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「信頼と歴史を承継」人情味溢れるゼロワンリゾーツ流事業承継

エスイノベーションの大杉です。事業承継をきっかけにイノベーションを起こした企業にインタビューする「地域からはじめる事業承継」 今回は、新潟市の「株式会社ゼロワンリゾーツ」です。アクアリウム事業の開発、コンサルティング業務を手がけるゼロワンリゾーツが、不動産賃貸業の「株式会社高田館」を事業承継、上越エリアに新たな拠点を獲得しました。人情味溢れる温かい事業承継ストーリー。ゼロワンリゾーツ星智也代表に伺いました。

株式会社ゼロワンリゾーツ 代表取締役 星智也
・グループ企業の経営方針策定、経営管理及び付帯業務
・アクアリウム事業の開発、コンサルティング業務

〈グループ企業〉
・株式会社アクアリゾート(水槽レンタル・管理・施工)
・株式会社NAC JAPAN(特殊防汚効果塗料の企画開発・販売)
・株式会社高田館(不動産賃貸業)
・一般社団法人 錦鯉水槽飼育普及協会(錦鯉文化啓蒙・教育)

新たな経営の柱「ゼロワンリゾーツ」

ー 2022年ゼロワンリゾーツを立ち上げ
アクアリウム事業を展開しているアクアリゾートをはじめ、グループ企業の事業を統括しているのが「ゼロワンリゾーツ」です。経営方針策定や経営管理など、これまで分散していた業務を一括管理し、グループ全体の企業価値向上を目指しています。

ゼロワンリゾーツ 星智也 代表取締役

株式会社高田館との出会い

ー 株式会社高田館との出会いは?
ゼロワンリゾーツのコンサルティングの一環で、平野洋人行政書士(行政書士みらい国際法務会計事務所)と意見交換した際、株式会社高田館の情報を頂きました。株式会社高田館は、マンション高田館の賃貸業・商業テナントビル・貸駐車場業を手がける不動産会社です。

ー これまで事業承継のビジョンはあったのでしょうか?
アクアリゾートを創業したのが2006年です、正直、これまで事業承継(M&A)でゼロワンリゾーツを事業拡大しようと思ったことはなく、最初にお話を頂いた時は、その様な考え方もあるんだ…。という感じでした。ですが、高田館の存在は、私の出身地である上越の企業であった事。また、新潟県全県をサービスエリアとしているアクアリゾートの上越展開においても、有効であると感じる事ができました。

高田館のストーリー

ー 企業名ともなっている「高田館」とは?
明治41年、高田館は海外建築家の設計で建築されました。当時としては珍しい洋館で、上越市高田エリアで暮らす高齢の方に尋ねると、皆、高田館の記憶があるんですよね。

旅館 高田館 (明治41年築)
高田館と中庭(戦後建築)

その後は別館も建築され、上越エリア初のホテル兼結婚式場として賑わいを見せました。趣のある中庭には池もあり、当時皇族の方も訪れた記録が残っています。昭和62年にマンション高田館が建設され、現在では、当時の建物は一部しか残っていませんが、歴史を紐解いてみると、手元に残る記憶を後世に伝えたいという気持ちが強くなりました。これはもう使命なのかと!

昭和40年代の高田館

ゼロワンリゾーツ流 事業承継

ー 承継先としての高田館の印象は?
ゼロワンリゾーツとして、不動産業への展開は新たな試みです。承継するにあたり、高田館とゼロワンリゾーツの規模に乖離があると当然、母体となった際に管理に歪みが生じます。その点、高田館は、前オーナー夫妻だけで事業管理が完結していて、新たなリソースも必要なく、これから基盤となるゼロワンリゾーツとのバランスも良い。高田館を、アクアリゾートの訪問メンテナンスの事業拠点とすれば、移動ロス軽減、機能的部分の合理性も含め、上越エリアでの事業展開に可能性を感じました。

高田館所有商業テナントビル(2023年撮影)
貸駐車場・マンション高田館(2023年撮影)

会話と信頼の構築

ー 承継の準備期間に行った事を教えてください
事業承継に関する、買収監査、金融機関との交渉、譲渡金調整などは、平野洋人行政書士(行政書士みらい国際法務会計事務所)に全面的にサポートして頂きました。また、高田館の渡邉義仁さん(前社長)とフランクに話し合える場を提供して貰った事で、承継後の不安も払拭でき、渡邉さんの高田館への想いや、築き上げた歴史も共有することができました。実務的な業務を行政書士さんにお任せした事で、M&A後の高田館の活用を潜考する事もできましたし、何よりも渡邉さんとの信頼を構築する事ができました。私たちの事業承継は、わずか5ヶ月で手続きを完了しています。

承継後の「株式会社高田館」のビジョン

ー 承継後、数ヶ月が過ぎましたがいかがですか?
渡邉さんは、取引先との引継ぎの際には必ず同行して下さいました。よって信頼関係も承継する事ができ、現在も問題なく不動産管理業務を行なっています!

ー 今後の事業展開は?
①高田館の伝統と歴史の伝承です。一部残ってる建物を利用し、資料館や、庭園の復活ができたら良いですね。
②高田館の「地域に根ざした経営視点」の承継。設備点検、情報提供、豪雪地ならではの困り事への対応など、変わらぬサービスを提供します。
③アクアリゾートの上越エリアの事業拠点としてのスタート。新潟県の県魚「錦鯉」を発信する新たな場づくりも検討しています。
このように不動産業や物件を承継したというより、歴史を引き継いだという点が、ゼロワンリゾーツ流の事業承継です。渡邉さんの名前を汚さないように、事業に向き合って行きたいです。

事業承継をお考えの方へ

ー ぜひアドバイスをお願いします。
お互いの事業規模のバランスは大事です。背伸びしない!高嶺の花は狙わない!と言い切りたいのですが(笑)最終的には「人と人」です。この社長!この企業!の事業だから承継したいと思える事が、スムーズな事業承継の見極めポイントと思います。私は、今回のM&Aで、高田館の事業も、前社長の人柄も含めて承継したいと言う想いが芽生えました。そのようなお相手なら上手く行く気がします。

これまでの誠実な企業活動、そして円滑な事業承継により、高田館の歴史がゼロワンリゾーツに承継されました。高田館の庭園の池が復活し、錦鯉が泳ぐ日を楽しみにしています。(エスイノベーション:大杉りさ)


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