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「サイゼリヤ元社長が教える年間客数2億人の経営術」(堀埜 一成著、ディスカヴァ―トゥエンティワン)


以前きくちしんいちさんが書評を書かれていました。やっと読めました。

きくちさんの書評はこちら。本のアマゾンリンクもこの記事の中にありますので、気になった方はこちらから買っていただければ!

1時間では読み終わらなかったですが、スラスラと読める本でした!

きくちさんからぜひ読んで記事をというメッセージを頂きました。ご紹介ありがとうございます!


まず間違いなくミラノ風ドリアが食べてみたくなる本です。

サイゼリヤには、結構ヘビーユーザ的に行っていたのですが数年前に自宅近くのサイゼリヤがつぶれてしまい、一番近くの店は、大型ショッピングモールの中になってしまいました。

でも、たまに食べに行くとおいしいなあとモグモグ。そして安い!

この本には、そのおいしさと安さの秘密が書いてあります。サイゼリヤ的に書いていいことなのかどうかギリギリのところを攻めて、ギリ書いちゃいけないラインを超えているような気がすることが書いてある感じがします。なので、おもしろいです(笑)

ストーリー的には、ざっくりいうと天才肌で利益度外視なのに、あるいはそうであるがゆえに、拡大化に成功させた先代(正垣会長)から、別会社からヘッドハンティングされて入社した理論派の著者が、「お前4月から社長な」と言われ、社長に就任し、先代までが作り上げた「奇跡の会社」に経営のエッセンスを組み入れて、もともとの良さを残しつつ体質を向上させていく話です。

先代が、「おまえ、会社つぶしてええからな」とまで、言える先代も引き受ける著者もすごいですが、そんな著者も、最初はプレジデント・ブルーに沈んだ時期があったようです。

しかし、社長は、「本当に店をつぶしてもいい」、つぶしても自分の責任で、そのとき責任を取って会社を去るのは自分だけ、そう思うと気が楽になったそうです。
それで気が楽になる著者もすごいですが、直感的に後継者を決める先代もすごい。。。



内容的には、これまでのサイゼリヤのどこに経営上の問題点があって、どう改善していったのか、一つひとつの問題点を改善していくプロセスが書かれており、とても理にかなっています。
著者が就任されたときのサイゼリヤは、すでに巨大飲食チェーンですから、いわゆるコストリーダーシップ戦略の王道をとっているのではないかと思います。


当たり前のように書いてあるけど、実践するのは難しいですよね。。。



この本を読んで、だいぶ昔に「ストーリーとしての競争戦略」を読んでnoteにしたことを思い出しました。

記事書いたのは4年以上前でした(笑)。初めて書いたnote。まだ、コンセプトが全く定まっていない(笑)

※Amazon のアソシエイトとして、この記事は適格販売により収入を得ています。

この本でなんとなく覚えていたのがコンセプトクリティカル・コア
記事読みなおしたら、この2つのことが書いていました(笑)。

サイゼリアは、まず、コンセプトが極めてきっちりしている。
ただ、「安くて、おいしい」ではなく、サイゼリヤにとっての「おいしい」とは何かというものがきちんと言語化されている。
これがしっかりしていると、戦略に迷ったときの答えも自ずと出てくるのかなと思いました。


もう一つの、クリティカル・コア
これは、「部分の非合理を全体の合理に転化する」というのがポイントだと思っています。
「部分の非合理」なので、「一見して不合理」な戦略をとるわけです。
「一見して不合理」なので、競合はマネをしない。

しかし、先ほどのコンセプトとストーリーを整合させようとすると、「部分の非合理」な戦略がストーリに整合していることがある。そして「部分の非合理」な戦略をとったことで、競争優位に立ち、結果として周りが追いつけない状況になっているというのが、クリティカル・コアの面白いところではないかと思います。

そもそも、サイゼリヤには「競合他社と比較する」という発想が全くないといいます。というか、顧客しか見ていない。なので、誰もやっていないこと、前例のないことを平気でやってしまうようです。

「採算があわない」の前に、「これおいしいから食べてみて」から入る、この発想は採算度外視ですから、会社をつぶしかねないですし、ふつうの会社はこのような選択はとらない、とることができないはずです。

しかし、サイゼリヤは、他社と比較しない、儲ける気がない、値付けの根拠がない、「ないないづくし」が功を奏し、成功するストーリーを展開します。
そうすると、いつの間にか競争優位に立ち、周りは模倣困難に陥り、結果的に勝ち筋に乗っています。まさに、ストーリーとしての競争戦略。

それでも、競争優位に立ったサイゼリヤには、次なる新たな多くの課題が降りかかります。これらの課題は、前と同じ「ないないづくし」の戦略では乗り切れない。

ここに「外様」で入った著者が経営の観点からの新たな改善を入れていきます。サイゼリヤだからこそ取れる次の戦略。やはり競合を見ていないから、結果的に競合は模倣困難になるというストーリーはそのあとも続いていきます。
先代は、きっと最初からこの絵が見えていたんじゃないかとすら思います。このストーリーの次の章に進むためには「外様」の著者にまかせるべきだと。そう考えるとちょっとエモい(笑)。(現在は、別の方が社長さんのようです)


そんなわけで、「ストーリーとしての競争戦略」のエッセンスにきれいに則っているなあという感想でした。4年前に記録に残しておいてよかった。あの本、長かったからもう一回読まなくて済んでよかった(笑)

強い企業って一見して他と違う、一見して不合理だけど、実は全体としての合理につながる戦略をいかに取れるか、そんなストーリーのお手本のよう、そうしてまた、ワインもつけてミラノ風ドリアが食べたくなる、そこまで含めてストーリーなのかも。そんな感じです。

ということで、いろんな意味で原点回帰するとともに「今日一日を最高の一日に







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