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「祈年祭(きねんさい)」と書いて「としごいのまつり」と読む

1年で最も寒いとされる2月。
寒さが厳しい日々の中でも、春を感じられる日が増えてきたように感じます。

春が近づくと気持ちも明るくなりますね😊
さて、今回は毎年2月に宮中並びに各地の神社で行われる「祈年祭」についてのお話です。


◆春を寿ぐ「祈年祭」

毎年2月17日には、「祈年祭きねんさい」という“これからの1年が豊かな良い年であるように と祈るとともに、国家の安泰を祈願する重要なお祭り”が行われます。

このお祭りは、稲の美称である「とし」、祈りや願いを指す「こい」を用いて、「としごいのまつり」とも呼ばれ、春の耕作はじめの時期に行われる五穀の豊かなみのりを祈願するお祭りでもありました。

7世紀頃から宮中を中心に連綿と行われてきたこの「祈年祭」ですが、旧暦では毎年2月4日の「立春」の日に行われていました。

「としごいのまつり」で「年」のはじめに万物の萌え出づる「春」を寿ことほ、一年の成果である「とし(稲)」の豊かな稔りを祈りあげるというわけです。

今月の「立春」特別御朱印では当社の御祭神、動物たち総出で春をお祝い🎵


◆祈年祭の「アンサー」となる祭りとは?

各地で行われる、1年の平穏や豊作を祈る祭りは農耕において要となる「春」と「秋」に集中しています。
毎年秋には、この祈年祭の「アンサー」ともなるお祭りが行われているのをご存知でしょうか。。。?

11月23日の「勤労感謝の日」に行なわれる収穫祭であり、皇室とも深い関わりを持つ年間でも最も大切なお祭りである新嘗祭にいなめさいです。

古くから日本人は、田植えを控えた春先に1年の無事や豊穣を祈願する祭り(祈年祭)を行い、そのアンサーとしての秋の祭り(新嘗祭)で収穫への感謝を捧げ、暮らしてきました。

農耕が生活のすべてだった時代、豊作を祈ることは国家の安泰や国民の繁栄への祈りそのものでした。
多様な産業が発展した現在でも、「祈年祭」「新嘗祭」は変わらぬ重儀であり、この一年の豊かな実りと共に国家の安泰と諸産業の発展を祈ります…✨

この「祈年祭」と対と成す新嘗祭にいなめさいですが、以前は“旧暦の”11月23日、新暦に直すと12月中旬の「冬至とうじ」の時期に行われていました。

「冬至」は1年間で日中が最も短く、太陽の出る高度も低くなることから、「太陽の力が弱くなる日」とされています。
しかし、「一陽来復いちようらいふくという言葉にもあるように、“陰極まる冬至を境に太陽が生まれ変わり、陽の気が増えはじめる”ととらえることもできます。

9月23日の「秋分の日」からは夜の時間が長くなっていましたが、この太陽の再生を象徴する「冬至」を経て「立春」と、徐々に昼の時間の方が長くなっていきます。

◆「天皇誕生日」と「天長祭てんちょうさい

「節分祭」「祈年祭」と進み2月も下旬、2月23日の天長祭てんちょうさいが行われる「天皇誕生日」の頃には、体感でも春を感じられるような暖かい日も増えていきます😊

「立春」の特別御朱印では、神様も神使も一緒になって待ち焦がれた春の到来を祝い、寿ぎます♪

「天長祭」は天皇陛下のお誕生日を祝うお祭りです。 戦前、この天長祭は天長節てんちょうせつといわれていました。

奈良時代の光仁天皇こうにんてんのうの御代(775年)に初めて行われた行事で、「天長」とは、老子の記した『道徳経どうとくきょう』を出典としています。

冒頭の天長地久てんちょうちきゅうから「天長」という表現が採られました。

私欲なき天地が永続してきたように、無私の祈りを神々に奉げる天皇陛下もまた、2680年の永きにわたって国家公民への祈りを捧げ、敬愛される皇室を受け継いで来られました。

だからこそ、天皇陛下の誕生日を天長節てんちょうせつ、皇后陛下の誕生日は地久節ちきゅうせつと寿ぎ、国民を挙げて祝い、これからも続く悠久の平安を祈ったというわけです。

天長節は、「祝日法」で天皇誕生日と改称され、新年祝賀の儀に近い形で行われています。
宮殿松の間で成年皇族や三権の代表者などから祝賀を受ける。
それに続いて豊明殿で全閣僚・衆参両院の国会議員、各省の事務次官・全国都道府県の知事および各界の代表者を招いて酒饌(蒲鉾・若鶏・鯛・加薬御飯の入った折箱と日本酒など)を供する。
午後には各国大使を招き茶会を催す。
午前と午後、正月2日と同様の一般参賀が行われる。

皇室事典 <角川書店>

天は長く、地は久しく続くように、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴である皇室と国民の絆、天皇皇后両陛下の絆、そして日本国が末永く続くよう、2月23日は心を寄せて、みんなでお祝いしたいですね。

梅のつぼみもほころび、季節がだんだんと春めいてくるのが楽しみですね🌺
これから訪れる春を楽しみたいものです。


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