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「受け入れてくれる街」CHOCOLATIER TAKA〔ショコラティエ タカ〕・矢島 清高

OPEN MAGAZINE "Based in Nakameguro"では、中目黒エリアに拠点を構える店舗や人を特集し、街の魅力を繋いでいきます。

今回は、東京・中目黒にあるチョコレート専門店 CHOCOLATIER TAKA〔ショコラティエ タカ〕。ショーケースには宝石箱をひっくり返したような光り輝くスイーツの数々。実は、パティシエでオーナーを務める矢島さんは、某有名ホテルやレストランで修行を積んだ元料理人。そんな矢島さんがパティシエを目指した経緯とは。スイーツ作りのこだわりや中目黒で店を構えた理由についても伺いました。

チョコレートの「自由度」に魅せられ、可能性を感じた

-- 単刀直入にお聞きしますが、パティシエを目指された「きっかけ」は何だったのでしょうか。

矢島さん:オーストラリアにある"ズンボ・パティスリー"というスイーツのお店で働いたことが1番のきっかけでした。10年程前、料理の修行でオーストラリアに行ったのですが、せっかくだからあまり触れたことがないスイーツについて学ぼうと思ったんです。

私が働いたお店ではマカロンが100種類以上もあって、中にはサーモンやナスのマカロンだったり、食品衛生上、日本では提供出来ないのではないかと思う物が多くありました。それがユニークで創造的だと思ったんです。

-- 海外でスイーツの魅力に出会ってから帰国後、どのようにして店舗開業まで至ったのでしょうか。

矢島さん:帰国後はホテルや専門店でパティシエとして働きました。そこではデザートも作る機会があって、チョコレートの魅力にハマっていきました。チョコレートは中にお酒も詰めれたり、様々な形に加工できたりして、自由度がかなり高いんですよね。それが面白くて。

日本では機械で大量生産された四角いチョコレートが多いのですが、私はひとつひとつ手作業で作られた、綺麗な見た目をしたチョコレートに魅力を感じるんです。

当時、そのようなチョコレートを日本で製造しているお店が少なかったので「だったら自分がやってみよう」と思い、開業を決意しました。

お客さまの視点に立ったスイーツ作り

-- 矢島さんは料理人とパティシエの二刀流ですね。料理人の経験がパティシエにも役立っていると思うことはありますか?

矢島さん:もちろんありますが、パティスリーで作るスイーツとレストランで作るスイーツって全く違うんです。

パティスリーは遠方から来てくださるお客さまも多くて、2〜3時間はスイーツを持ち運びする場合もあるんです。お店によっては柔らかく口溶けの良いケーキを販売していますが、持ち帰った時にケーキが崩れてしまうという経験が私自身よくありました。

お店で食べるならそれでいいと思うのですが、持ち帰った時に崩れてしまっていては意味が無いと思っているので、出来るだけ型崩れしないように工夫してケーキを製造しています。

-- 土地柄的にも持ち帰りやすいスイーツは需要がありそうですね。

矢島さん:そうですね、中目黒には有名なスイーツのお店が多くて、ケーキ屋さんだけでも10年以上続いているお店が3〜4店舗あります。そういったお店の中で「持ち帰りやすさ」というのは、差別化要素の一つだと考えています。

-- 矢島さんが作るスイーツには、どのような思いが込められているのでしょうか。

矢島さん:見た目にもこだわっているので食べる前も楽しんでいただけたら嬉しいです。市販のチョコレートに比べると少し値は張るので、10人いたら1人か2人しか買わないと思うんですよね。ですので、興味がある方や買ってくださる方に少しでも満足していただけるようなスイーツを目指しています。

また、近所の子供が『はじめてのお使い』みたいにお金を握りしめて、チョコレートを買いに来てくれたりもします。外でお母さんが見守っている状態ですが(笑)こんな感じでうちのスイーツを気軽に楽しんでもらえるのも嬉しいですね。

将来どうしたいかで変わる「今」

-- 店舗運営で心がけていることや大切にしていることはありますか?

矢島さん:今働いてくれているスタッフは、年齢がひと回り違ったりする人もいるので、その子のやりたいことをできるだけサポートしてあげたいと思っています。なので「何をしたいか」を最初に聞くようにしています。将来独立したいのか、それとも仕事として生活費を稼ぎたいのか、その子が今後どういった道を歩みたいのかで、今与えるべきことが全く変わってくるので。

-- たしかに。矢島さんの寄り添う姿勢はとても素敵ですね。

矢島さん:最近の若い子を見ていると、芯がある子が増えたなと思います。そういう子は意見を言ってくれるので、思っていることや気持ちが分かりやすく、建設的な議論ができます。

特に、海外では意見を言わなければ「何も考えていない」と思われてしまうので、芯を持って意見を言うことはとても良いことですよね。

中目黒は「受け入れてくれる街」

-- お店にはどんなお客さまが来られますか?最近だと海外のお客さんも多いのではないでしょうか。

矢島さん:そうですね、海外の方も結構来てくれます。近くに大使館もあるので、その影響もあると思いますが。

この辺りは有名企業の社長さんやIT関連企業に勤めていらっしゃる方、それこそ海外の方も多く住んでいて、贈答用や自分用にチョコレートを買いに来てくれます。

あとは、近所に有名なチョコレート屋さんがあるので、そちらとうちをハシゴしてくれる方も多くて有難いですね。

-- 開業の地に中目黒を選んだ「理由」があれば教えていただきたいです。

矢島さん:自分が作ろうとしているチョコレートを受け入れてくれそうな土壌がある気がしたんです。昔、中目黒の近くに住んでいて、この街はトレンドに敏感な方や経済的に余裕がある方が多い地域だと思っていたのでピッタリだと思いました。

あとは、程よく自然があるのも決め手でしたね。中目黒には川や公園もありますしね。あとは、海が近くにあれば最高です(笑)

-- お店を開業してから中目黒という地域のイメージは変わりましたか?また、新たな気づきなどはありましたか。

矢島さん:中目黒に限った話ではないのですが、「食べるよりも写真を撮りたい」みたいな気持ちが先行している人が増えたように思いますね。

-- 矢島さん的に、そういった人たちとどのように向き合っていきたいと考えているのでしょうか。

矢島さん:私はただお客さまと向き合って満足していただけるように、スイーツ作りに精一杯向き合うしかないですね。宣伝の仕方も短期的に儲かる方法ならいくらでもありますが、店舗運営では中長期的な視点が欠かせないので、慎重に決めています。

でも、うちに来てくれるお客さんは本当に良い人ばかりなんです。中目黒は落ち着いた人も多くて、適度な自然もあって、本当に良い街ですよ。

高いリピート率の「理由」

-- 矢島さんのインタビュー記事をネットで拝見しました。「愛されるお店」を目指されているとのことでしたが、具体的にされている取り組み等はありますでしょうか。

矢島さん:スイーツのお店では珍しいと思うのですが、うちはできるだけお客さんに話かけたり、帰り際に外まで見送るようにしています。もちろん、全ての人が気持ちの良いサービスだと感じるとは思っていません。なので、スタッフにも強制はしていないです。

ですが、挨拶だけはしっかりするように指導しています。入店時の挨拶がしっかりしているお店は良いお店だと思っているので。

-- 以前、お邪魔した際も丁寧に商品の説明をしてくださったことがとても印象に残っています。

矢島さん:少し値が張るからこそ、価値を感じていただけるように、しっかり説明する必要があると思っています。そうすることで、リピートとしてくださるお客さまも徐々に増えていきました。うちは有名店と比べて来客数は劣るかもしれませんが、リピート率は高い方だと思います。

スイーツを通して繋がりたい

-- お店としてこれから挑戦していきたいと思っていることはありますか?

矢島さん:今年の8月で開業4年目を迎えましたが、催事のお話もいただいたりしているので、もっと外に出て活動してもいいのかなと思っています。中目黒には色々なお店があるので、飲食店やその他の事業経営者の方々と一緒に何かやりたいですね。

パティシエの中でもスイーツだけをひたすら作る、根っからの職人気質の方もいますが、僕はスイーツを通して色んな人と関わりを持っていくのが楽しいんです。

-- 最後に、矢島さんが挑戦したいと思っていることはありますか?

矢島さん:そうですね、いつか海外に自分のお店を持てたらと思っていますが、まだまだ中目黒にあるお店や人と繋がっていきたいので、新たな挑戦をしながら、スイーツを通して中目黒を盛り上げていければと考えています。


CHOCOLATIER TAKA〔ショコラティエ タカ〕
東京の目黒川沿いにあるチョコレート専門店。ケーキや焼き菓子、クロワッサンも取り扱う。
Open = 12:00〜18:30
Regular holiday = 水曜日
Adress = 東京都目黒区青葉台1丁目16−6 クリスタルメゾン 1階
InstagramWEB

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