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泉質解説④〜傷・血圧・胆のうに効く♨️〜硫酸塩泉

療養泉は、含有する化学成分の種類や量によって10種類の泉質に分けられます。

泉質によって、特徴や期待できる効果、適応症、禁忌症が異なり、温泉を選ぶ際の一つの目安になります。

10回にわたってそれぞれの泉質について解説していきたいと思います。

前回は炭酸水素塩泉について解説しました。↓

第4回は硫酸塩泉です♨️

ガス成分以外の溶存物質が1kg中1000mg以上で、陰イオンの主成分が硫酸イオンであるものを、硫酸塩泉と言います。

さらに、陽イオンの成分によって、カルシウム―硫酸塩泉、ナトリウム―硫酸塩泉、マグネシウム―硫酸塩泉などに分けられます。

「硫酸」と聞くと怖いイメージがあるかもしれませんが、実際には強い酸性ではなく刺激も少ないお湯である場合が多いです。

泉質別適応症

浴用
・きりきず
・末梢循環障害
・冷え性
・うつ状態
・皮膚乾燥症
飲用
・胆道系機能障害
・高コレステロール血症
・便秘

さらに、平成26年の鉱泉分析法改訂以前の泉質別適応症は、

浴用
・動脈硬化症
・切り傷
・火傷
・慢性皮膚病
飲用
・慢性胆のう炎
・胆石症
・慢性便秘
・肥満症
・糖尿病
・痛風

とされていました。

改訂前の適応症は伝統的に信じられてきた経験的見地によるもの、改訂後の適応症は最新の医学的知見によるものです。
改訂前と改訂後、どちらの効果も期待していいでしょう。

飲むと胆のうを収縮させ、腸のぜん動運動を促進する効果があります。

また、旧分類では、「石膏泉」「芒硝泉」「正苦味泉」という3種類の泉質に分かれていました。

石膏泉

現在はカルシウム―硫酸塩泉。カルシウムによる鎮静効果から、「傷の湯」「脳卒中の湯」と呼ばれています。高血圧症、動脈硬化症、脳卒中、慢性関節リウマチや、打ち身、切り傷、火傷、捻挫などの外傷、さらに、乾癬、慢性湿疹、ニキビ、皮膚のかゆみ、じんましんといった皮膚病にも効果があります。
飲用では芒硝泉と同じ効果があります。

芒硝泉(ぼうしょうせん)

現在はナトリウム―硫酸塩泉。浴用では高血圧症、動脈硬化症、外傷に効果があります。
飲用では、胆汁の分泌を促進して腸のぜん動運動を活発化するため、胆道疾患、弛緩性便秘、糖尿病、肥満症、痛風に効果があります。

正苦味泉(せいくみせん)

現在はマグネシウム―硫酸塩泉。マグネシウムによる鎮静作用があり、痛みを和らげるのに有効です。また、血圧を低下させる作用が強く、高血圧症や動脈硬化症に特に効果的です。

代表的な温泉地

・蔦温泉(青森県)
・遠刈田温泉(宮城県)
・天童温泉(山形県)
・二岐温泉(福島県)
・赤倉温泉(新潟県)
・四万温泉(群馬県)
・伊香保温泉(群馬県)
・法師温泉(群馬県)
・尻焼温泉(群馬県)
・強羅温泉(神奈川県)
・山中温泉(石川県)
・西山温泉(山梨県)
・稲取温泉(静岡県)
・玉造温泉(島根県)
・黒川温泉(熊本県)

おわりに

硫酸塩泉は、浴用では傷の治癒や血圧の低下が、飲用では胆のうの機能改善や便秘解消などが期待できます。
また、肌のハリや弾力を回復させる美肌効果もあります。
"硫酸"塩泉という名前のイメージとは裏腹に、刺激は少なく、身体への効果は高いというなんともありがたい泉質です。

施設によっては旧泉質名で記載してある場合もあるので、探す際には旧泉質名の解説も参考にしてみてください。

最後までお読み頂きありがとうございました!

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