見出し画像

ワイヤレスでも楽しめちゃう HIFIMAN HE-R10をナカタクレビュー

教えて!ナカタク先生「HIFIMANとは?」

画像1

HIFIMANはナノケミストリーの専門家で博士号も取得したDr.Fangによって2007年に米ニューヨークで設立されたオーディオブランドです。2011年には中国国内に2つの工場を設立し、その後本社も同じく中国の天津へ移動させています。

現在でもポータブルオーディオ機器全般で開発を続けており、特に平面駆動方式のヘッドホンのラインナップが豊富で日本でも非常に人気です。

ナカタク解説「R10という名前に込められた意味」

画像2

HE-R10を箱から出した時、すぐに『R10』という名前の意味を理解しました。ヘッドホンの歴史において伝説となっているSONYの『MDR-R10』というをご存知でしょうか?

1989年に発売されたこのヘッドホンはSONYのMDRシリーズ10周年を記念して制作された当時のフラッグシップモデルで、高級素材を使用しシリアルナンバー入りで受注生産された特別なモデルです。

HE-R10はこのMDR-R10と非常に似たハウジングのデザインとなっているので、おそらく意識して開発されたものだろうと思います。

ナカタクチェック①「HE−R10のスペック」

画像3

HE-R10のスペックを見てみましょう。付属カタログとオフィシャルサイトでのスペックの記載が異なっていたため、ここではカタログの数値を参考にしています。

■ドライバー径 / 50mm
□振動板 / トポロジー振動板
■再生周波数特性 / 15-35kHz
□インピータンス / 32Ω
■感度 / 103dB
□重量 / 337g

気になったのはトポロジー振動板でした。こちらは特殊なナノ粒子コーティングを表面に施した振動板で、Bluetoothでのワイヤレス接続時に解像力を高める効果があるようです。

ナノケミストリーの博士号を持っているDr.Fangが率いるHIFIMANだからこそ開発できた技術なのかもしれません。

ナカタクチェック②「本体と付属品」

画像4

据え置き専用のヘッドホンに見えるこのHE-R10ですが、同梱されているBlueMiniを使用することでワイヤレスヘッドホンとして使用することができます。

対応コーデックはLDAC、aptX-HD、aptX、AAC、SBCとなっており、接続時の再生周波数は20-20kHz、再生時間は7-10時間とポータブルで使用しても不便がない仕様となっています。

装着時の音漏れがかなり大きいので部屋での使用がメインになるのかなと思います。

その他にも3.5mmステレオミニ端子ケーブル、XLRバランス接続端子ケーブル、6.35mm標準端子ケーブルも同梱されており様々な環境で再生を可能にします。
 
また、付属カタログの作りが良く「製品に対する愛」を感じたので、リスペクトの意味を込めて今回のアイキャッチ写真はそのカタログの表紙と近い構図で撮ってみました。

ナカタクがHIFIMAN HE-R10を聴いてみた!

画像5

まずはAK70 MKⅡと付属のケーブルを使用して聴いてみたいと思います。

①J-POP
最初に気づいたのは独特な音の響き方。密閉型木製ハウジングの影響なのか、強く音が響くので定位が若干曖昧になっているように感じました。トラック数が少ない楽曲であれば空間を上手く埋めてくれて好印象でしたが、逆にトラック数が多い楽曲では主調が強すぎてしまうかもしれません。

音作りの面では、ボーカルが吐息からピークまでドライな音作りで、声の張りが勢いよく表現されているので楽曲の緊張感を楽しむことができました。

また、パーカッションは頭の中で広く響き退屈させません。誇張されてしまっているようにも感じますが、J-POPとは相性が良いと思いました。

②ヴァイオリンとピアノの二重奏曲
このヘッドホンで聴くべき正解曲はこれなのでは?と思うほど相性が良く、感動しました。ヴァイオリンの音が心地よく壮大に響き、ピークは刺すように刺激的です。ピアノは伴奏として目立ちすぎず、やや小さくまとまって静かに聴こえ、全体のバランスが非常に整っていました。

さて、ここからはBlueMiniを使用しワイヤレス環境で同じ楽曲を聴いてみたいと思います。

①J-POP
J-POPでは音場、定位に大きな違いは感じられませんでしたが、低音の響きがさらに強くなった印象。曲によってはノリが良くなったように聴こえ、楽器音よりも打ち込み音との相性が良くなっていると思いますが、変化としては小さなものだと感じました。

②ヴァイオリンとピアノの二重奏曲
二重奏曲ではケーブル接続時との違いを大きく感じました。ヴァイオリンのピーク音は鋭さが抑えられ、ピアノの伴奏音は音量自体が持ち上がってしまったような印象です。このジャンルに関しては全体のバランスが良いとは言えないでしょう。

ナカタク総評
HE-R10は音の響きが強いのでジャンルや楽曲によって得意不得意があるように感じました。音楽を分析するのではなく単純に楽しむといった用途では、とても魅力的なヘッドホンだと思います。

https://onzo.co.jp/products/511/