりに忙しい日々を過ごさせていただいております。
その上、春先にバイクを買い替えて以来、自転車がもう楽しくて楽しくてこちらはすっかり放置しておりました。
FACTOR OSTRO VAM、最近見かけることが増えましたが素晴らしい自転車です。
早速ですが、切り替えてインターバルのお話をして参ります。
さて、前回まで数回に渡り、自転車競技(ロードバイク) におけるShort IT(ショートインターバル)のレスト強度・時間の設定についての私なりの考えを述べました。
残りはセット数の設定についてを書くだけなのですが、記事を作成しようとするうちにここに関する研究・論文がほとんどなく(少なくとも私が読んできたものの中には)、概ね私のコーチとしての経験に則ったになりそうなことに気づいてしまいました。
比較的強力と思われるエビデンスを引用することで、科学的根拠に基づいたインターバル記事を作成することがこのnoteの目指すところであり、私自身のコーチとしての経験はあくまで不確実な専門家の意見程度のおまけでしかありません。
それに、実は以前の記事を読んでいただき、T at VO2maxを十分に稼げるだけのセット数を設定してしまえばそれで済んでしまうのです。
よって、今回より新たに
「Long intervals(ロングインターバル)」
について書いて参ります。
Long intervalsの定義
世界共通の定義ではありませんが、ここではこれまで解説してきた「ショートインターバル(Short IT)」は一般的に"ワークセットの時間が60秒以下"のものを指していました。
「ロングインターバル(Long IT)」は対照的に"ワークセットの時間が60秒を超える"ものであり、2-5分とするのが一般的です。(1)
ほとんどの場合レストも同様に数分単位で設けます。
ワーク時間が倍程度に増えるため、Short ITで使われた100-140% p VO2max(Power VO2max=PPO)といった非常に高い運動強度を用いることは困難となります。
そのため、Long ITは
概ね95-105%pVO2max(PPO)と幾分優しい強度での実施が推奨されているようです。(1)
T at VO2max(※)を確保し、VO2maxを向上させるという主目的はShort・Longどちらのインターバルでも基本的には変わりません。
そのため、"強度・時間の操作を行うことで十分な時間、>90%VO2maxで過ごすように組む"ということが第一課題となります。
※T at VO2maxについてはこちら
さて、そうすると一見これらは強度と時間以外に差がないように思えますが、生理学的な観点
から見れば大いに違います。
VO2max向上をターゲットとしている点は同じですが、運動時のエネルギー産生システムの動員割合・血中乳酸濃度の動態などが異なり、結果に至るまでの機序も、得られる適応も微妙に異なってくるのです。
それぞれの特性を理解していれば、自身の長所をより伸ばすor弱点を改善する、というように望んだ適応を最大限引き出すためのメニュー作成を通してより効果的なトレーニングが可能になるでしょう。
違いを一つずつ見ていきましょう。
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