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【️報告】2024/7/27-28能登半島の様子

3ヶ月ぶりに能登へ行ってきました。今回は、定期的に物資を届けたり空気清浄機のフィルター交換している知人と一緒に向かいました。
前回、初めて行った際のレポートもぜひお読みいただければ嬉しいです。

3か月経って、変わっているところと変わっていないところ、両方ありました。例えば、輪島朝市の周りに車だったり、日用品などあらゆるものが散乱していましたが、今は撤去されています。

今の様子
4月に行った際の様子

少しずつ、こうした目に見える変化もありましたが、本当にまだまだなのを痛感しました。
そして、今回は夏祭りの時期でもあって、地元の方とばったり会う機会も多く、実態を伺うことができ、本当に貴重でした。


1.空気清浄機は感染症予防にてきめん

今回、私的なメインの目的は、「空気清浄機クレアウィンフィルターのフィルター交換」でした。実際、仲間の方も数か月ごとに設置した避難所や介護施設などで様子を見ていたので、避難所や施設の実態も見れるしな、とも考えていたのも理由です。

クレアウィン大活躍

その一つの輪島の介護施設では、普段から綺麗にされてるのもあってあまり汚れていませんでしたが、これから冷房をガンガン動かしたりするのもあり、早めに4台ほど取り替えました。
段ボールの枠に入る大きさのフィルターが買うと付いてくるので、それを一枚づつ当てはめて貼っていくだけのシンプルなものです。
(2枚目・3枚目の写真は同行した仲間の撮影によるものです)

クレアウィンフィルター(かなり使いこんだあと)
フィルターを枠に当てはめていく

最初はファンの大きさにびっくりしたけど、皆さん口をそろえて、空気清浄機があったおかげで感染症も特段なかったことをおっしゃっており、お役に立てて嬉しかったです。能登も、海からの風がある分東京のビルやコンクリートに挟まれた暑さよりは多少、私にとってマシに感じられますが連日35度ほどの猛暑です。もちろん避難所に冷房が入ったのはとても良いことですが、その分窓や扉を締め切るため、感染症のリスクが高まってしまいます。猛暑こそ、空気清浄機にバリバリがんばってもらいたいです。

2.仮設とコミュニティ

交換を終えて宿に戻る途中、立派な「アテの木」があるというのを聞き、立ち寄りました。石川県の県木で、能登を中心に植生されているようです。


アテの木は、威厳がある姿でそびえていました。
ただ、横にある民家は損傷が激しく、人が住んでいる形跡はありませんでした。どこかに避難されたのかと思いますが、本当に復興はまだまだなのだな、と痛感しました。

アテの木の横にある民家。損壊がひどいことを示す「危険」という赤い紙がドアに貼られている。

降りると、近くで地域のお祭りがその日にあったということで、酒盛りがにぎやかにされていました。
「浦上祭り」という、輪島の門前浦上地区で毎年7月下旬に行われる、二つの集落による獅子舞の踊りだそうです。

参加されてた方が動画を見せてくださいましたが、踊り手が羊飼いのように先導しながら軽やかに、エネルギッシュに舞うお祭りでした。お神輿も出るのですが、人が多かった以前は節目がある人(成人した人・家を建てた人・お子さんが生まれた人など)のみだったということですが、今は担ぎたい方がいたらぜひ!ということだそうです。来年担ぎ手で行こうかな。

近くの公民館に獅子舞が置かれているということで地元の方のご厚意でご案内いただき、被災状況についてお話を伺うことができました。

仮設住宅が近くに建設されていましたが、半年たっても瓦礫がまだそのままの状態であるにも関わらず、「2年以内に」退去しないといけないとのことです。そして、家を建てると補助金が出るがそのためには公費解体で家を壊さないといけない。その解体の順番も、国道や主要道路の家が先で、なかなか集落の奥まったところには回ってこないとのこと。2年以内に家を解体・建設して移り住まないといけない、というのは余りにも残酷ではないでしょうか。そして、集落の平均年齢は70~80代の高齢の方が多いため、年齢的に家のローンの審査には通りづらい傾向があります。仮設住居の期限を延ばすか、安価でも住める賃貸の住居を用意することが必要です。ローンの低減措置があるといっても、もちろん返済があるため、その時々でサイクルが変わる復興の途中では、転居しやすい賃貸住宅の方がまだ柔軟性効く気がします。住まいの問題は本当に切実です。

珠洲の大谷中学校横の建設中の仮設住宅。入居は秋頃になるとのこと

また、仮設については、七尾の山の寺寺院群でばったり出会った僧侶の方からは、抽選のため集落がばらされて住むようになったというお話も聞きました。それで、孤独を感じる人が多くなったということです。インフラの立て直しももちろんだが、中長期的に復興にかかることを考えると、今までの暮らしをどうなるべく守りながら次に進むかが新たな課題ではないかと思いました。

3.正規で専門家を育成、関係しつづけることが復興のキー

同行した仲間から、七尾に「山の寺寺院群」という、日蓮宗や浄土宗など、各宗派のお寺が集中しているエリアがあると聞き、宿をチェックアウトしてすぐ向かいました。
穴水の神社もそうですが、古い建築が多い寺社仏閣は門が倒れていたり、一部墓石が落ちていたり、お地蔵さんの首がもげていたりと、悲惨な状態です。田んぼの中に「瞑想の道」という、お寺の中を縫うようにある小道もあり、震災前は多くの参拝客で賑わっていただろうと想像しました。

穴水の神社の鳥居、標石が倒れたまま
神社、お寺は地元の方にとって愛着があり、また交流の場の役割もあるので早く復興して欲しい

案内板を見ていると、そのお寺のひとつの僧侶の方からお声がけいただいたのをきっかけに、七尾の状況についてお話を伺いました。緊急時は自治会が食料配布など大きい役割を果たすが、高齢化のため体力的に厳しい年齢の人が多いこと・また少し下の世代は負担が多いことを知っているのでなかなか手が上がらない、といったことをおっしゃっていました。そして、七尾市の災害マニュアルが東日本大震災以前の古いものを使っていたらしく、対策にズレがあったとのことでした。
何が原因なのかと考えてみたのですが、公務員の非正規化・専門家をじっくり育成しない日本全体にある問題なのかなと思いました。公務員バッシングがあった頃、あらゆるところで効率化の名のもとに正規の専門知識を持った公務員を削減し、代わりに非正規での雇用が増えるようになりました。結果、専門知識が蓄積されず、災害や緊急時にすぐ対応できる人員が薄くなる。人件費をコストとしか見なさない経営者・意思決定層は端的に言って愚か以外の何者でもないです。今はAI・DXといって人を介さない傾向が強くなってますが、当然ですが最初の仕組みを考えるのも人、何かエラーがあって改善するのも人です。中身そのものを理解していないと勤められないのではないでしょうか。

未曽有の災害でさえ、効率化とか、被災者に対して自助を声高に叫ぶ姿勢は私は嫌悪感しかありません。地道なことですが、地元の方と話し、一つ一つ運用を固め・改善していくことでしか復興は実現しないと思います。
今回、地元の方と話す機会があったおかげで、私もどんな形で関われるかな、と思いながら回りました。今後も定期的に能登に行きたいと思います。


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