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最後まで実践できたら職人の域に到達できるうどんの作り方【ガチ職人向け】

▼はじめに

うどん県について前回触れましたが、今回はよく見かける「簡単お手軽!」とかじゃあない、プロレベルの手打ちうどんをガチで作りたい方のためのめんどくさくて難易度高めな工程とポイントをお話します。ここからは覚悟のある方だけ読んでください。

もちろんうどんのジャンルやうどん屋、職人によってさまざまではありますが、今回は僕が通販でも販売しているうどん刺しを例に説明します。

0.小麦粉チョイス

実はここでほぼ決まります。
というのは半分ウソですが、半分は本当です。
僕もマジでうどん関係ない粉とかで「職人技見せてみんしゃい」とか言われても多分美味い満足できるうどんは作れません。
でも安心してください。僕みたいに業者に頼まないといけないってわけではありません。

ただし
スーパーでは買わないでいただきたい。
必ず通販でうどん専用粉を購入してください。

通販でも色々な粉が売っていますが、うどん専用粉であればほぼほぼ大丈夫だと思います。うどん粉と言っても特徴はさまざまなので結局は好みにはなってしまうのですが、丸○製麺さんとか、近頃のザ讃岐うどんが好きな方は以下紹介する3つセットの粉の中で好みが見つかると思います。

迷った方は少々お高めですが「金斗雲」使っておけば間違いないです。

1.練り(出会い)約5分

小麦粉:塩水=2:1 ボーメ(塩分濃度)10%
はい、理科の授業です。
↑を具体的に言うと小麦粉400g:塩水200g(水180g塩20g)てな感じですね。

配合事例

通常讃岐うどんの場合は小麦粉や目指す方向性によって塩分濃度9-13%で魅店ごとに基準も違いますが、ベターなのは10%。ここから夏のダレやすい生地で硬くしたい時は塩分濃度を上げたり、冬でガチガチな生地の時は塩分濃度を下げたりと、調整が必要になってきます。
↓生地を調整する際の方法を簡単にまとめたものです。

配合調整

うどん作りは最初の配合の理論を把握した上で、よくいう気候や温度に合わせて生地作りを行う適応力が最重要なのです。

うどん職人は100点を何回出せるかではなくて、70点以下をどれだけ出さずに作り続けられるかで決まります。

ちなみに僕が使っている知り合いが作ったこの↓アプリを使うと、作りたい小麦粉の量と塩分濃度に対して正確に水の量と塩の量を算出してくれるので便利です。


ようやく混ぜます(まだ用意しただけ)
配合を考えて準備した小麦粉と塩水を合わせて一つにする。
男と女が出会った瞬間ですね。
水が入った瞬間から勝負は始まっています。もたもたしていたら生地がダマになり乾いてしまうので、こぼれるかこぼれないかギリギリくらい大胆かつこぼしすぎないような極限のスピードでかき混ぜます。

その際、指を固定し道具のようにし自在に操りバランスよく混捏(こんねつ)する。20回くらい高速で混ぜたらボールにこびりついた生地をソッコーでこそぎ落とし、指に付着した生地も両手でしっかり落としきる。

その後生地に変化がなくなってきますが、そのまま2,3分は混ぜ続けてください。「水和」という粉と水が馴染むまでここでしっかり時間をかけられているかどうかで、今後ムラができるかできないかの難易度が決まります(ここで水和が多少できてなくても挽回は可能)
とにかうダマにせずしっかり馴染むまでという絶妙な練り時間が求められるんです。

終わったら生地が乾燥しないようにビニール袋に入れましょう。
※そのまま熟成後にその袋ごと踏みます


2.踏み(筋トレ)3ロール×3回→熟成→3セット 約10分×3セット

うどんに含まれるグルテンは踏むことで、筋肉のように鍛えて強くなります。踏んではロールし踏んではロールしで断面図がミルフィーユ上になるように仕上げていきます。

これを何回やるかで茹で上がった後の食感や寿命に大きく影響します。
ちなみに小野は9回ほどやります。
野球的には普通ですがうどん的には多い方です。
これだけ踏めば踏みがあまくて食感が仕上がりきらなかったということはまずないです。

踏み過ぎてヤバいってことは実はあんまりありません。
踏みが甘くて食感がインパクトに欠けたり、製麺時に生地が丸まって延ばしにくくなるといった事例は多くみられます。

3.熟成&団子(昼寝) 約240分

筋肉的に言うところの超回復ですね。温かい温度で休ませることで反発力が弱まってまた筋トレ(踏む)ことができるようになります。
また食べる時に粘りも付与します。

何度も踏んでは寝かせてを繰り返すことで生地を強く美味くしていきます。お店によって一晩寝かせる宵練やその日に茹でる朝練などかなり幅がある工程なんです。

熟成が終わったら、菊練という技を使い職人が最初に躓くステップ「団子」を行います。文字通り団子状にするんですが意外と難しいので最初はできなくても結構という工程です。

4.延し(麺打ちの花形プロセス) 約3-10分

麺の厚みが決まります。見せ場です(ドヤ)ここで讃岐職人奥義「すかし打ち」※ドラゴンボールでいう舞空術くらいのもの ができると最速かつグルテンを鍛えながら整形できてカッコいいという至れり尽くせり。もちろん小野はすかし打ちだから最速。

5.切り(確定!!) 約2-5分

麺の幅が決まります。1mmレベルで印象が変わっちゃいます。

小野はじめ讃岐の職人の多くが、上げる高さで幅を決める超感覚ギロチン型麺切カッターを使用します。
これにより綺麗な断面が露わになって、、美しい!!
※綺麗に一つずつパッケージするのでうどん刺しの場合はここでけっこう時間をくってます。

延し切りはお店でもガラス越しに見れるところが多い工程です。
最も技術を要する工程なので、これはマジで修業を積むしかありません。
是非うちのうどん塾にどうぞ←

6.茹で(裏ボス)約20分

見せ場ではないですが実はお店的にはここでかなり差がでます。
職人の感てやつで、指で釜の中のアツアツの麺に触れてしめた後の麺を想像して30秒単位で茹であげるという変態的な能力が問われます。
ここでこれまでの工程が報われるかどうか一発で決まります。

「え、うどんて2.3分茹でればいいだけじゃないの?」

もちろん小麦粉や麺厚、麺幅で決まるので一概には言えませんが、通常讃岐うどんは10-20分は茹でます。丸○製麺でも16.5分茹でます。

ここでめちゃくちゃ察しの良い方は気づきます。
店舗でオーダー入ってから茹でていたら間に合わないということに。

なので通常うどん屋は茹で置きしておけるような麺にするか、見切り茹ででお客さんの入りを見極めて事前に釜に入れていく場合が多いです。

しかしうどんというのは茹で伸び(麺の内部の水分が均一になると食感がなくなる)まで15分くらいという場合が多いので、良い状態の麺を出し続けるというのは実は至難の業なのです。

お酒を出すことでオーダーが入って茹でて100%湯でたてを出しているお店も最近は増えましたが、お昼はやっぱり先茹でしてダメになった麺は廃棄するという現状は本場讃岐でもよくある光景なのです。
ロスが出ないように、お客さんを待たせないように、お客さんに最高のうどんを出すために、職人はその狭間で葛藤して日々うどんを作っているのです。

7.盛り(お化粧)約5分

実は食べ物というのは盛り付けで全部決まります。
というのはウソですけどそれくらい比重が大きいプロセスなんです。
とにかく麺を揃えて美しく魅せていくッ!

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あとは好きな食べ方で食す。
簡単で激ウマな食べ方はインスタで紹介しています。

どうですか?うどんを作りたくなりましたか?
それともやっぱりうどんは食べるだけでいいやって感じですか?
是非職人が色々試行錯誤しながら作っているということをたまに思い出してみてやってください。

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