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関係「修復」より「バージョンアップ」を:というお題で始まるオープンダイアローグ夫婦のダイアローグ(後編)

オープンダイアローグ相談室を営む夫婦が「おうちの人間関係」についてダイアローグする企画の、第2弾の後編です。

前編はこちら ↓ 。

お付き合いしてるときって、ちゃんと「他人」だった

―― 最近、別のブログの下書きを書きながら思ったことがあって、あのー、何だったかなあ…そうそうそう、結婚する前の「お付き合い」してるときって、どこかにお出かけするときでも、 一緒に「どこに行こうか」とか「何日間ぐらい行こうか」「そこで何しよう」「行った先の土地でどこに行こうか」とか、「どんなものが食べたいか」とかさ、話して決めると思うんだよね。
お付き合いしてるときって対話的だな、って思ったの。それが結婚すると、そういう時間、が消えちゃうことが増えるような気がして。そこの違いって何なんだろうっていうことを思ってね。そのことのブログを書いたわけじゃないんだけど、書きながらだんだんそういうふうな思いになっていったの。

お付き合いしてるときは、「まだ仕事中かな」とか「いま何してるかな」とか「この時間に電話してもいいかな」とか、相手の、さっき言った「事情」みたいなのを考えたり気にしたりするんじゃないかなと思って。
「いま電話かけてもいい?」とかさ、そういうの先にメールとか LINE で聞いて電話するとかさ。
結婚するとそこがなくなって、「当たり前でしょ」みたいなふうになるのは何なんだろうな、って。

それで、そのときに思ったのは、お付き合いしてるときって、ちゃんと「他人」だったのが、結婚したら「家族」っていう一個の単位になる。
何ていうか、言い方がすごい分かんないんだけど、「家族」っていう形のために動いて当たり前でしょ、みたいな。 そこがあんまり話し合われてないんじゃないかなっていう感じがするんだよね。
「彼氏」とか「彼女」っていう、個別のものじゃなくて、「家族」っていう一体の中の、その家族を構成する要素としての「旦那さん」「奥さん」みたいなふうになるっていうことかな。

ちょっとよくわかんなくなってきてるけど・・・「別々の人」っていうよりは、「家族」っていう一個のもの・・・みたいな感じがするんだよね。それって、それぞれには意思があるんだし不具合起きるよね、っていう、前編に書いたことに戻るような気がする。

うんうん。他に言葉にしたいことはありますか。

――同じことの繰り返しかな、って、思うんだけど・・・「家族なんだから当たり前でしょ」っていうのは確かにそうなんだ。 だけど「家族なんだから分かって当然でしょ」っていうのはちょっと違うかな、っていう感じがする。
「ちょっと違う」っていうのは、家族だけど、
事情も含めて・・・「全部を分かる」とか「分かってもらう」っていうのは、一緒に生活していてるだけではちょっと足らないっていうか、言葉にして今の事情を教えてもらうとか伝えるっていうことがないと、ずーっと推測でやるけど、それが外れたときにこじれていって、こじれていってこじれていって、もう取り返しのつかないところなのに・・・みたいなふうになりかねないなーって思うから。
 家族だから一緒にいるのは当たり前なんだけど、その中でも自分の個人的な事情については、一緒にいるパートナーにも伝えておくっていうのは必要なんじゃないかな。

「目の前の人とどうしたら仲良くいられるか」っていうところを基準に

――ちょっとテーマと全然違うことを話してる気がする・・・。

テーマと全然違うことを話すことになるのも対話の特徴ではないかと、私は思います。

 ――対話的かな、今の私の。私の想いを話してると思っているけど、一般論みたいになってないか心配になってきた。以上です。

けいこさんが、そういうふうに今まで話したことを想うに至ったというか、話そうと内側で湧いてきた理由みたいなこととか、今までの体験とかまで話すと、一般論じゃなく伝わるのかなと思うけど、分量とかプライバシーのことがあるから、それも大変だなと思う・・・。

あと、対話は3人以上いた方がいいよね、きっと。 2人でやると、これいま相互リスニングみたいな感じだけど。でも、相手が、けいこさんが言ったことが、聴こえて、わしの考えもその都度バージョンアップされていくから、それが相互に起こっていればもうダイアローグっぽいかなとも思います。

私、けいこさんが今のこのくだりでおっしゃったことも、「おお、なんか面白いなあ」と思って。

「当たり前」「家族だから当たり前」っていうワードが出てきたけど、 なんか・・・「そういえば」と思ったんだよね。そういえばさ、家族になるときって、「家族になりませんか」っていう合意形成をわざわざして家族を作らないじゃない。で、いま振り返ったら、たいてい自分が育った家族をコピーしてるんだよね。自動的に。無意識に。
ここにもいろんな理由があるんだろうなと思う。自分自身を振り返っても、いろんな理由が思い当たるけど。その、無意識に刻み込まれた「いろんな理由」、たとえば「自分が育った家族が好き」とか「子ども時代はガマンしてきたから、今度は俺が親父みたいになって好きにしてやろう」とか。復讐というか、トラウマの再演というか。そういう、無意識に刻まれたいろんな理由があるんだろうなと思う。
 そういう、異なる家族で育った2人が家族を作ると、この先の関係性についての話になるけど、やっぱり「どういうふうな関係にしますか」「どういうふうな家族にしますか」っていう話をできるようになっておくっていうのが、「バージョンアップ」なのかなという気が。「関係性についての対話」。

ほいで「どんな家族作ってもいいんやで」って思うよね。「どんな家族を作ってもええんやったら、どんな家族作りたいですか」とか。
「どんな関係にしてもいいよ」って言われたら・・・。「この社会にあるテンプレから選ぶんじゃなくって、目の前のその人とどういうふうな関係になりたいですか」「どういうふうにカスタマイズしますか」「自由なんですよ」って。

「そうやったんけ!」ってなる。知らなかったじゃん、そういうことって。「家族」とか「パートナーとの関係」とか、家族を「作らない」とか「作る」とか、どんなふうとかって、自由だし、いろんな形があるんだけど、知らない。教わらないで育ってきているから。

いろんな、「あれもこれもありなんだ」ってなったときに、自分の無意識の中にインストールされた「テンプレ価値観」とか「テンプレ家族間・夫婦観」みたいなのがすごい邪魔になるっていうか、目の前の人との関係を邪魔してるなーっていうときがすごいあって。もっと自由に、「こうあるべき」じゃなくて「目の前の人とどうしたら仲良くいられるか」っていうところを基準に頑張っていけたらいいなと思うねん。

で、そうやって考えて行動した姿が、結果的に一般的な規範とかテンプレートを外れるかもしれないけど、「目の前の相手と一般的な規範と、どっちが大事ですか?」ってことかな。

病めるときも、健やかなるときも

私は以上です。まとめに入りますか?

――そうですね。

ここまでを振り返って、今日のうちに話しておきたいこととか、いま思い浮かんでることはありますか。

――そうですね、ちょっと待って。まだ言葉がまとまらないど・・・。

「元に戻る」とか「バージョンアップする」っていうタイトルから思い浮かぶことをずっと話してきたけど、「元に戻る」って言ったときに、前の話にもあったけど、それってどういう関係性のことだったのかなぁ、とか。
「バージョンアップ」するとしたらどんなふうな
二人の関係性、親子でも夫婦でも・・・今日は私は夫婦っていうイメージと話してきたんだけど、どういう姿でお互いありたいかっていうことを、そこが具体的にイメージできていくといいなって思った。

お付き合いしてるときは、それぞれ別々の人っていうことで尊重し合ってたのが、家族になると・・・みたいな話をしたんだけども・・・どういう自分になりたいとか、どういう相手になってほしいっていうことだけじゃなくて、どういうことを大切にした二人でありたいか、みたいな。そういう話がされるといいなと思います。

「そこまで今話せないよ」ってなっているとしたら、まずは自分に問いかけてみるとどうだろうと思う。自分はどういうふうな家族を築きたかったのかなとか、相手とどういう関係性を築きたかったのかなっていうことを振り返ってみたり。 これからどんな関係になりたいかなっていうことを思ってみてもいいんじゃないかなって思う。
それはなんていうか、こう、相手に変わってほしいっていうとこじゃなくって、自分には何ができるかなっていうところのことで。

なんかちょっと・・・今日もまたちょっとまあ自分にもやっとする。

もうちょっと詳しく教えてくれますか。「もやっと」について。

――一般論ぽい。自分が話してるのが。さっきも言ったけど。自分の思ってることではあるけど、一般論ぽく話してる感じがしてちょっと違う感がすごいする。

そうなんだね。もしよければ内側にどんな「もやっと」があるのか、教えてもらえますか?

――なんだろうこれ。 やな感じ。誰様、何様って感じ。まとめなのに・・・。

「一般論になってやだ」っていう話を聴いたときに、そういう、けいこさんが「あ゛ー」ってなってるときに、私は、けいこさんにだけじゃないけど、毒親育ちのクセで「目の前で女性がモヤってるときは自分のせいだ」って考えるクセがあって(笑)。反応なんだけど、これ。
で、今も自分の落ち度を検索してたんだけど(笑)、そしたら見つかったの。「やってないこと」っていうか。

それは、私この間けいこさんにプロポーズしてもらったじゃないですか。「俺はしたけど、そういえばけいこからはしてもらってない!」って言って。
で、返事をしてないんですよね、私。そのことについて昨日考えてたんだけど・・・。

7年前に私がプロポーズを一応して(大阪南港発フェリーの中で)、それで、けいこさんからはプロポーズされてないから、この間してもらったんだけど、要求しておいて、自分が返事してないんですよね。
「『してください』って言って!」って要求して、してもらったのに、今度は私が「はい」って言ってないって、ちょっと矛盾してるんだけど。保留のまま、どうお返事したものか考えてて・・・。

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けいこさんが、さっき話しながら「一般論」と感じられたのは・・・これは単なる推測なんだけど、まだ私が返事をしてないからじゃないかな。私たちの夫婦の関係性について、対話をする体制がまだそもそもできてないからなんじゃないかな、って思ったんですね。
こんなブログを作りながら、自分たちがそういう経験をやっと今してるんじゃないのかな、と思ったの。7年目の終わりにかかってるけど。
今ね、自分の中を検索したら、そんなことが出てきた。だから・・・「こちらこそ、これからよろしくお願いします」っていうこと(照れ&神妙)。

――はい。・・・こちらこそ、お願いします(*´∀`)照れる。

ここまで聴いていて思ったのは・・・、結婚するときは、約束するじゃん。「病めるときも健やかなるときも支え合いますか」みたいな誓いの言葉を立てるけど、それ以降、お互いの関係性を振り返る機会ってどのくらいあるんだろう、って思ったの。

うちのことで言うと、7年間。それぞれにいろんな事情があった。いろんな立場に立ったり社会的なネットワークだったり、そういうのから外れてみたりとかって、個人的な事情っていっぱい変わってるじゃん。だけど、夫婦の間でさ、「いま私の事情ってこうなってるから」とかっていう話って、お互いの事情を話すっていうところまでは、もしかしたらしてきたけど、それを踏まえたうえで、「いまこういう事情になりましたけど、この二人の関係性ってどうしましょう」っていうところまでは話せてなかったなって思ったのね。「それぞれの個人の状況とか事情っていうのはお互いに知ってるし、分かってる」 っていうとこまで、っていう感じ。

じゃあ「そんな二人がどういう風にこの先も夫婦としてやっていくか」とか・・・「2段階め」のとか「2階の部分」の話がされてない、みたいな感じなのかなって、ちょっと思った。

それってこう、ライフステージとか、ライフプランとか、節目のときとか、変化する前とか変化があったときに話されてもいいかなと思った。相手と話しながら、1年に1回くらいでもいいかも、「今こうなってますからじゃあ現状維持で行きましょう」とか「ちょっとこういうふうに変わってきたので何か改める機会かもしれません」みたいなこととか。

「バージョンアップ」って何回してもいいんじゃないかなって思ったの。

「そんなとき、オープンダイアローグ」と宣伝したくなった(笑)。今の話をしてて、どう感じたかなと思って。一般論なモヤモヤはなくなったかな。

――今のはちゃんと自分の気持ちを話せた感じがする。自分の思ってることだけど「私が思う私の話」っていうか。「誰でも思うけど、私の話」っていう感じじゃなくて

もう終盤だけど、「うちは、そんな話をできるような関係性じゃないけど、惰性で続けてる夫婦関係」と思ってる人も、専門家を入れてみると変わるかもしれないし。「そういう話は日常的にできている」っていう人も、専門家を入れることで、新たな何かっていうものをもしかしたら感じれるかもしれないな、って思っている。
問題が起こっていても起こってなくても、「予防歯科」みたいに、たまには専門家を入れてみるといいなって。

ちょうど1時間くらいですね。これ前後編にしないと載せれないですね、多分。ありがとうございました。本当にオープンダイアローグがもっと精神科の外で、一般の家庭でも使われてほしいなと思いました。

――ありがとうございました。

(2020/06/17 相談室おうちのソファにて収録)

いま、収録の2日後です。短くリフレクティングというか、文字起こしを読んでみてどう感じたかを追記しておこうと思います。

(ふ)特に最後の方を読んで、とても恐ろしくなりました。けいこさんが「一般論」になる気持ちとか、自分とけいこさんの関係のこととか、全然見えてないなと・・・。でも「関係性についての対話」をすればいい、ということに気づけてよかった。その最初の一歩みたいでよかった。返事を保留していたのは「どういう関係になりたかったんだろう」と、プロポーズしてもらってようやく自分でも考えてみたからでもあります。この企画は生活に役に立つので一石二鳥だ・・・。

(け)改めて読み返してみて、プロポーズのくだりは、そのとおりだなぁっと思いました。受け手でしかなかったかも、私の気持ちも伝えていたんだろうけど、改まった形でプロポーズを私からするってなかったし、そういう二人の間でされるセレモニーみたいなのってお互いに、する・してもらうがセットなのが対等なのかな、と今は思います。

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相談室おうち mina4recovery.com
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