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私にはこれが愛

あなたは私を愛してると言うけど、私はあなたの「愛」をどう受け取ればいいのかわからない。 私はただ、そばにいて欲しかった。だから、遠く離れた場所からの「愛してる」が、分からなかった。 離れてても愛されてる、と信じて生きていけるだけの強さもないから、忘れていくことしかできなかった。 あのころ、私はまだ7歳だった。 * 私は父が大好きだった。 私が幼い頃、父はある山奥の神社で禰宜を務めていた。白装束を纏った父の姿は美しく、張り詰めていた。子供心に、父が神に仕える時の人間

    • 何度でもあなたに会えますように

      屋久島の弥生杉が倒れた、というニュースをたまたま目にして、しばし静かな喪失感を味わった。20代の半ば、数ヶ月ほど屋久島に滞在しながら、屋久島中の山を登った。その中でも、もっとも数多く足を運んだのが、白谷雲水峡だった。住み込みのバイト先からバスに乗って、登山口で降りたらストレッチをして、駆け出した。弥生杉のあるあたりは人気のないコースで、太鼓岩を目指すほとんどの観光客はやってこない。ちょっとした穴場でもあった。 弥生杉のそばに座って、ただ静かなおしゃべりに興じたこともあった。

      • 嫌われたら、傷つくべきだろうか

        子供の頃、知らぬ間に人に嫌われていた、ということがよくあった。 幼稚園のとき、突然ある子に呼び出された。その子は今にも泣き出しそうな顔で、バツが悪そうに「あんたのこと嫌ってて、ごめん」と謝ってきた。目尻の釣り上がった感じの、ショートカットの女の子。 それで「ああ、やっぱ嫌われてたんだ」と思った。なんか意地悪をされてたと思う。ただ、何をされたか思い出せない。私はその時なんて返したかも、覚えてない。 中学生の時も、同じことがあった。男女グループの中で、一人だけ私のことが気に

        • 深く傷ついた人と時間を共にしながら、そばにいるのでも、なにかするのでもなく、「ただ在る」ことを静かに見つめる夏。 ただ在るだけで、空間に満ちる有機的なつながりが、ゆっくりと互いに作用を起こす。 その感覚が私と彼女の実存を温める。 人のレジリエンスを信じられる自分がうれしい🌸

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        私にはこれが愛

        • 何度でもあなたに会えますように

        • 嫌われたら、傷つくべきだろうか

        • 深く傷ついた人と時間を共にしながら、そばにいるのでも、なにかするのでもなく、「ただ在る」ことを静かに見つめる夏。 ただ在るだけで、空間に満ちる有機的なつながりが、ゆっくりと互いに作用を起こす。 その感覚が私と彼女の実存を温める。 人のレジリエンスを信じられる自分がうれしい🌸

          エッセイってなかなか密教的だなと思った話

          数日前に、父の死と向き合った4年間のことを書いた。 これを書いたのは21日の午後13時ごろ。太極拳の稽古を終えて、そばの公園の木陰でお弁当を食べて、さて一仕事するかなあと行きつけのカフェに入って、PCを立ち上げた。 頭は作業モードだったのに、なぜだか、その時イヤホンから流れてきた米津玄師の「さよーならまたいつか!」がやけに胸に沁みて、ふと指が滑り出して、気がついてたらあれを書いていた。 書きながら何度か泣いたと思う。修正をするときも泣いた。パートナーに読んでもらっている

          エッセイってなかなか密教的だなと思った話

          いつか河童を名乗るのが夢でした

          ペンネームを「Cappaちゃん」にした。いつか使いたい名前だった。 子供のころ、自分のことを河童だと思っていた。子どもの心の中のことなので、どこまで本気だったか思い出せないけど、少なくとも「私って本当に人間なのかな」とたびたび疑問に思っては、川辺でじっと草いじりをしていて、「ほんとは河童なのかも」と思うと、なぜだかすごく元気になれた、という記憶がある。 これまで20回以上も引越しをしているのに、ほとんどの家のそばには川があった。東京都心に住んでいた頃でさえ、渋谷川や暗渠が

          いつか河童を名乗るのが夢でした