見出し画像

日本の議員報酬の話。世界と比較して実際はどうなのか。新しい民主主義

よくYouTubeなど、インターネット上で「日本の議員報酬は世界的に見ても高い!人数も多い!」と言われますが、これを多角的に見ます。
TikTokやXなどでも言われているのかもしれないですが、私が使っていないので、あくまで全体でそういわれているという過程で…
だから炎上しても私は知るすべはありません。


前提条件:日本の議員報酬

さて、まず最初に最近よくある言説、「日本の国会議員報酬は高く、議員数も多い」ということ。

この発言をするうえで、発言者などが何を問題視しているかというと、
「日本は税金からの議員への負担が大きい」ということと、
「議員は高い高い報酬をもらっていて不相応である」ということであると思います。

実際、日本の議員報酬は高いのでしょうか。Perplexityで調べました。

世界ランキングで上位:
日本の国会議員の報酬は、世界30カ国のランキングで第3位に位置しています
高額な年収:
一般の国会議員でも年収は4000万円以上に達します
追加の手当と特典:
議員には様々な手当や特典があります。例えば、JR無料パス、格安の議員宿舎、秘書3人の雇用費用など
世界トップレベル:
諸手当を含めると、日本の国会議員の報酬は世界1位の水準になるとの指摘もあります
国民との乖離:
日本の1人当たりGDPが世界19位(2020年時点)であることを考えると、議員報酬の高さは国民の平均的な経済状況と乖離していると言えます
批判の声:
このような高額報酬に対して、「身を切る改革はどうなった」「経費削減はどうしたのか」など、批判的な意見が多く出ています

Perplexity

よく聞く感じの情報が集まりました。手当も含めると、日本は世界で最も議員の報酬は高いといわれています。
実際に、これは本当だとして、では議員の「ほかの資金源」を他国と比較してみましょう。

国会議員には、公式の報酬以外にも様々な資金源があります。主なものは以下の通りです:
政治資金パーティー収入
政治家が開催する資金集めのパーティーからの収入です
個人や企業・団体からの寄付
政治資金規正法に基づき、個人や政治団体からの寄付を受け取ることができます
政党からの交付金
政党が受け取る政党交付金の一部が、所属議員に配分されることがあります
立法事務費
政党や会派に支給される月額65万円の立法事務費の一部が、議員個人に渡ることがあります
株式投資や不動産収入
多くの議員が株式投資や不動産所有からの収入を得ています
講演料や原稿料
講演や執筆活動からの収入も重要な資金源となっています
会社顧問料
一部の議員は企業の顧問を務め、報酬を得ています

Perplexity

いろいろ細かく出ましたが、要は大別すると、国や、政党交付金をさらに党内で分割した「税金から出ている報酬」と、パーティや個人、企業からもらう「民間からの寄付」で成り立っていると考えられます。

ネット上で言われている言説は、税金から出ている報酬が法外に高いといわれているわけです。政治資金パーティで不正に稼いでいるじゃないか!裏金だ!とも言われていますが、それを吹き飛ばすようなレベルの国があります。

世界に目を向けてみる。議員報酬と、献金額

それはアメリカです。かの国は資本主義の本場であり、年金はおろか国民皆保険制度すらまともにないような、「自分で何とかしろ」を体現した国であり、税金は低く、それゆえにボランティアがいなければ道路すらまともに修繕できません。
ではアメリカの議員報酬はどれほどなのでしょうか。

アメリカの連邦議員の報酬について、主な点をご説明します:
基本給与:
上院議員と下院議員の基本給与は同額で、年間174,000ドル(約1,914万円)です
議会指導部の追加報酬:
下院議長は年間223,500ドル、上下両院の多数党・少数党の院内総務は年間193,400ドルを受け取ります
手当:
議員には様々な手当が支給されます。例えば、スタッフ雇用費、オフィス経費、交通費などがあります
健康保険と年金:
議員は連邦職員と同様の健康保険と年金制度に加入できます
給与凍結:
2009年以降、議員の給与は凍結されています
日本との比較:
アメリカの議員報酬は、日本の国会議員と比べると低めです。日本の国会議員の年収は4000万円以上に達することがあります
透明性:
アメリカでは議員の報酬や手当の使用について、比較的透明性が高いとされています
副業の制限:
アメリカの議員も副業が可能ですが、利益相反を避けるための厳しい規制があります

このように、アメリカの連邦議員の報酬システムは、基本給与に加えて様々な手当や福利厚生が提供されていますが、日本の国会議員と比較すると全体的な金額は低めとなっています。

Perplexity

なんだ!アメリカのほうが安いじゃないか!となるのは時期尚早です。
アメリカほどの物価、人口、経済規模でありながら、現段階では議員を目指す理由は皆無です。貧困を救いたいからだとか、弱者の代表だとか、きれいごとでは世界は動いていません。

以下は、アメリカの「献金額」について調べたものです。

アメリカの連邦議会議員の一人当たりの献金額について、以下の情報をまとめました:
上院議員の場合:
上院議員選挙では、2024年3月までに総額839,740,834ドルの献金が集まりました
下院議員の場合:
下院議員選挙では、2024年3月までに総額1,116,375,035ドルの献金が集まりました
個人献金の制限:
個人が候補者委員会に対して行える献金の上限は、選挙ごとに3,000ドルと定められています
PAC(政治活動委員会)からの献金:
マルチ候補者PACからの献金上限は、選挙ごとに5,000ドルです
全体的な傾向:
2023年1月から2024年4月までの期間で、連邦議会選挙(上院・下院)と大統領選挙のキャンペーンに対して、総額約86億ドルの献金が集まりました
支出状況:
2024年4月時点で、集まった資金のうち約39億ドルが選挙活動に使用されています

これらの数字は平均値や総額を示すものであり、実際には候補者によって大きな差があります。例えば、上院選挙ではメリーランド州のDavid Troneが5,490万ドルと最も多くの献金を集めています。
また、これらの金額には個人からの直接献金だけでなく、PACや政党委員会からの献金も含まれていることに注意が必要です。

Perplexity

ということで、アメリカは文字通り桁違いの献金を受け取っていることがわかります。もちろん、アメリカは非常に極端な例ではあります。ただ、日本の議員報酬を批判したいがために、それしか見ないのと同じくらい偏った意見ではありますよね?

煽りはさておき、基本的に欧州においては献金は非常に制限されています。G7全体に視界を広げてみると、
カナダ、フランスでは、企業や団体からの献金は禁止されています。

全部について情報収集、分析を行うのは骨が折れるうえ、読んでいて飽きると思うので、とりあえず一番潔白そうなカナダを調べました。フランスは腐ってそうなので。

2023年のカナダの主要政党における献金額について、以下の情報が報告されています:

保守党
2023年の総献金額は約3520万カナダドルで、約20万人の寄付者から集まりました
これは保守党の過去最高の献金額記録となり、カナダの政党史上最高額となりました
第4四半期(10-12月)だけで約1190万カナダドルを約66,000人の寄付者から集めました

自由党
2023年の総献金額は約1560万カナダドルでした
第4四半期には約580万カナダドルを38,288人の寄付者から集めました
寄付の93%が200カナダドル以下で、中央値は12.50カナダドルでした

新民主党(NDP)
2023年の総献金額は約680万カナダドルでした
第4四半期には約260万カナダドルを19,289人の寄付者から集めました
保守党のピエール・ポワリエーブ党首は、この記録的な献金額について「カナダ人が変化を望んでいることが明確になった」とコメントしています

一方、自由党は寄付者数が安定していることを強調し、草の根レベルでの強い支持を示していると主張しています

Perplexity

ではこれを議員一人当たりいくらになるか聞いてみましょう。

国会議員一人当たりの献金額について、以下の計算結果が得られました:2023年のカナダの国会議員一人当たりの献金額は約130,022.57カナダドルです。
この計算は以下の情報に基づいています:カナダの国会議員総数:443人
上院(元老院)議員:105人
下院(庶民院)議員:338人
2023年の主要政党の総献金額:57,600,000カナダドル
保守党:35,200,000カナダドル
自由党:15,600,000カナダドル
新民主党(NDP):6,800,000カナダドル


この金額は、全ての献金を全ての国会議員で均等に分配した場合の理論的な数値です。実際には、政党や個々の議員によって受け取る献金額には大きな差があると考えられます。また、この計算には主要3政党の献金のみが含まれており、他の小規模政党や無所属議員への献金は考慮されていないことにも注意が必要です。

Perplexity

カナダドルは2024年九月末時点で、だいたい1ドル100円くらいのレートでした。よって日本円ではおおよそ1300万円くらいです。どうやらひと月前からだいぶ円高気味なので、若干少なく出ているでしょうか。

まぁだとしても個人献金で一人当たり1300万円って結構ありますね…もちろん企業献金ができないから社長が個人名義で献金しているのが相当数だと思いますが…

ちなみに日本で開示している献金額は政党交付金などを含む額になっているので、正確な額はわかりませんでした。まあ、責められるとしたらこういうところではないですかね…
実情がわからない限りは議論のしようもないですし、隠しているといわれても仕方ないというか。

本題:日本の議員報酬を下げようとする言説はどこから来た?

さて、ここからが本題です。
今までの話の中で、日本の議員報酬は高いことはわかりました。
しかし、基本的に献金額についてはG7の中では標準レベルか少し高いくらいです。(アメリカみたいな極端な国と比べたらもちろん低いですが)G7においてはアメリカ以外は非常に左派色が強い国が多いので、献金額は低くなりがちです。

議員はなぜ、お金を欲するのでしょうか。普通に人間だからお金は欲しいからです。それに政治にはお金がかかります。民主主義のサブスクは非常に高価です。買い切りにはできません。

そもそも、個人的な意見として、「俺は金なんか要らねぇ!正しいことをするだけだ!」みたいなタイプは非常に危険視しています。その人個人の中の価値観だけで決定することになり、ストッパーがいない可能性が高いからです。レーニンだとかヒトラーだとかポルポトみたいなのはだいたいこういう感じでした。

さて話は戻り、議員報酬を下げられた場合、日本の国会議員はどこに資金を求めるかというと、これは個人、団体問わず、献金を頼ることになります

献金額が増え、議員報酬が下がることで、一部の莫大な利益を上げている個人、企業への依存度が上がり、彼らに優位な法律、予算、政策が通るようになるわけです。

このシナリオを思い浮かべ、実現しようとしている人がまさに「日本の議員報酬は高い」を主張している人です。
この言説を動画で見たことがある人は、どういう人が言っていたかぜひ思い出してほしいと思います。
〇王〇紙(〇子〇紙?)の元?会長だったり、〇リ〇モンだったり、個人レベルで莫大な資産を持つ人間がたいていこういう意見を支持しています
この意見を支持するそれ以外の金のない人は、よっぽどの資本主義肯定派か、視聴者集めのための一般論を流布するタイプか、この意見を聞きすぎて自分で考えたどり着いた発想だと勘違いした人のどれかです。

彼ら個人レベルで金持ちの人々は、現代人の心理を非常に巧妙に利用して、自身が政治に対する影響を「一票」よりも大きくする活動にいそしんでいます。
現代人は、インターネットの普及や、日本が先進国として進むとこまで来た結果として、一般の喜び(車ほしい、家ほしい)から、普通じゃいやだ、つまり精神的にユニーク(固有)で自分だけの人生、喜び、地位を欲するようになったために、日本が裕福になったことで最低レベルの生活保障がされるようになったことを利用して自身の努力や自己実現をあえて逃すことで社会的レール(一般の喜び)から外れて固有の人間であるアイデンティティを得ることに成功しつつも、一方で成功者になりたかったと思う気持ちを利用して、対談式の動画を配信し、自身も彼らの中の一人であると錯覚させ、そういった配信者は陶酔状態に陥った視聴者に自身が有利になるような思想、主張を提供します。

今まで考えたことはないでしょうか。「アメリカで、ビルゲイツが日雇い労働者と同じ政治的影響力なわけないだろ」と、
政治的正しさを持つ人は「そんなことは許されない、平等に一票を持つ政治システムなのだから、同じ人間で政治的影響力に差を設けるのは平等に反する」と思うでしょう。

経済的な力と、政治的な力を同じにしてはいけない、これは日本だけではなく世界中である発想です。
だからG7の中にあるイデア主義的な国(=左派思想が強い国)は企業献金を禁止している国があるわけです。

まとめと感想

ここまでのまとめとして、
日本の議員報酬は、実際世界的に高い。
ただ、献金額は特別高いわけではない(アメリカなんてめちゃめちゃもらってるぞ)
左派色が強い国は献金額、議員報酬ともに低い

となります。そして、

議員報酬を下げようと言説を出している人は、その個人の政治的影響力を一票以上に拡大してやろうと考えている民主主義の敵

ということです。激しい言葉を使ってはいますが、まぁ平等選挙を第一にしている現代の民主主義では敵に当たるというわけです。彼らの描く、一部の賢い、力を持った人が先導する新しい民主主義、いうなればエリート民主主義が実現されれば、彼らはまさに民主主義の権化になるわけですが。

議員報酬が高く、献金までもらってるとはふてぇやつだ!制限してやる!俺も今日からイデアリストだ!という人は、そういう理由で政治主張を変えるのは待っていただきたい。

鄧小平の言葉に「黒い猫でも白い猫でも鼠を捕るのが良い猫だ」という言葉があります。これは政治の人の言葉の中でかなり好きな言葉(やったことはともかくとして)なのですが、要するに「やり方はどうであれ、国が発展いい政策ができる、思想がいいであって、思想が先にあって政策がついてくるわけではない。適材適所でいこうぜ」ということです。
議員報酬を減らせば、富裕層の意見が通りやすくなり、議員報酬が上がれば、一般人の意見が通りやすくなる。どちらも減らせば、政治家個人に裁量がかなりゆだねられる。というわけです。
どのバランスがいいかというのは正解を出すのは人間レベルの矮小で傲慢な知性ではできないでしょうが、ただ、国によって、時代によってこれくらいなら納得でしょ。というくらいの量を見つけるのが最も現実的でしょう。

今後人間は知性ではAIに抜かれます。となれば、「イやな感じだなぁ」とか「それはムカつくなぁ」といった感情面での裁定を下すのがAIを上回る人間の最も優れた特徴になるわけなので、全員がそれなりに納得する塩梅を適宜探していくのが求められると思います。ただもちろん、いい感情だけではネズミを捕る猫にはなれないと思いますが。

ホリエモンの言葉を借りれば、「現代人は文字を読むことができない」人が多いので、動画で上のような主張を展開している〇リ〇モンなどよりはるかに低い影響、理解になってしまうために、こういうことをnote上で主張してもあまり意味はないと思いますが…まあ読む人が読んでくれればいいです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?