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泉質解説②〜温まりたいとき、傷を治したいときはココ♨️〜塩化物泉


療養泉は、含有する化学成分の種類や量によって10種類の泉質に分けられます。

泉質によって、特徴や期待できる効果、適応症、禁忌症が異なり、温泉を選ぶ際の一つの目安になります。

10回にわたってそれぞれの泉質について解説していきたいと思います。

前回は単純温泉について解説しました。↓

第2回は、塩化物泉です♨️

ガス成分以外の溶存物質が1kg中1000mg以上で、陰イオンの主成分が塩化物であるものを、塩化物泉と言います。
さらに、陽イオンの主成分によって、ナトリウム―塩化物泉、カルシウム―塩化物泉、マグネシウム―塩化物泉などに分けられます。

要するに食塩を多く含む温泉ということで、海に囲まれた日本では単純温泉と1,2を争うほど数の多い泉質です。

泉質別適応症・禁忌症

浴用
・きりきず
・末梢循環障害
・冷え性
・うつ状態
・皮膚乾燥症
飲用
・萎縮性胃炎
・便秘

さらに、平成26年の鉱泉分析法改訂以前の泉質別適応症は、
浴用
・切り傷
・火傷
・慢性皮膚病
・虚弱児童
・慢性婦人病
飲用
・慢性消化器病
・慢性便秘

とされていました。

改訂前の適応症は伝統的に信じられてきた経験的見地によるもの、改訂後の適応症は最新の医学的知見によるものです。
改訂前と改訂後、どちらの効果も期待していいでしょう。

浴水の塩分濃度が高いほど、深部体温の上昇が大きく、また、入浴後の保温効果も高いというデータがあります。
さらに、塩化物泉に入浴すると、皮膚の表面に塩分の膜ができるため、汗の蒸発による熱放散が抑えられます。
つまり、塩化物泉は、身体の芯から温まり、湯冷めしにくい「温まりの湯」と言うことができます。

また、塩の殺菌効果で傷の治りが早くなることから、「傷の湯」とも呼ばれています。

飲用では、胃腸の運動や消化液の分泌が促進されるため、胃腸病や便秘に効果があります。(もちろん、100%源泉掛け流しであることが前提です。循環されたお湯は飲んではいけません❗)
ただし、飲用の場合は禁忌症があります。
泉質別禁忌症(飲用)は、
・腎臓病
・高血圧症
・その他一般的にむくみのあるもの
・甲状腺機能亢進症のときはヨウ素を含有する温泉を禁忌とする

となっています。
腎臓病や高血圧、心臓病、食塩制限のある場合、浮腫のあるときは飲用は控えるようにしましょう。また、健康な人であっても飲用量には十分に注意しまょう。

湯めぐりの仕上げに

「美肌の湯」「美人の湯」と呼ばれるアルカリ性単純温泉、炭酸水素塩泉といった泉質の温泉には、古い角質や肌の皮脂を落とす作用があります。
入ると肌がツルツルになったり、シミやくすみを防ぐことができますが、反対に、このような作用が強い温泉ほど、上がった後は乾燥しやすくなります。
入浴後はすぐに保湿をしなければなりません。

そんなとき、湯めぐりができる環境であれば塩化物泉に入るのがおすすめです。
上にも書いたように、塩化物泉には、皮膚に膜を作るコーティング効果があるため、保湿剤を塗る代わりに塩化物泉に入ることで保湿をすることができるのです。

湯めぐりの際には、美肌の湯でツルツルになった後、最後に塩化物泉で〆るのが理想的です。

代表的な温泉地

海の近くに湧く温泉は塩化物泉である場合が多いです。また、内陸部の山の中であっても、「化石海水」に由来する塩化物泉が湧くこともあります。
また、温泉地の地名に「塩」の文字がつくところは、ほとんどが塩化物泉と見ていいでしょう。

・定山渓温泉(北海道)
・黄金崎不老ふ死温泉(青森県)
・夏油温泉(岩手県)
・秋保温泉(宮城県)
・肘折温泉(山形県)
・熱塩温泉(福島県)
・塩原温泉(栃木県)
・塩釜温泉(栃木県)
・塩沢温泉(新潟県)
・鹿塩温泉(長野県)
・渋温泉(長野県)
・熱海温泉(静岡県)
・城崎温泉(兵庫県)
・有馬温泉(兵庫県)
・白浜温泉(和歌山県)
・温泉津温泉(島根県)
・杖立温泉(熊本県)
・指宿温泉(鹿児島県)

おわりに

塩化物泉は、「温まりの湯」「傷の湯」と呼ばれ、身体を芯から温めたいときや傷の治療、湯めぐりの仕上げに最適な泉質です。
また、日本では単純温泉と並んで最もポピュラーな泉質であり、特に海沿いの温泉地には多く湧いています。そのため、思い切って遠出をしなくても、お住まいの地域から気軽に行ける場所にもあるのではないかと思います。ぜひ探してみてください。


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