「繋がれる時代に必要なこと」 R atelier & Co. 〔アールアトリエ〕 ・ 小花 亮介 / 小花 彩加
OPEN Magazine "Based in Nakameguro"では、中目黒エリアに拠点を構える店舗や人を特集し、街の魅力を繋いでいきます。
今回は、中目黒の閑静な住宅街にあるレザーワークスペース・R atelier & Co. 〔アールアトリエ〕。
使えば使い込むほど深い味わいが出る「栃木レザー」を使用し、誰でも簡単に本格的なレザーアイテムが作れる都内屈指のレザーワークスペース。なかでも圧倒的な人気を誇る「レザーサンダル」は、国内外問わずファンの多いアイテムです。
R atelier & Co. では、YouTubeチャンネル・ヒゲチャンネルの運営も行い、レザークラフトの魅力も発信されています。今回は代表の小花さんに、レザークラフトに出会ったきっかけや、今後の展望についてもお話しいただきました。
※ インタビューは夫・小花 亮介さんにお応えいただきました。
自分で作り、そして売る。
-- 早速ですが、レザークラフトとの出会いについて教えてください。
小花さん:僕が大学生の頃、某有名なインディアンジュエリーブランドが流行ったんです。バタフライウォレットというアイテムが喉から手が出るほど欲しくて。ですが、当時の僕には到底手が出せない価格で。なら、自分で作ろうと思ってレザークラフトをはじめたんです。
-- 最初は自分のためにレザークラフトをはじめられたんですね。
小花さん:そうなんです。祖母の趣味がレザークラフトだったので、工具類は実家に揃っていたんです。当時、近くのお店に制作過程を見に行って、技術を盗んだりしていました笑。かなり熱中して取り組んでいたのですが、大学卒業後は一般企業に就職して、レザークラフトはあくまで趣味として楽しでいました。
-- なるほど。友達から「作ってほしい!」なんて言われることもあったのではないでしょうか。
小花さん:そうなんですよ。周りからの需要も正直感じていました笑。社会人になると名刺入れが必要になってくるので、名刺入れを作ったあげた記憶もあります。
僕にはもともと独立心があって「30歳までには」と考えていました。どの業界で独立するかは全く決めていませんでしたが、キャリアの途中でレザー業界に転職したことが僕の転機となりました。そこでビジネスの観点からレザークラフトを学ぶことができたんです。
レザー職人は作ることに長けていますが、売ることに注力する機会は少なくて。でも僕なら作ることもできるし、前職で培ったスキル〔 セールスやマーケティング 〕を活かして、売ることもできるかもしれないと思ったんです。
それに、当時は既に完成されたレザーアイテムが多い印象だったので、自分で作るという体験を通して世界でたった一つのレザーアイテムを作ることができたら、きっと喜んでくれる人がいるはずと思ったんです。
ありのままの僕らを。
-- では、ここはどのようなお店なのでしょうか?
小花さん:R atelier & Co.では、オリジナル商品の販売も行っていますが、レザーサンダルやバッグが作れるワークショップもご用意しています。作ったものはその日に仕上がるので、海外のお客様でもお土産として持ち帰ることができます。
最近は外国人の受講者も多くて、ワークショップが異文化交流会みたいになっています笑。受講者の中には同業種の方も多いので、その方たちのアトリエをお貸りして、出張ワークショップを開催させてもらうこともあります。そんなご縁があるのもこの場所の魅力なんです。
-- YouTubeチャンネル・ヒゲチャンネルもやられているんですよね?
小花さん:僕自身、ラジオを聞くのが大の趣味で。Instagramのライブ機能も活用して、お店のことやレザークラフトの魅力について配信しています。そこでは、僕たちのパーソナルな部分も包み隠さずお届けしています笑。
良くも悪くもですが、今はSNSを通じて色んな方々と繋がれる時代です。僕らもみなさんのことを知りたいですし、みなさんにも僕らのことを知ってもらいたくて。今晩の献立や今思っていることなど、本当に些細で日常的なことを配信しています。
旗振り役が必要。
-- 中目黒という街にどのようなイメージをお持ちですか?
小花さん:そうですね、、。いざどういう街かと聞かれた時に、スッと答えられないのがこの街の現状を物語っている気がしていて。例えばですが、下北沢や高円寺と言えば古着の街みたいなイメージがありますが、中目黒にはそこまでのイメージはまだない気がします。
この街に来る人たちは「ここに行きたい!」っていう一つの強い目的はある印象ですが、その目的が達成されてしまうと2件目を探すことに苦戦し、彷徨ってしまう方も多い気がしています。中目黒はオシャレでコアなお店も多いので、入店しづらさも多少はあるのかと。もっと街を巡りやすくする工夫も必要かもしれませんね。
-- それこそ、当店・OPEN NAKAMEGRUOでは中目黒にあるカフェを紹介する「カフェマップ」を作成しています。カフェを巡りのついでに中目黒という地域を巡り歩いて欲しい、という想いから制作をはじめました。
小花さん:カフェマップ、とても面白い取り組みだと思います。今お話してて思いましたが、中目黒はショッピングモールみたいな側面もありますよね。お店ごとに歩寄ろうとする姿勢はありながらも、各々でやっているというか。そういった意味では街全体を盛り上げていく旗振り役が必要な気がしますね。
もっと外に出ていく。
-- 最後に今後の展望についても教えてください。
小花さん:今後は海外での活動にも力を入れていきたいと思っています。コロナ以前はソウル、タイ、バンコクなど、アジアを中心にワークショップを行なっていました。
僕はカタコトの英語しか喋れませんが、言語が通じなくても、レザークラフトを通して様々なご縁に恵まれました。これからもこの場に限らず、僕らがもっと外に出いってレザークラフトの魅力を伝えていければと思います。