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かぼちゃケーキのトライフル|理想を叶える自分おやつ #2

大好きな本『マカン・マラン』シリーズの2作目『女王さまの夜食カフェ』に登場するデザートがトライフルでした。

食べることと読書が好きな私は、美味しい料理が登場しそうな本をついつい手にとってしまいがちです。そして、そういった本は私の大切な一冊として、心の中にも積まれていきます。



1.マカン・マラン


物語の舞台は夜食カフェ『マカン・マラン』。店主のシャールさんは不思議な魅力を持った強く優しい人です。訪れるお客さんに美味しい料理とハッとする言葉をかけてくれ、読み終わるとじんわり心が温まりました。

そして登場する料理が本当に美味しそうなのが、『マカン・マラン』の魅力でもあります。料理アイデアや知恵も紹介され、読んでいて楽しいのです。

シリーズ2作目『女王さまの夜食カフェ』、第一話の主人公は自分がないということに悩む派遣社員でした。周りに合わせていて、いい人と言われる自分のことを「つまらない」「偽物のよう」と思っています。

物語の中盤で、おもてなしの蒸しケーキを作る場面がありました。しかしマクロビのケーキは上手く固まらず崩れてしまいます。

そんな失敗ケーキを冷蔵庫で見つけたシャールさんは、「トライフル」として見事に蘇らせてくれました。



2.トライフルとジンジャーティー


シャールさんが作り方を話してくれています。

オレンジジュースに浸しただけよ。後は冷凍庫にあったブルーベリーと胡桃をパラパラ散らして、最後に豆乳クリームを盛っただけ。
要するに、ぱさぱさになったケーキとありあわせの果物でも、工夫次第で美味しいデザートに変身するってこと。

『女王さまの夜食カフェ』古内一絵

トライフルにラム酒をふりかけると、まるでサバランのようになるそうです。このひとことにも惹かれて試したくなりました。


お茶はジンジャーティー。
ジンジャーティーは『マカン・マラン』の色んな場面で登場していて、お茶好きの私としては心惹かれる飲み物です。

どうやら、カルダモンとシナモンをブレンドしていいるらしく、シャールさん特製のようです。生姜もカルダモンも大好きなので、とても気になっています。

シャールが煎じてくれるお茶は、夏はほてりが引き、冬は体が温まる。ハーブとスパイスの効果だというが、どことなく秘薬めいたお茶だった。

『女王さまの夜食カフェ』古内一絵




3.かぼちゃケーキでトライフルを作ってみた


そして、物語の終わりに主人公が作っていたのが、かぼちゃとレーズンの蒸しケーキです。

ふとした瞬間に思い出して、かぼちゃの蒸しケーキを作りたくなります。と言っても、私の場合はホットケーキミックスと電子レンジなのですが、いつかは『マカン・マラン』のようにマクロビ料理にも挑戦したいと思っています。

そんなかぼちゃケーキで、初めてトライフルを作ってみました。

せっかくなので作り方を書き記しておきます。

・ブルーベリーでジャムを作る
・ヨーグルトと市販のレアチーズを混ぜて、クリームを作る
・かぼちゃケーキを角切りにする


『マカン・マラン』を読まなければ、きっと作ることはなかったであろうと思います。盛り付けてみると、達成感とか満足感がありました。そのとき家にあるもので、こういうデザートが作れるというのは素直に嬉しいです。

再現度としては低いと思うのですが、物語の世界を自分にできる範囲で活かすという楽しみを知りました。



4.「充分」という言葉の重み


本を読んだときから、いつか食べてみたいと思っていたデザート「トライフル」。

やっと作ることができました。最後にシャールさんの言葉を引用させていただきます。

トライフルっていうのはね、"つまらないもの"って意味なのよ。ありあわせで作るから、そんな名前がついたのかもしれないわ。
少なくとも、私はトライフルが大好き。こういうちょっとしたデザートって、食べてて気分が落ち着くし、何より会話が弾むじゃない。

充分─。
それだけで、充分よ。

『女王さまの夜食カフェ』古内一絵


「つまらない」とか「つまらなくない」とかではない。誰もが何者でもなく、それでいい、それで充分だと言ってくれたのです。

シャールさんの「充分」という深い言葉が心に沁みました。けれども毅然とした姿は、決して自分の為だけでなく大切な誰かの為にも、という、強さと優しさとを兼ね備えていたのです。


西淑さんの装幀は『マカン・マラン』シリーズの
数多くある魅力のうちの1つだと思っています。

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