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iBasso Audio DC04 レビュー 小さいけれどマニアックなUSB DAC

はじめまして。kilikoと申します。ポータブル・オーディオに関するブログを細々と書いておりますが、この度、縁あって、ONZO様にてレビューさせていただくこととなりました。よろしくお願いいたします。

iBasso Audioについて

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iBasso Audioは2006年設立の中国のオーディオ・メーカーです。以前はポータブルヘッドフォンアンプのメーカーというイメージだったのですが、今では高音質プレイヤー、イヤホン、ヘッドホンなど幅広い商品を展開するに至っています。

iBassoの製品で印象に残っているのは、USB・caxial・光入力が可能ということで重宝されたポータブル・アンプ「D12」、2010年発売のはフルバランス対応ポータブルアンプ+DACの「DB1 Boomslang+PB1 Toucan」です。

また、2012年に日本でも発売されたiBasso初のDAP「HDP-R10」はAndroidOSを搭載しDSDに対応。DACはESS9018を採用し、オペアンプはOPA627を搭載という高スペックな一台でした。

iBasso Audioには「コストパフォーマンスが高く、攻めた品質の商品を次々と投入する」というイメージが以前からありますがその姿勢は今も変わりません。

iBassoの製品は、現在は株式会社MUSINが国内代理店として取扱っています。MUSINさんには個人的にDX220のバッテリー交換などでお世話になっており、きめ細かいアフターサービスには定評がある模様。

本国とあまり変わらない価格設定(DX160などは海外のショップで買うより安いぐらいでした)もオーディオファンには嬉しいところです。

製品本体、附属品

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パッケージはとても小さく、附属品はパソコン等で当機を使用するためのUSB type Cからtype Aに変換するアダプターとユーザーズマニュアルのみ。

当機は本体カラーがブラックですが、他にシルバーも用意されています。全長11cmとコンパクトなので、スマートフォンと一緒に運用する場合でもあまり支障が無いと思われます。

重さは12gと非常に軽く、嵩張ることもないため、ちょっと鞄に放り込んでおくと便利だと思います。

また、非常に割り切ったなと感心するのが、4.4mmジャックのみという仕様。他社の同様のUSB-DACで3.5mmジャックが無い機種は思いつきません。この割り切りにより、通常より大型の4.4mmジャックを搭載しながらもコンパクトに機能を収めることができたのかなと思っています。

同じ形状のLotoo PAW S1などと違い、ケーブルは本体に接続されているため交換して音質の変化を楽しむことはできません。ケーブル自体は4芯銀メッキ銅線で、硬くて取り回しに苦労するということはありません。

本体にスイッチ、ボタン類は一切なく、ボリュームなどの操作は全てスマホやPC側で行う必要があります。スマホのボリューム操作はどうしても1ステップの音量差が大きいのと、DC04がパワフルなこともあってボリューム調整が困難なケースが生じてしまいます。

しかし、iBasso謹製「iBasso UAC」アプリをスマートフォンにインストールすることにより、64段階のきめ細かなボリューム調整が可能となります。

レビュー1 スペック等

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DC04という型番からも分かる通り、この機種はiBasso Audioのバッテリーを搭載しないUSB DACである「DCシリーズ」の4番目にあたります。

使用されているDACチップはそれぞれ下記のとおりです。
・DC01→AKM AK4493EQ
・DC02→AKM AK4490EQをシングルで搭載し、
・DC03、04→シーラス・ロジック CS43131をデュアルで搭載

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DACチップといえば、最近は旭化成エレクトロニクスかESS Tecnologyを積んだ機種の話題が多い気がしますが、Astel&Kern AK70やSR15はシーラスロジックのDACチップを搭載していますし、このCS43131はHiby R3 Pro、COWON PLENUE R2、PLENUE D2などのDAPに使用されており、定評のあるDACチップの一つです。また、オーディオジャックの仕様は下記の通りです。

・DC01→2.5mm バランス対応
・DC02とDC03→3.5mmシングルエンド
・DC04→4.4mmバランス対応

特にDC04には品質に定評のある日本ディックス製 Pentaconnジャックが採用されており安心感があります。その他の数値的にもDC01、02の第一世代からDC03、04の第二世代はDACチップがデュアルになったこともあり、SN比や出力レベルも大幅にグレードアップしています。

なお、PCMは最高384kHz/32bitまでのネイティブ再生に対応、DSDは最高11.2MHzまでのネイティブ再生に対応は全機種同様です。

レビュー2 音質等

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実際に音を聴いていきます。スマートフォン(xiaomi POCO X3 Pro)に挿すと、画面に「USB経由でサウンドを再生中」とメッセージが表示され、利用可能となります。(イヤホン Moondrop KXXS、ケーブル onso_04 4.4mm、再生ソフト Amazon Music HD)

実売価格を考えると十二分な解像度と高域・低域の伸びが感じられます。強いて言えば高域寄りでしょうか。

個人的な嗜好のパワーメタルやシンフォニックメタルを聴くと、もう少し迫力が欲しいなと思わなくはありませんが、もうこれでポータブルはいいかなと思える音質は確保できていると思います。

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日常的に使用しているFiio Q5s-TCと比べると、音の拡がりや解像度など甘い部分も感じますが、比較しなければ気にならないかもしれませんし、気になったとしても、価格差や重さ、充電が必要なことなど使い勝手を考えるとDC04の方が良いかもしれません。

実際の使用に際しては、形状的にスマホに繋ぐとブラブラしてしまい、不安定というかケーブルへの負荷が気になるので、スマホ本体と纏める方が使いやすいと思います。

Windows PC(Windows10)で使用する場合も附属のUSB type Cからtype Aに変換するアダプターを使用して接続するだけで、特にドライバーをインストールしなくても認識されました。あとはAmazon Music HDでもFoobar2000でもお気に入りのプレイヤーソフトを起動して曲を聴くだけです。

DSDの使用に際しては、別途MUSINのサイトからBRAVO-HDをインストールする必要があるようです。申し訳ありませんが、DSD再生をしていないためこちらについては検証できていません。

使用時の本体の発熱は夏季でもほんのり暖かくなる程度ですので、あまり気にすることはないかと思います。

総評

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「スマホに挿すだけで高音質を楽しめる」という意味では初心者向けの機種のようですが、イヤホン端子が4.4mmバランス端子というところがマニアック。想定している利用者は、日頃、高音質オーディオプレイヤーを利用している方のサブ機、代わりというところでしょうか。

使っていたDAPのバッテリーがピンチという時に、さっとスマホに繋いで音楽を楽しむというシチュエーションが思い浮かびますが、DC04を使うとそれなりにスマホのバッテリーの減りも早いのでご用心ください。

(補足)
本体がUSB Type-CということでiPhone、iPadでは使えないイメージですが、AppleのLightning-USBカメラアダプタを利用するとあっさりと音出し可能でした。

※こちらはメーカー推奨ではないかもしれませんので、ご利用は自己責任ということでお願いいたします。

https://onzo.co.jp/products/540/