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関係修復は外から「進行役」を入れると超ラク!―親子も夫婦も「腹割って話す」だけでは対話になりづらいから

こんにちは、オープンダイアローグ夫婦の夫のほうです。先日は自己紹介記事を読んでいただき、「スキ!」もくださって、ありがとうございました。初めての投稿だったので、反応をいただけてとても嬉しかったです!今後ともよろしくおねがいします。

さて、おうちの人間カンケイ ≒ 親子や夫婦の関係をメンテしたり、修復したりするときのポイントは、それがダイアローグ、つまり「対話」になっているかどうかだと思います。単なる「話し合い」や「会話」でなくて。

ところがこの「対話」、私は学べば学ぶほど「いやこれ激ムズやん!」と感じるようになりました。「なるほど完璧な作戦っすね―、不可能だということに目をつぶればよ―」(©荒木先生)という言葉が頭をよぎります。

私たち夫婦は、オープンダイアローグ相談室のしごと云々の前に、対話しないと自分たちの夫婦関係を維持できないと感じ、トレーニング等で学んだことを日々の暮らしに惜しみなくぶっ込んでいます(やっててよかった、オープンダイアローグ)。

今日は、その中で強く感じること、「当人どうしの対話はプロでもむずい」「オラもオープンダイアローグ使いてえぞ・・・」ということについて書いてみたいと思います。

途中、オープンダイアローグ夫婦の妻のほうであるけいこさんのお話も聴いてみたいと思いますのでご期待くださいませ!

親子も夫婦も関係をメンテするにはとにかく対話!

繰り返しになりますが、「対話」だいじです。

でも「対話」って何でしょうか。会話とどう違うのでしょうか。

オープンダイアローグ界隈でも「対話と会話の違い」はよく話題になります。私は、個人的に以下のような整理をしています。

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なんとなくニュアンスが伝わったらうれしいです。皆さんはどう思われるでしょうか。

対話は「頑張るだけ」では難しい

特に重要なのは「聴く」と「聞く」の違いではないかと、私は思います。

人の話を「聴く」というのは、ききながら考えたり分析したりするのではなくて「音楽を聴くように聴く」のだ、と教わったこともあります。意味深なだけあって実感するのに時間がかかりましたが、最近は、このことがとても重要だと思うようになりました。

私にとっていちばん耳が痛かったのは、人はきいていると見せかけて自分が言いたいことを言うターンを待っているだけ、という指摘です。

私など、ひどいときは「どういうふうに反論しようか」などと考えながら聞いているときすらあります。これはもう「聴」いているとは言えませんよね。だって、意識のフォーカスが相手ではなく自分に向いているわけですから。

これ、あんまりいい喩えではないんですけど、「喫煙」にたとえると個人的にはしっくりくるのです。

体感的には、対話的に「聴く」という行為は、相手の話という「煙」をいちど自分という人間の内部=肺までちゃんと入れて、ガス交換するような感じなのです。そこまですると、自分という人間(のカラダ)はもう、タバコを吸う前とは別の存在ですよね(ああ、喩えがよくない・・・)。

これに対し、単に「聞く」という行為は、タバコをただ口や鼻のあたりでふかしているだけのような感じです。自分の中には入れていない、閉店ガラガラなのですね。

良くない喩えで何が言いたかったかというと、「聴く」は「その前後で自分(の考え)が変化する」のだということです。他方で、「聞く」は自分の考えは変わりません(変わらないようにと、相手の話を「聴」かないのです)。

「聴」いてしまったが最後、自分という人間は変化して別の考えを持つようになるのだから、聴く前に持っていた「自分の考え」など保持しておく必要がないのです。

いずれにせよ、「対話」は「頑張る」とか「向き合う」とかいう心がけだけでできるものではないと、私は思います。

「自分の意識が、今このとき、どちらにフォーカスしているか」とか、「正しさを求めたくなる気持ち」とか、「怒られてるみたいで怖い」とか、そういった心の中のポップアップをリアルタイムで俯瞰できることが求められると思うのです。

(そのようなポップアップを、オープンダイアローグでは「内的対話」といいます。)

それらに囚われることなく、相手の話を「聴く」というポジションに絶えず戻り続けるような姿勢が、対話的と言えるのではないでしょうか。

家庭での対話のコツ①:まず自分の話を自分で聴いてあげる

上記のことは、要するに「マインドフルネス」です。そう、対話を行うには基本動作としてのマインドフルネスが重要なのだと、私は思います。

マインドフルネスというのは、初期仏教の瞑想が西洋化されたものです。精神保健の世界だけでなく、ビジネスパーソンの間でもポピュラーな存在になってきています。

日々の習慣にすることで、だんだんとできるようになります。

マインドフルネスにはいくつもの方法があります。中でも、私は「セルフコンパッション」がオススメです。

セルフコンパッションは「自分への慈悲」というような意味です。要するに、自分に対してまず優しくすることで、人の話を聴く(優しくする)余裕が生まれる、ということなのではないでしょうか。

そして、「自分に優しくする」とは「自分の内的対話を自分で聴いてあげること」なのかもしれないな、と思います。

家庭で対話するコツ②:外部から進行役を入れる

ここまで書いたように、当人どうしで対話をできるようになるには、心の体質改善とでもいうような、地道な作業が必要そうです。

これはこれで続けるとして、でも、すぐに対話して関係を修復しなければならないときはどうすればよいのでしょう。

そんなときは、そう、外部から対話の進行役を入れて話すとよいと、私は思います。

当人だけで話すのが難しいのは、そこに「感情」「利害」が生じているからです。

特に「重要な他者」とも呼ばれる家族どうしでは、互いに強い感情を向けあっていたり、どちらかが経済的に強かったりするために、冷静に聴けない=内的対話の音量が大きくなりすぎることがあります(恐怖、怒り、罪悪感や心配など)。

当人どうしで話すと、そのような強い感情のこめられた言葉をダイレクトにぶつけられるわけですから、なおさらです(この辺りのことは以下のブログにも書きましたので、よかったらどうぞ)。

この「ダイレクトにぶつけられる」というのが、たいへんにきついのです。つい言い返して、自分を守りたくなります。

ということは、間接的に話せばいいのではないでしょうか。

進行役を入れた対話、つまりオープンダイアローグでは、各参加者が進行役のセラピストに向かって話します。それは、他の参加メンバーから見ると、「眺めるように聴く」ような体験になります。つまり、間接的に、安全に「聴く」ことに集中しやすい状況が生まれるのです。

二人だけで対話をするのには「修行」が必要ですが、早く、あるいはこれ以上傷を深めずに話をし、関係を修復したいという場合は、積極的にオープンダイアローグを利用するとよいのではないかと、私は思います。

そうそう、オープンダイアローグでは「誰も悪者にならない」のもいいところです。当人だけでする話は「どちらが悪かったか」ということが争点になりがちで、素直な気持ちを言葉にしづらいですからね。

けいこさん、ここまで読んで思い浮かんだことを教えていただけますか。

あのー、以前、ふゆくん(※夫)が「対話をし続けてくれてありがとう」って言ったことがあったんですけど、その言葉を思い出しました。

これ、二人だけで、あのー、夫婦間にもうすでに行き詰まりを感じているのに、さらにそこに「対話をしていよう」って二人だけでするには、うーん、なんていうか、対話をもうやめたくなる瞬間が来てしまう。

で、そこでやめてしまうと、もう終わっちゃうんだけど、夫婦関係を維持したり、何かバージョンアップしたりしていくためには、対話を続けるっていうことが必要で、でもなんか、対話を続けることを一人で維持しようとするのはかなりの根性論というか、精神論で。苦行みたいな。

「こんなんやめちゃったほうが楽かもっ」と思えるような瞬間が、出てきても不思議じゃない。

でも、やめてしまうのは・・・夫婦関係をやめてしまうっていうことをしたいわけじゃないから、なんとか維持したいっていう想いと、「あー自分がガマンしたくないな」とか「私の話も聴いてよっ!」ていう両方の想いがあって、両方ありながら対話するのって難しいって思ったの。

だから、進行役を入れたらもっと楽になるのにな、誰かにやってもらったら楽だっただろうな、って思ったときがあったのを思い出した。

まとめ

けいこさん、ありがとうございました。

(本ブログもまた私たちは夫婦で対話しながら制作しており、その結果、今回けいこさんパートは口述筆記を試してみることで合意いたしました。ライブ感が出ていればいいなと思います。)

最後にまた、けいこさんからまとめの言葉です。

「家庭内の話って、第三者に話すのって『恥ずかしいな』とか『怒られるんじゃないかな』とか『ダメ出しされるんじゃないか』とか、そういう気持ちが湧いてくるのも自然なことのように思います。

夫婦のなり方なんて誰もどこでも教えてもらえなかったから、習ってこなかったし、夫婦間での話の仕方なんて見てこなかったし、わかんないことが多いから、その家庭その家庭オリジナルの話し方とか、大事にしたいこととか、一緒に探していけるといいなって思ってます。」


相談室おうち mina4recovery.com
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