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渡部昇一「知的生活の方法」講談社現代新書 渋谷教育学園幕張中学校過去問

渋谷教育学園幕張中学校で平成11年、渡部昇一さんの「知的生活の方法」が出題されました。「刀の目利きになる一番確実な方法は、自分の所有物として持ってみることでしょうな」と私の恩師である故斎藤順太先生は言われた、という、身銭を切るという話です。(同書P70)

素人でも自分で身銭を切って刀を買って手元におくと、だんだん価値が分かって来る、という話である。これはまさに本にも当てはまる話ではないだろうか。と著者は述べています。(同書P70)

そして、若いうちは収入が少なくても少ないなりに、自分の周囲を身銭を切った本で徐々に取り囲むように心がけてゆくことは、知的生活の第一歩である、としています。(同書P71)

また、六畳一間の下宿生活でも、その三方に身銭を切って集めた本があれば、それはライブラリであると観ずべきである。個人の蔵書ライブラリはいくら小さくても、その人の図書館ライブラリなある、としています。(同書P71)

何年か前に、海城中を志望する受験生に言ったことがあります。「世の中の人間は2種類しかいない。岩波新書を買う人間か、買わない人間かのどちらかだ。買わない人間は一生買わない」もちろん冗談です。

この受験生は偏差値こそ55でしたが、伸びしろのある優秀な生徒だったので、こう言ったのです。その後どんどん成績を伸ばして、第一志望の海城中は補欠合格でしたが、第二志望の有名私立中学に合格しました。親子共々満足して受験を終えることができました。

合格報告の電話を頂いた時に、「これからは一生岩波新書を買い続けていきます」と宣言していたのが印象的でした。

本は大事にすれば、長持ちします。そしてたえず精神・生き方に栄養を与え続けてくれるでしょう。個人の価値観ですが、すぐに流行遅れになって着られなくなる服に数万円を費やしても、千円弱の岩波新書を高いと言って買わないのはコストパフォーマンスを考えるとおかしなことだと思うのです。

そして本を買う層の中でも、古典を選ぶ人は残念ながら多いとは言えません。逆に言えば岩波文庫を買って古典を読み続ける人、それが若者ならどんな社会や業界にいても、間違いなく頭角を現しリーダーとなり、社会を引っ張る人間となるでしょう。

50代・60代の岩波文庫や岩波新書で青春を送った立派な大人達が放っておくはずがないからです。

中学受験で良書を読むということは、将来各分野でリーダーになるチャンスを得る事につながるのではないでしょうか。



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