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妻恋う鹿は笛に寄る(自作の詩と散文)

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瀬戸内海に面する小都市で暮らし、働きながら詩や散文を詠んでいます。情景を言葉として、心で感じたことを情景にして描くことを心がけています。言葉の好きな方と交流できたらいいなと思って…
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#孤独

人恋しくて

人恋しくて

心に根ざす 闇の中
灯り求めて さまよゑる
孤独な旅を 人は知る

荷負い傷負い 重い足
淋しい胸を 癒すのは
袖触れ合える 人の匂い

己の背負う 宿命の
匂いを人に 伝えたい

袖触れ合える 人背負う
匂いをわが身に 刻みたい

どこまで行けども 独り道
散りし時にも 独り花

人人求め 人求め
独りで歩く 定め持つ

夏の宴や 花火の夜
着飾りし人 闇まぎれ
無言で袖を 触れ合える
喜び胸に

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瑠璃色の目

瑠璃色の目

空と海の境い目に

一羽のウミネコが棲んでいたと言う

瑠璃色の目をした 孤独なウミネコ

同じ色の目をした仲間を探して

世界中を飛び回って探したが見つからなくて

悲しんで落とした涙によって

今の青い海の色になったと言われている

瑠璃色の目をしたウミネコは

最後、海に身を投じた

海の波間に散らばった羽毛は

一枚、一枚が魚になったと言われている