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妻恋う鹿は笛に寄る(自作の詩と散文)

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瀬戸内海に面する小都市で暮らし、働きながら詩や散文を詠んでいます。情景を言葉として、心で感じたことを情景にして描くことを心がけています。言葉の好きな方と交流できたらいいなと思って…
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2023年8月の記事一覧

風

見えない何かに守られて

ここに存在する

見えない何かを守って

ここに存在する

それは過去現在未来

遠く及んで形づくる

何にもしてないようでも

私の風は誰かの風になり

誰かの風がまた誰かの風になる

笑顔の朝

笑顔の朝

あなたに出会う為に
迷いはぐれて見失い
ここにたどりついた

あなたに出会う為に
ベストタイミングで
ここにたどりついた

あなたの存在する朝
皆の未来だった今日
くすりと笑顔になる

六等星

六等星

夜空の散歩道に
灯りがともる

薄らと遠くが明るく近くが暗い
専ら清かな夢のよう

車のヘッドライトに
運転手の息吹がこもる

例え独善者でも愛されてきた人
例え毒舌家でも袖擦れ合う人

群青の闇に
星影が映る

一番星見つけた人
この指とまれ

飛行機見つけた人
もう私たち友達だね

一緒に帰ろう
一緒に夕飯食べよう

困ったことがあったらこの電話番号へ
政治家の街宣車が走る

困ったことがあっ

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待つ

待つ

何かを期待して

待つ

そんな人生もいいかもしれない

何かが起こるはずもない

そんなことは当然知っている

だからこそ

誰かの待つ期待に

応えてみたくなる

そんな人生もいいかもしれない

定型を求める私は非定型

定型を求める私は非定型

定型を求める私は非定型
美しいあなたを求める私は醜い

風の吹きすさぶ心の中は冬で
外は真っ盛りの夏

NONを求めてYESと言い
あなたの言葉に一喜一憂している

光を求めて影を伸ばし
太陽を求めて月になる

言葉の上では自由で
現実は縛られている

知っているかい?
私の気持ち

知らないふりを許してあげる
体の隅々から溢れるメッセージ

老人になったつもりで
宇多田ひかるの「初恋」を聴き

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クソ暑い夏の日

クソ暑い夏の日

My wife is the most beautiful girl in the world!

と巻き舌で、スーパーの帰り道に、二人でトイレットペーパーやら、キッチンペーパーやら、きゅうりやら、お味噌やら、買い物袋をいっぱい手に持って、汗まみれで帰っていた時に、田舎の道端で叫んで、妻に苦笑まじりの爆笑されて、卵のパックを落としそうになった、クソ暑い夏の日。

桜に願い

桜に願い

「小さめの短冊に好きな人の名前を人差し指で書くんだよ。指には何もつけずにただなぞるんだ。」

祖母は囁くように良之に話した。

誰にも言ってはいけないよと言いはしないが、そんな無言のメッセージを良之は祖母の語りかける瞳の輝きから感じた。

「そして自分で考えたおまじないを短冊に筆か万年筆で書き込むんだよ。開けごまでもいいし、座右の銘でもいい。好きな詩の一説でもいい。自分の最も深い心の中にある言葉を

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近道なんてないはずだよね、大切なことほど

近道なんてないはずだよね、大切なことほど

地上に落下した花を見つめて

涙を流した夜の長さを思った

君が幸せでありますように

知らないまま過ぎていくはずの名曲に知り合えただけで幸せなのに

君と知り合えた私はなんて幸せなんでしょう・・・

ずっと君の事ばかり考えている

ふと気がつくと想っている

脈打つ数だけ、スタッカート

遠い記憶が融けて、すべて繋がっていく

悲しいことも淋しかったことも苦しかったことも

昇華されていく

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