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膿を剥ぐ。

娯楽とは、生きる意味を悟らせないために人か神かが生んだ薬なのかもしれない。などと、ふわふわ雲の上に正座しているかのような心地で思考している。どんなに柔らかい表現を試みたって脚には氷が刺さっている。

考えることを考えてしまう時間は良くないな。私にとってのストレスはどうやら噛み砕いた哲学らしい。言葉の破片が心に溜まりすぎる。それが膿になって心が疲れてしまう。気づいた時には表情を作ることさえ億劫で、人の営みにも上手く交われそうにない。そのくせ心地いい声だけは探しているようだ。

こうして書いていれば自分という一部が剥離されて身軽になる。古く汚れた皮膚を爪で剥がせてしまうような、良く言えば脱皮しているような。それでも鱗のようにつるりと光を反射させることはなく、己が笑うしか他を照らせない。

春を前にした今日、埃を乗せた小説を引き抜き久しぶりに読書したことで文学に勤しむ意欲を湧き、こうして吐き出したり時間を無視したりできている。電車に揺られながら、というご褒美つきときた。表情筋も解れる。

敬愛して愛読している作家様、ほんとうに偉大すぎます。

帰省して疲れがとれたのか、書き上げずに日を跨いでいた。もちろん書き上がったものを読み返すのも好きだけれど、きっと私は書いてる瞬間が好きなのだ。生まれては浮いて消えてしまう言葉たちが幾万とある日々で、こうして書き残せるというのは尊ぶべきことであるように思う。生きていた証にもなるのだから。垢になると思ってしまっては勿体無い。

元の生活へ戻る日には、氷も溶け私を潤しているでしょう。母の笑顔もさることながら幸せな皺を寄せて見せてくれた。

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