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街を面白くする魚屋、おのざきです

おのざきは福島県いわき市で99年続く老舗鮮魚店です。
1923年に小野崎ウメが創業し、2代目の祖父、3代目の父へとバトンが渡された後、現在26歳の4代目 小野崎雄一が事業継承の為に日々奮闘しています。

おのざきの事を知って頂くために、4代目 小野崎雄一に3つの質問をしました。2021年に東京からUターンし、家業を継ぐ中でどんな事を考えているのか興味を持って頂けたら嬉しいです。

小野崎雄一への3つの質問
①事業継承について
②どんな挑戦をしているか
③組織作りについて

①事業継承について

まさかの20代前半での事業継承

姉2人を持つ末っ子長男として、子どもの頃から「いつかは家業を自分が継がなくてはいけない」と思いつつも、自分の好きなことを事業にしていわきを盛り上げたいという想いから、すぐにおのざきを継ぐ事は考えていませんでした。
いわきを盛り上げたいという気持ちの原動力は、3つあります。1つめは、地元いわきへの過小評価に対してのアンチテーゼです。上京した同級生はみな”いわきは田舎で何もない”と口をそろえて言います。その言葉には人生における受身の色が強く滲み出ており、自分は評論家にならずに”いわきに何か作る側に回ろう”と強く思うようになりました。2つめは、日本各地を旅する中で”どの街も大手のチェーン店で溢れ、各地で街の均質化が起きている”という課題です。街の個性喪失は、地方の人口減少の一因になるところがあると思うので歓迎はできません。3つめは、上京して青春を過ごした東京の街・西荻窪の影響です。この街は、個人店で溢れ、あたたかな人情が漂っていました。こういった牧歌的な世界観を地元いわきで再現することで一人でも心豊かな人を増やしたいと思いました。
以上のことから、自分の趣味を生かした「カレーと台湾スイーツと古着のお店」を開業し、いわきに若者を集めよう!と、当時勤めていた(株)成城石井を退職し、いわきにUターンすることを決めました。

「学生時代に西荻窪のカレーバーでアルバイトしていた頃は、一人でカウンターを回していた」という経験と「アメリカ買付にいくほど古着に没頭していた」こと、「自分のルーツの一部でもある”台湾”のスイーツを扱う」という3要素全部を詰め込んだ店舗は物件探しも順調に進んでほぼ開店できる状態でした。

脱サラ。台湾スイーツとカレーの店開業準備

開業まであと一歩という時に父から会社が大変な状況なのでどうにか戻ってきて欲しいと連絡があったんです。青天の霹靂でした。東京の仲間にたくさん応援してもらって開業準備してきたお店と、経営の危機にあった家業のサポート、究極の二者択一です。ただ、自分が家業に入社しないことで生じる負の影響で天秤にかけたときに、私には家業に緊急入社する選択肢しかありませんでした。そして、2020年1月15日、家業に入社しました。

自分としては当時欠員が生じていた部署の仕事を引き継ぐテンションで入社したのに対して、周囲が”4代目が事業継承のために戻ってきた”と捉えていることのギャップに戸惑いました。まだ当時23歳の若造が、平均年齢50歳の100人規模の組織に入って陣頭指揮を取る状況はなかなかハードでしたけど、時間を掛けて社員の話に耳を傾け、課題を洗い出していきました。
その後、これまでの家族経営では着手されてこなかった財務状況改善や経営理念作成に着手しました。周囲の反対や不安な気持ちを受け止めながら決断して新しい事を提案するのは想像以上に辛くて。。。辞めたいと思うこと、何度もありました。

2代目、3代目、僕で98年のおのざきの歴史を振り返りながら作った理念はこちらです。

”街をもっと多彩に、もっと面白く。”


福島県最大級の魚屋である僕たちが、いわきの水産業全体を守るミッションを背負って挑戦を続けていきたいという想いを込めました。
街を面白くする魚屋、ってワクワクしませんか?おのざきに行くと面白い、楽しい、そんな感情価値を提供できる魚屋でありたいんです。おのざきがあるからいわきに行こう、そんな存在になっていきたいです。

②どんな挑戦をしているか

この先100年を見据えた循環型水産業への想い

循環型の水産業を発信するために日々魚屋から出る「アラ」を使ったオリジナル商品開発はおのざきの挑戦のひとつです。挑戦の理由は持続可能な漁業のあり方を示すだけではないんです。福島は原発事故により、漁業の形態、水揚げなどが大幅に制限されただけでなく、賠償金など恵まれた金銭的支援を受け取ることで、かえって自立の機会を失ってしまったように感じていて。この課題を解決する手段のひとつとして自立したビジネスモデルを立てたいと考えるようになったんです。

僕たちの代で資源を食い尽くすのではなく、次の世代、さらに次の世代を見据え、漁業資源を守りながら持続可能なビジネスモデルを確立しなければなりません。そんな問題意識から日々魚屋から出る「アラ」を使った商品化というアイデアが生まれました。

魚屋から出る大量のアラ
ヒラメの骨で出汁取ったベースを使用したオリジナル煮凝り

商品開発の過程でクラウドファンデイングを活用した事は、資金だけではなくて僕達の”想い”に共感して頂ける仲間作りが出来たと感じていて前に進むための大きな力になりました。(クラウドファンデイングは目標金額の163%を達成し、新商品開発に必要な活動の資金に充てている)

クラウドファンディングで循環型水産業の足掛りを作った

③組織作り

挑戦を一緒に楽しめる仲間と共に未来を創る

僕の入社前、新卒採用が止まり年齢分布が乱れてしまっていました。街を面白くしていく仲間が欲しい!と切望する今、採用で大切にしているのはカルチャーフットやアツい想いがあるか?。2022年は久しぶりに新卒入社2名とIターン入社1名が入社してきました。各メンバーがそれぞれの持ち場で奮闘していのが伝わってくる日々は僕にとっても、既存社員にとっても物凄いパワーになっています。
去年はGYOSOMON(水産業特化特化型の副業・兼業マッチングサービス)を通じて社外副業メンバーを募集しました。マーケティング、新規事業立ち上げ、EC運用など様々なプロから応募があり驚きました。自社にはないナレッジをこうした形で活用できた事はおのざきにとって大きな変化だったと思います。副業メンバーとは基本オンラインで仕事をした事も、これまでのおのざきでは考えられない状況ですからね(笑)。期間限定のコミットを経て、新商品の開発プロジェクトとECサイトリニューアルプロジェクトが継続して動いています。

GYOSOMONで集まった副業メンバー

これもお伝えしておきたいんですけど、妻は東京からいわきにUターンする僕に付いてきてくれただけじゃなくておのざきで働いてくれているんです。副業メンバーがいわきに合宿しにきた際も、商品開発の出張時も1歳にもならない子供を連れて同行してくれました。これってかなり新しい働き方だと思うんですけど、意外なことに関係者も違和感なく受け入れてくれているんです。子供がもう少し大きくなったら仕事をする両親の姿を見て何かを感じて欲しいですね。そしていわきの良いことろを沢山発見してくれたら嬉しいです。

会議にも家族3人で参加する

今後、noteで僕達の挑戦の記録を残していこうと思っています。
おのざきの挑戦を読んで何かを感じ、一緒に走ってくれる仲間、応援してくださる方、おのざきを好きになってくれる方、いわきに興味を持ってくれる方が増えていく未来を目指します。


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