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45. DELFB2チャレンジ中

 フランス語の語学試験は、論理的思考力や社会における進んだ価値観を得ることができて、一石三鳥レベルだという話です。 

 昨年の冬に、DELFというフランス語の試験を受けました。レベルはB2でした。コロナで本来6月だった試験実施日が延期になって11月になりました。うまくスケジュールと合わず勉強もそこそこに受けてしまったので、惨敗でした(そして面接は行かなかった)。

試験について 

 この試験、以前は別のレベル分けだったみたいですが、現在はDELF(A1,A2,B1,B2) 、ないしDALF(C1,C2)というレベルで国際的な語学基準に沿っています。留学する際や仕事上での語学力の証明にもなり、一度取得したら失効しません。フランス語を用いて活躍する方々が多く挑戦する試験です。
 試験内容はCO(聴解)、CE(読解)、PE(筆記)、PO(会話)の4つに分かれていて、各25点満点合計100点。合格には、1回の試験で各項目5点以上取り、なおかつ、合計50点以上を取ることが必要です。 私は何回も受ける受ける詐欺をして、こちらでも少し試験について言ったりしていました。今も勉強中ですが、色々と研究にも、実生活にも活かせることが多いと感じているので、現状を記録に残しておきますね。

現状

 知りたくなければ飛ばしてください!
 私はB1を取ったのが2019年の冬。それ以降ちまちまと勉強していても、レッスンを受けるとかが費用の問題や時間の問題、精神的な問題でできなかったりして、独学でやれるときに進めていました。
 本当は昨年にガッツリ勉強するつもりだったのですが、別の仕事に恵まれたり、コロナで研究に余計に時間がかかってしまったり、試験自体も延期になったりと、色々と計画が狂ってしまいました。
 ですが、もうとりあえずこの試験とは一度決着をつけようと思いました。B2を取ると、あとはC1が待っているのですが、C1になるとさらに年月がかかりそうなので、B2をとることが今のフランス語の目標として、モチベーションを保っています。先月末からオンラインレッスンを受け始め(レッスン代で減る貯金泣)、今はひたすら勉強をしています。

 4月から少しずつまた鍛え直しているところですが、実は…もうすでに、6月の試験も受けました。今回の試験はPOだけ今週末なので、まだ完全に受け終わったわけではないですが、すでにあまりのできなさに落ち込んでいるところです。笑
 でも、まだ時間を取り始めて2ヶ月、レッスンを始めて2週間しかたっていないし(言い訳!)、しょうがない。次回で勝負するんだという気持ちに切り替えています笑。さて本題は次から。

社会問題について関心を持ち、論理的に主張する力 

 ぶっちゃけ留学自体が無謀になっている今、この試験を絶対に通らないといけないということはないのですが、個人的にこの試験を乗り越えることで、自分をかなり鍛えることができると思っていおり、受験を続けています。
 語学試験なので、語彙力とか、発音とか、語学の要素はもちろん重要なのですが、今私が積極的に学んでいるのは、面接や筆記で必要となる論理的な説明方法です。それは言い換えれば、相手に自分の思考を正確に伝えること、ないし問題を解決するための交渉力を身につけること、です。

例えば、面接では提示された記事から関連した問いを一つ立てて、それに対して2-3段落で理由や原因を述べ、最後に問いに対しての意見や答えを述べる、という課題が課されます。ただ適当に述べるのではなく、接続詞等を使いながら相手に丁寧に主張を理解させることが必要だそうです。
 そしてこの受験者のスピーチをもとに、試験官がいくつか反論を提示してくるので、これをさらに(受け入れつつも)反論し、説得しなければならないそうです。
「日本語で練習するのも大変じゃい!」と、叫びたくなりません?笑。私は叫んでます。苦笑

 ただ悲しいことに、これは学部〜のレポートの作成に、構成がとても類似していると思います。これを難しいと思う自分って。
 自分は文献を読んで資料を読んで物事を明らかにするという方法が主なので、瞬時に物事に対する意見を構成まで完璧にして話す、ということをほとんどしてきませんでした。いや、わかっています、それが今の自分に最も不足しているスキルであるということは!

題材がむずい

 自分の言い訳と反省はさておき、この試験で提示される記事はさまざまな社会問題について書かれたものが多いのです。
 例えば、学校や生活上での男女平等とは何か、喫煙の是非、お酒の是非、高齢者の労働の在り方、料理の必要性、在宅勤務などの勤務制度、環境汚染、動物園の是非、タトゥーの是非、博物館の無料制度、スマートフォンなどのテクノロジーとの付き合い方、などなど。(テキストの模擬問題から挙げてみました。)
 恥ずかしながら、こういったテーマについて自分の意見を持つということ自体がも、私には非常に難しいと感じています。でも私だけでなく、特に日本において、こういう方は多いのではと勝手に思っています。

日本における男女の不平等問題に嫌でも直面させられる

 大体の例題テキストって10年20年、下手したら30年以上前のフランスでの新聞やネットでの記事を使っています。私が衝撃を受けたのは、その古い記事で既に男女格差について挙げられていることです。
 これは近年、ようやく日本でも話題に上がっているように思えていたような問題です。でも例えばSNSで炎上したり、喧嘩していたりと、あまり建設的な会話が見られず、もやもやしていたのです。SNSでは、私自身、そういった会話がすごく見ていて苦しく感じてしまうのです。二次被害的な感覚で見てしまうのか、悲しくなってきます。なので、元気な時以外は見ないようにしていました。それがフランスでは丁寧に記事となっているのです。

 先日オンラインレッスンでフランス人の先生に言われました。「日本では特に、この試験対策で男性と男女平等の議論の練習をしたくない、女性の雇用問題に対して「女性は子供を育てないといけないから」とかを普通に理由に挙げてきて、もううんざりよ!試験対策だからあまり反論はしないけど心の中では怒っているの!」と。こういうところでも日本の男女差別について考えさせられています。(この手の試験対策をする皆様はぜひお気をつけてください…)
 B2での試験対策で、毎日ここまで考えさせられるとは思っていませんでした。付け加えておくと、別に試験でその意見がよかろうが悪かろうが、点数には関係ないそうです。なので超あぶない思想を持っていても、それを表明するスキルがあればOKだそうです。それはちょっと悲しいなあ。私は真面目にお題に対して良い方法考えたいですね。

意見を発することが難しい日本でこそ、こういう学ぶ仕組みは役に立つと思う

 本来生きるために必要なことが学べるので、私はこの試験に対しては「勉強」という言葉をあまり使いたくなくなりました。この試験は本当に有意義です。確かに受験料は1万〜2万と高いけれど、この試験で得られたことは多い。ただ社会問題を知るというだけでなく、身近に起きている関連した問題を見出し、考察し意見を持つ訓練をすることが出来ています。自分はとても狭い世界にいたのだなと日々痛感しています。

 こういう意見をすると、「じゃあ海外へ行け」と思われそうですが、日本に生まれていることを少なくとも私は縁に感じています。日本は既にあらゆるところで沈没寸前だと言われているので、私もあまり期待していませんが、自分自身が行う行動や発信する意見は、より深く、強く、平和や平等について考えたものでありたいと思っています。こうして大学まで行けて、大学院である程度自分で事実を得る技術も身に付けたのだから、独りよがりにならない生き方をしたいと思いました。うん、とても難しいんだけれども。


画像:PexelsによるPixabayからの画像 



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