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病院経営が傾いたときに起こること

35年の病院生活の中で経験した
「倒産」の危機
その時、病院で何が起きたのかをシェア
したいと思います。


たまに目にする「病院倒産」の記事。
病院も事業所である以上、
倒産することもあります。
私が経験したケースでは、業績不振で経営が
傾いたのではなく(むしろ患者さんは増え続
けていました)、新築時の杜撰な収支計画の
ため、倒産の危機を迎えたのです。


皆さんは「病院倒産」の危機が訪れたとき、
何が起こると思いますか?

 人員削減?
 賞与の減額? 分割払い?
 給与の遅配?

私が一番堪えたのは、医療機器の整備・更新
が行われない
ことでした。
500床の地域の基幹病院であるにも関わらず、
医療機器の整備にあてる予算が、たったの
年間7000万円しか確保できないのです。
人工呼吸器を2台購入したら終わります!
CTやMRIは購入できません!

とはいえ、大型の医療機器は「補助金」の
関係もあり、更新時期は延びますが何とか
なります。
どうにもならなかったのは、単価の安い、
それでいて必要数の多い輸液ポンプやシリン
ジポンプの類
です。
ポンプ類は重症患者さんの場合、一人に何台
も使用します。
この病院は地域の基幹病院でしたので、
救急搬送されてくる患者さんも多く、
心臓や脳血管の、いわゆる大手術も
頻繁に行われていました。
そんな中、絶対に必要なポンプ類が
全く足らない!!

血圧をコントロールする薬剤を、看護師が
時計の秒針を見ながら滴数を調整しなければ
ならない・・・!
そんな光景が
院内のいたるところで見受けられます。
そのプレッシャーたるや、
想像を絶するものがあります!
実際、耐えきれずに辞めていった若い
看護師も、少なくありませんでした。


幸いなことに、この病院は10年ほどで黒字
化し、今でも地域医療の要として
日々活躍しています。


病院経営が傾き、お金が無くなると
医療の安全が担保できない!!


このときの経験が、私の病院経営に対する
考えの原点になっています。
「病院は赤字にしてはならない!」


万が一、皆さんのお勤めの病院が赤字になり、
経営が傾いてきたら、
自分でできることを探し、実践して、
傷が浅いうちに立ち直れるよう
努めてください!
それも、「患者さんの命を守る」こと
なのです。

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