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神様の魂を震わせるおもてなし「神楽」と「雅楽」

年末に向けて慌ただしい時期に入って参りましたね🍂
すっかり朝晩の冷え込みが厳しくなってきましたが、体調など崩されていないでしょうか。

さて、先月10日には3年振りとなる「雅楽の夕べ」を行ない、そこで雅楽の奉納を行いました。

「雅楽の夕べ」にて御神前で演奏した、神様に捧げる音楽は「雅楽」といいます。また、御神前で神さまをもてなすために奉納される歌舞として神楽かぐらもあります。

今回は目にする機会はあるけどよく知らない…「雅楽」「神楽」についてのお話です!


神様の魂を震わせる「神楽(かぐら)」 

神楽は、神事において神に奉納するため奏される歌舞です。

神楽の語源は、「神を降ろす場所」という意味の「神座(かみくら・かむくら)」が転じたもの。

神座に神々を招き(降ろし) 祝福することで、巫女が人々のけがれを祓ったり、神懸かりをしたりして人々と交流するなど、神座かみくらは「神人一体の宴の場」であり、そこで舞われた歌舞が「神楽かぐら」と呼ばれるようになったとされています。

『古事記』『日本書紀』に記される、天の岩戸の前でアマノウズメノミコトが舞い踊り、神懸かりをして魂振たまふり(霊魂を活性化させること)をしたという神話は神楽の原初といわれ、その本質的な役割を示しています。

神楽は神前で神事として奏されるほか、神楽殿のように奏するための特別な場所を用意して、神賑かみにぎわい(賑々しく催される神様への奉納行事)としても行われます。

出雲大社といえば…という有名な建物は神楽殿です

こうして上代から連綿と伝わってきた神楽は、平安時代にその形が整えられ今に続いています。

現在の神楽は、上代から伝わる日本固有の歌舞である「国風歌舞くにぶりのうたまい」の一つとして、宮中祭祀で奏される雅楽の御神楽みかぐらと、祭礼の中で雅楽器を用いて奏される祭祀舞さいしまい、そして、篠笛や能管、太鼓を用いた民間の里神楽さとかぐらと大きく区別することができます。

里神楽は地域差も大きく種類も多様で、神社ごとと言ってもいいぐらいに異なる姿を見せてくれる歌舞です。

近年は神社のお祭りなどで参拝者向けに演奏されることも増えました。
ぜひ足を運んでいただき、その奥深さを味わっていただけたらと思います😊


平安時代から紡がれる “世界最古のオーケストラ”「雅楽」

神道や仏教の祭祀と密接なつながりがある雅楽は、アジア大陸の諸国からもたらされた音楽や舞に、上代以前から伝わる音楽や舞が融合して日本化した伝統芸能です。

5世紀頃より流入の始まった唐(中国)や高麗、百済など朝鮮半島の歌舞や、その後流入したベトナムやインドなどのアジアの音楽が、古来より伝わる日本の伝統音楽と融合しながら統一の体系化がなされ、10世紀頃、平安時代に現在の形に成立したと言われています。

1200年の時をかけて日本人の感性に研ぎ澄まされ、今日まで伝承されている雅楽は、言うならば “世界最古のオーケストラ”
日本の有形無形の伝統文化を内包し、日本を代表する音楽でもある雅楽は、重要無形文化財(芸能)にも指定され、国家の庇護のもと発展していきました。

2009年にはその歴史と高い芸術性を世界から評価され、宮内庁式部職 楽部しきぶしょく がくぶがユネスコ無形文化遺産にも記載されています。
雅楽は世界的にも認知されている伝統芸能なのです…!

今も雅楽は、宮内庁の式部職楽部に所属する楽師によって守られています。
宮中祭祀における式楽を中心に奏楽を奉納し、国賓や陛下ご臨席の迎賓会での演奏なども務めるなど天皇陛下の随意のもと、皇室をあげて雅楽の伝承に勤め、1200年続く伝統文化を守っているのです…✨


継承し、広がり続ける「日本の伝統芸能」としての雅楽

当社でも教化活動として、「小野雅楽会」という創立135年の民間最古の雅楽団体を主催しています。

「小野雅楽会」の活動は、当社の御祭神「芸能・芸術の神様」である小野篁公の御神徳に由来しているもの。
毎年9月23日には本殿前に特設舞台を設営し、「雅楽の夕べ」として秋季例祭の神賑わいの奉納演奏も行い、芸能活動として雅楽を、伝統文化をお守りしています。

また、来春にはオペラシティコンサートホールにて久方ぶりの演奏会を予定しておりますので、是非いらしてください。

秋恒例となった4面続きの見開きの御朱印。今年は雅楽と神楽、趣の異なる紅葉がモチーフとなる「秋奉しゅうほう」特別御朱印です😊

近年ではさまざまな演奏団体によってコンサート形式でも演奏会が開かれる雅楽。
日本の伝統芸能としてだけではなく、私たちの身近な音楽としても注目してみてくださいね🎵

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