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オープンダイアローグと「人間関係@おうち」的なブログを始めます(自己紹介)

はじめまして!竹内冬彦 @mina4recovery と申します。ふゆひこと呼んでください。

私は精神保健福祉士です。精神科の病院を経営する法人などでの勤務を経て、2018年夏、同期の精神保健福祉士である妻とともに「相談室おうち」というジャンル不問の相談室を始めました。

この「相談室おうち」では、いわゆる「相談」をはじめとする全てのプロセスを「オープンダイアローグ」で行っています。

これを読んでくださっている方は、「オープンダイアローグ??」と初耳か、「はいはいオープンダイアローグね!!」と関心の高い方か、どちらかではないでしょうか。

今回は、オープンダイアローグ夫婦である私たちの自己紹介と、私(夫)のオープンダイアローグへの想い、そしてここnoteでやりたいことを書いてみたいと思います!

「オープンダイアローグ」はフィンランド式・人間関係コンサルテーション。事情を変え、関係をルネッサーーンス!する。(©髭男爵)

ものすごく平たく言ってみました。「おいっっ!」という、精神保健福祉業界からのツッコミが聴こえてきそうです。

オープンダイアローグは、フィンランド北部の「ラップランド地方」にあるトルニオという街の精神科病院で、1980年代に始まりました。

それまでメインの治療手段だった「薬」や「入院」を最小&最終のオプションとし、代わりに「開かれた対話」を用いる。その革新的な試みは目覚ましい成果を上げ、日本でも2015年ごろから急速に注目を集め始めます。

2020年の現在では、精神科医療への導入が試み続けられているのはもちろん、福祉や教育の現場での応用を始めている方もいます。

(私たちの「相談室おうち」も、そのような普及と応用の試みのひとつです。)

オープンダイアローグの「革新性」というか、不思議さは、「みんなでただ話しているだけで、どうして精神病がよくなるの??」という点にあるのだと思います。

医療福祉のギョーカイ人の一人として考えると、こう思います。「みんなで」「ただ話しているだけ」だからだよ!

①みんなで:
「患者さんやご家族についてウラで専門家だけで話し合う」とか「治療方針の決定について事前に根回しする」とかをしない。代わりに、患者さんやご家族、友人など、リアルで絡みのある人間関係でまるっと一堂に会して、そこでオープンに話す。

②ただ話しているだけ:
医師などの専門家が必要とする情報だけ聞き取って「〇〇病です」と診断したり「こうすればいいです」と助言したりするのを控える。代わりに、患者さんやご家族の話をゼロベースで聴く。めっちゃ聴く。むしろ専門家が教えを請う。

(また超平たく言ったので、業界からのツッコミが聴こえてきております・・・。)

オープンダイアローグについてもっと詳しく知りたい方は、ぜひ以下のリンク先を参照してください。

とにかくこのオープンダイアローグ、精神科医療のユーザー的にも、そこで働くスタッフ的にも、まさに革命なんです。発祥の地・フィンランドの西ラップランド地方では、患者さんの飲むお薬の量や入院日数は劇的に減り、職業生活に復帰したり障害年金が不要になった人すら増えたりしたとのこと。また、現地の精神科病院ではスタッフの離職率もとても低くなったそう。

オープンダイアローグはどうしてこんなにHappyに見えるのでしょうか。

平たく言ってばかりですが、私は、オープンダイアローグが人間関係をいい感じにするからだと思います。髭男爵的にいうと、人間関係が「ルネッサーーーンス!」するのです(ルネサンス=再び生まれる)。

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精神疾患は「人間関係の病」とも言われます。ストレスやネガティブな感情の多くは人間関係から生じますし、人間関係が悪く or 貧しくなると、必要な助けを得られず、人はますます追い詰められていきます。人間関係の心配が解消することで精神疾患がよくなるのは、私には当然に思えました。

ではなぜオープンダイアローグだと人間関係がよくなるのか。人間関係がよくなる話し方(対話)と、そうでない話し合いとの違いは何なのか。

個人的には、オープンダイアローグをすると「事情が変わった!」©髭男爵となるからだと思います。

(なんで私これほどまで髭男爵さんでたとえるのか、自分でもよくわかりませんが・・・。)

髭男爵さんのコントでは、山田ルイ53世さんが相方のひぐち君に一方的なツッコミを入れていくんですが、そのうち、ひぐち君の口から新しい事実が語られることがあるんですね。ツッコミを入れ続けるのがはばかられるような。

それを聴いた山田ルイ53世さんは「事情が変わった!」「待て待て」と言って、ひぐち君の話に耳を傾け始めるのです。

私は、オープンダイアローグでこれと似たようなことが起きているのではないかと思っています。

従来の話し合いの方法(「診察」や「相談」を含む)では聴かれなかった話が出てくることで、判断材料のリストが更新されるため、現実認識が変わるのだと思います。

しかも、これを複数人で相互に、同時にやる。「現実」と思っていた人間関係が「ルネッサーーーンス!」するわけです。

ではなぜ、従来の話し合いではそのような話が出てこなかったのか。どうしてオープンダイアローグでは出てくるのか。

ここでもやはり、「みんなで」「ただ話す」という構造、つまりそれが「開かれた」「対話」であるということそのものに、その秘訣が凝縮されているように感じます。

「みんなで」「ただ話す」ことで「事情が変わった」「ルネッサーーーンス!」。オープンダイアローグは精神病の治療に限らず、すべての人間関係に応用できるものではないかと、私は思っています。

私たちはとにかくオープンダイアローグが好きです

オープンダイアローグのことを書いていたら、つい長くなってしまいました。

そんなオープンダイアローグ大好きな私たちのプロフィールをこれからご覧いただきたいなと思います。(ナイツ風)

《ふゆひこ》
1980年北海道生まれ。2006年に精神保健福祉士となり、精神科の病院をいくつも経営する法人でキャリアをスタート。身寄りのない長期入院患者さんの退院支援をテーマに働きました。

その後、患者さんのご家族の会が始めた小さな”作業所”の管理者や「ひきこもり」の親の会の専属相談員、市町村に必ずひとつはある相談支援センターの相談員として働いてきました。

2013年、同期の精神保健福祉士であるけいこと結婚。

2016年、就職以来感じていた、精神科や医療福祉の現場でのジレンマがピークに達し、いったん仕事を辞めて海外プチ放浪へ。

(ちょっとマジメなストーリーはこちらになります。)

私がオープンダイアローグ、つまり「開かれた」「対話」と、それを通じた人間関係の修復に惹かれる理由もここに書いたので、よかったら読んでください。

夫婦の役割分担で、物書きは私が担当することが多いですが、今日はけいこも自己紹介を書いてくれました。

《けいこ》
こんにちは、けいこです。1982年生まれ。生まれも育ちも愛知県名古屋市です。

2006年から2016年まで精神保健福祉士として、医療法人や一般社団法人、NPO法人などで、障害や生活に困難を感じている方の相談や、通所事業所で働きました。いつも『居場所』ということに関心を持っていました。

オープンダイアローグとは2015年頃に出会い、現在に至ります。

私個人は幼少期からアトピーや喘息、大人になってからはがんのサバイバーでもあり、身体に『ふつうではないもの』とともに人生があります。これらの経験から、「丁寧に生きること」に関心を強く持っています。

これまでのすべての経験が、今のダイアローグの実践に少しずつ色んな影響を与えているのだろうな、と思います。それではマイクを戻します。

オープンダイアローグと相談室おうちで、「おうち人間関係」をルネッサーーンス!!したい。

というわけで、「はやくオープンダイアローグしたい!」と感じた私たちは、最速でそれを実現する場所として2018年に「相談室おうち」を始めました。東海地方初、そしておそらく世界最小のオープンダイアローグ実施機関だと思います。

相談室おうちを開くまでのことはこちらに書きました。

職業柄、私たちは「おうち」が「home(居場所)」でなくなってしまった方のご相談をたくさんうかがってきました。

「おうち=home」とは「family(家族) + house(住居)」だと教えられたことがあります。

「おうち」に安心して居られなくなっているとき、多くの場合、そこには親子や夫婦関係のトラブルがあります。

学校や職場と同じように、「おうち」にも「人間関係」があります。「おうち」での人間関係が良好なとき、そこは本当の意味で home となります。そんな sweet なことがあるでしょうか。

コロナ禍で家族が過ごす時間が長くなりました。助け合って危機を乗り越える存在として、お互いの顔をまじまじと眺めた家族も少なくないのではないかと思います。

相談室おうちでのオープンダイアローグを通じて、「おうち」での人間関係が修復し、さらにバージョンアップされたらいいなと思っています。

「おうち」を「おうち」に。

特に親子関係や夫婦関係の修復とオープンダイアローグについて書いていきたいです

ここまで読んでいただいてありがとうございます。

そんなわけで、ここ note では、オープンダイアローグと「おうちでの人間関係」について、思っていることを書いていきたいと思います。特に、親子関係や夫婦関係の修復、そして、そのバージョンアップというか、ルネッサーーーンス!!についてです。

他に、オープンダイアローグを精神科病院でないところで実践してみて思うことを、以下のブログで書いていこうと思っています。

オープンダイアローグは人間関係あるところ、(生命に危険の及んでいる緊急事態を除けば)たいていのお困りごとに対応できる、と私は考えています。

それどころか、お困りごとを解決するなら、まずするべきことがオープンダイアローグではないかと感じます。なぜなら、病院や相談窓口、弁護士さんや、その他「ジャンル別の相談先」に行く時点で、そこには、特定の誰かによる「きっとこういう問題に違いない」「この人のこの部分がどうにかなればいい」といった予断(原因探し)が生じているからです。

そのような状況のもとには、きっと「原因」や「問題」とされている人の「まだ発せられていない声」があるのではないでしょうか。その声が聴かれていたら、あなたはその窓口に行ったでしょうか。

「相談室おうち」がノンジャンルの相談室であるのには、そのような理由があります。「謝る/謝らない」とか「お薬を飲む/飲まない」とか「別れる/別れない」とかではなくて、まず互いの話を聴くこと。そこから現実(だと思っているもの)のルネッサーーーンス!!は始まると、私たちは信じています。


相談室おうち mina4recovery.com
夫Twitter @mina4recovery
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