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「新たなシンボルをここに」 フナイリバ ・ 大塚 剛 / 石野 亜童 / 尾関 虹野

OPEN MAGAZINE "Based in Nakameguro"では、中目黒エリアに拠点を構える店舗や人を特集し、街の魅力を繋いでいきます。

今回は、中目黒に住む人・働く人・訪れる人が出会い、交流し、ご縁を深める場・フナイリバ。

イベントスペース&街のフードコート「ヒロバ」と、 川の資料館跡を活用した交流型コワーキングスペース「タテモノ」が融合した中目黒の新施設です。

1937年に造られた船入場の跡地に突如現れた「フナイリバ」。2021年に一般社団法人ナカメエリアマネジメントが、目黒区と連携し、中目黒の新たな文化情報発信の場として蘇らせました。
長年放置されていた船入場ですが、フナイリバとして生まれ変わった今、この地域にどのような役割を担っていくのか。

お話を伺ったのは、一般社団法人ナカメエリアマネジメント( NAM:ナム )のプロデューサーとして、取り組みを主導した日本デザイン株式会社・大塚さん、NAMのクリエイティブディレクターとしてブランディングやクリエイティブ設計を一手に担うE inc.・石野さん、フナイリバのコミュニティーマネージャーとしてSNS運用やイベントの企画運営を行う尾関さんの御三方。

2023年4月にグランドオープンしたばかりの今、その後の「リアルなお話」からフナイリバの「これから」ついてお話いただきました。

繋がりが繋がりを呼ぶ街

-- まずは、大塚さんから。自身の会社を中目黒に構えてから15年以上経つそうですね。当時の中目黒はどのような印象でしたか。

大塚さん:当時「中目黒と云えばこれ」というものがなかった気がします。もちろん面白いお店はありましたが。今でこそ、桜の印象が根付いていますが、それはここ最近の話なんですよね。

--- では、具体的に今の中目黒はどのような街だと思っているのでしょうか。

大塚さん:今というか昔からですが「クリエイティブな人がたくさんいる街」だと思っています。デザイナーやアーティスト、自分でお店や会社をやっている人など、何かを作り出している人がたくさんいる印象です。
そんな街だからこそ、おもしろい出会いも多くあるんです。10年程前に中目黒の飲み屋で知り合った人たちと「中目黒を盛り上げよう」って映画祭を開催したことがあるんです。その開催場所がここ(フナイリバ)だったんですよ。

実は、その映画祭がきっかけで、地元町会の人たちと知り合い、地域の行事に参加するようになって行政と繋がり、「街のためにこの場所を活用できないか」という話から、今回のフナイリバが誕生したんです。

-- なるほど。繋がりが繋がりを呼んでフナイリバが誕生したんですね。では、フナイリバとは具体的にどのような場所なのでしょうか。

大塚さん:フナイリバは「タテモノ」と「ヒロバ」の2つの施設からなる複合施設です。
ヒロバは、イベントスペース&街のフードコート体験や食を通じ、新たな交流が生まれる場で、様々なイベントやキッチンカーでの料理が楽しめます。
タテモノは、交流型コワーキングスペース。刺激的な出会いや、つながりを提供し、街の中であたらしいビジネスやカルチャーが生まれる場です。ただ作業する場所ではなく、人が集い、そこから有機的な関係が生まれ、新たな事業やプロジェクトといった確かなアウトプットが生まれる場所を目指しているんです。

-- 子供から大人まで、多種多様な用途で活用できる場所なんですね。また、コワーキングスペースの交流型とは、大変面白い取り組みだと思いました。

大塚さん:中目黒って意外と個人で使用できるワークスペースが少ないんです。作業するとなると大概はカフェになるのですが、連日どこも満席状態で。そういった問題も解決しつつ、どうせなら多様な出会いも楽しんでほしい。作業場としても、交流の場としても、タテモノを活用していただけたら嬉しいです。

-- なるほど。まさに地域の課題も解決する取り組みですね。 では「ヒロバ」はどのように活用してもらいたいと思っていますか。

大塚さん:今まで行政が管理していた関係で、地元の人ですら活用しづらい場所になっていたと思います。なので、まずは地元のイベント会場として気軽に使って欲しいですね。

もちろん、自主企画のイベントなども開催予定です。ここを目指して人が集まり、交流する中目黒の新たなランドマークとして活用されると嬉しいです。

-- 当店も立地的に同じ課題感を持っているので大変共感するお話でした。では、中目黒という地域における課題はあるのでしょうか。

個人店は 「街の色」

大塚さん:「この地域を文化として残していく」と考えた時に、このままでは地価が右肩上がりで、気がついたら「残れる人しか残れない街」になってしまうような気がしています。実は住みずらいという。。。

昔からの商店は1階がお店で2階を住居としているところが多いんです。近年は、そういった商店が自分たちで商売を続けるより、物件を貸した方が稼ぎになるからと、店を畳み、物件を貸し出す動きも見受けられます。これは当然の動きですよね。

ただその時に、チェーン店のように体力があるところしか借りられない賃料だと、街の色がどんどん失われていきます。このことを街の課題としてしっかり把握しておく必要があると思いますね。

-- 中目黒という地域を文化として残していく。そのためには、どう繁栄していくかを考える必要があるのかもしれませんね。では、NAMのクリエイティブディレクター・石野さんにもお話伺います。

一住民として発信する

-- まず、中目黒という地域と自身の関わりについて教えてください。

石野さん:僕は鹿児島出身で大学進学時に上京してきました。中目黒は学生の頃から遊び場としてよく訪れていましたね。社会人になってからは、編集者として、打ち合わせや取材撮影など、仕事の場としても訪れるようになりました。今は生活の場として、僕の活動拠点になっています。

-- 中目黒でかなり長い時間を過ごされているんですね。ナカメエリアマネジメントから中目黒のローカルメディアをリリース予定と伺いましたが、そのお話についても詳しくお聞きしたいです。

石野さん:ただのローカルメディアではなく、中目黒という地域の課題を可視化していく取り組みでもあります。今、各都市で「コミュニケーションのミスマッチ」が問題視されています。つまり、行政とその地域に暮らす住民との間に情報格差が生まれている状態のことです。このローカルメデイアは、そのギャップを埋める一つのコミュニケーション手段として活用していきたいと思っています。

--大変素晴らしい取り組みですね。ローカルメディアということで、不特定多数に向けた発信になると思いますが、気をつけていることはありますか。

石野さん:不特定多数に届けるからこそ、「誰が書いたのか」「どう考えたのか」を明確にすることを大事に考えています。具体的には、色や温度が必要とされない「情報」を伝えるのではなく、街の課題やテーマを探し、企画・編集して書き上げる「記事」をつくること。その記事には、執筆者の名前はもちろん、目線や意見も入れていくこと。発信に責任を持つことで、あたらしい議論や発展が生まれていくようなきっかけを作れたらと思っています。

-- 共感を得れば、誰でも支持が得れる。そんな誰でも意見が言える時代だからこそ、責任感を持つことは忘れてはいけませんね。それで言うと、尾関さんはSNSの運用やイベントの企画運営など、フナイリバの発信面を担っているそうですね。

常に動いている状態をつくる

尾関さん:そうなんです。フナイリバは地域に開かれた場所なので、幅広い層の方々とコミュニケーションを取る機会があります。そのため、様々なコミュニケーションツールを使っているのですが、中目黒にはお年を召した方も多くいらっしゃるので、対人コミュニケーションが1番大事だと思うことが多いですね。

-- では、対人コミュニケーションで意識されていることはありますか。

尾関さん:まず、話を聞くことですかね。相手の感情や言葉の裏に隠された本当の思いを汲み取る努力は常に欠かせません。相手の言葉だけで理解しきれない場合は、適宜質問や「このような理解で合ってますか?」みたいな確認も取って、情報を補完し、理解を深めています。今後は、こういったヒアリング通してニーズを探りつつ、フナイリバの場づくりにも活かしていきたいです。

-- 最後に、フナイリバをどんな場所にしていきたいと思っているのか教えてください。

尾関さん:「中目黒と言えばここ」と思ってもらえる場所をつくりたいです。それこそ、中目黒のシンボル的な場所になれば嬉しいです。
私の役目の一つは、イベントを開催したりして、この場所を常に動かすこと。中目黒に住む人たちや中目黒で何かをしたいと思っている人たちが、この場所を活用して刺激し合ったり、打ち解けあって溶け合うような、そんな機会をつくりたいと思っています。

フナイリバは幅広い用途で使える場所ですので、ご興味がある方は是非ご連絡いただきたいです。一緒に中目黒の新たなシンボルをつくっていきましょう。


フナイリバ

中目黒駅徒歩5分。中目黒に住む人・働く人・訪れる人が出会い、交流し、ご縁を深める場所。

Open = 詳細はWEBサイトをご覧下さい。
Adress =  東京都目黒区中目黒1-11-18

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