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野村ID野球と再生工場はメモ魔の選手だけが成長した

野村克也氏は、野球界において現役時代の成績だけでなく、監督としても数々の実績を残されました。心から御冥福をお祈りいたします。

プロ野球選手として、史上2人目の三冠王達成、選手出場試合数歴代2位、監督出場試合数歴代3位、通算本塁打数歴代2位、通算安打数歴代2位、通算打点数歴代2位、通算打席数1位(11970打席)、通算打数1位(10472打数)、通算犠飛数歴代1位(113犠打)、通算併殺打1位(378打)、ベストナイン19回受賞で1位などの記録を持つ。 ウィキペディア

自らを月見草に例えた反骨精神

その一方で、長嶋茂雄さんや王貞治さんのスーパースター的存続は「向日葵」であり、自分は「月見草」と「反骨精神」で努力してきたことが伺えます。

1975年5月22日、野村が史上2人目の600号本塁打を達成(後楽園球場)したときの観客はわずか7,000人ほどであった。野村はこの試合後のインタビューで「自分をこれまで支えてきたのは、王や長嶋がいてくれたからだと思う。彼らは常に、人の目の前で華々しい野球をやり、こっちは人の目のふれない場所で寂しくやってきた。悔しい思いもしたが、花の中にだってヒマワリもあれば、人目につかない所でひっそりと咲く月見草もある」と答え、それ以後「月見草」が野村の代名詞となった。

選手・監督時代を通じ、勝つために様々な工夫や駆け引きを重ねており、野球理論・野球技術の発展に貢献していますが、特に南海 、ヤクルト、阪神、東北楽天の監督を歴任して、数多くの選手を育てました。

組織には他の選手のかがみになる中心軸が絶対必要。人材育成とは「見つける」「育てる」「生かす」こと。
V9時代の巨人を指して、「あれだけの選手が揃っていれば、どうやったって優勝できた」という人がいますが、それは違います。あれは王貞治、長嶋茂雄という「チームの鑑」がいたからこそ、成し遂げられた偉業なのです。事実、私が南海で四番を打っていたとき、巨人から移籍してきた相羽欣厚という選手がこう言っていました。「ON(王・長嶋)は練習でも一切手を抜かない。球界を代表するあの二人があれほど練習しているのです。自分達だってやらないわけにはいきませんよ」。それを聞いて当時の私は、身が引き締まる思いがしました。(野村克也)

野村ID野球と野村再生工場

野村克也氏は「監督時代、自分やコーチの話を聞いて、しっかりメモをとる選手は大成した。メモを読み返してしっかり消化し、その蓄積が考える力を養ってくれる。」と説いていました。

ID野球は、私ひとりの力で築き上げたものではない。私やコーチが発した情報を選手たちがメモし、それをプレーの中で生かしてくれたからこそ「ID野球」という言葉がマスメディアを通して広まった。(野村克也)

野村克也氏の遺した言葉

忘れないようにメモしておきますので、参考になれば幸いです。

「どうするか」を考えない人に「どうなるか」は見えない。
うまくいっているときは周りに人がたくさん集まる。だが、一番大切なのはどん底の時、誰がそばにいてくれたかや。
楽を求めたら、苦しみしかまっていない。
重荷があるからこそ、人は努力するのである。重荷があるからこそ、大地にしっかりと足をつけて歩いていける。
好かれなくても良いから、信頼はされなければならない。嫌われることを恐れている人に、真のリーダーシップは取れない。
1年目には種をまき、2年目には水をやり、3年目には花を咲かせましょう。
「恥ずかしい」と感じることから進歩は始まる。
失敗の根拠さえ、はっきりしていればいい。それは次につながる。
ちっぽけなプライドこそ、その選手の成長を妨げる。
自己を過大評価した瞬間から、思考の硬直が始まる。
どうしたらライバルとの競争に勝てるか考えたとき「1日24時間の使い方の問題だ」と思った。
大舞台になればなるほど、勝負は技術だけにとどまらない。人間そのものの対決になる。
優勝というのは強い弱いかで決まるんじゃない。優勝するにふさわしいかどうかで決まる。
組織はリーダーの力量以上には伸びない。
「叱る」と「褒める」というのは同意語だ。情熱や愛情が無いと、叱っても、ただ怒られているというとらえ方をする。
コーチの第一義は自信を無くしている。目標を失っている選手に、いかに意欲を出させるかということ。
リーダーシップとは、人を動かす、先を読むこと。人を動かすのは、生きがい、夢、希望、関心。
人を判断するときは、決して結論を急がないこと。
部下を「信じる」ということは、リーダーの重要な資質。
自分のイメージと違うと、すぐに矯正しようとする。こんな上司のもとにいる部下は不幸。
不器用な人間は苦労するけど、徹してやれば、器用な人間より、不器用な方が最後は勝つよ。
敵に勝つより、もっと大事なことは、常に自分をレベルアップすること。
限界が見えてからが勝負だ。
「もうダメ」ではなく「まだダメ」なのだ。
ID野球の極意は、重い予備知識と軽い先入観。
貴い知識・本質はいつの世でも
本来、単純明快である。
勝っている時が一番怖い。リードしている時が一番怖い。
ナポレオンは「人間を動かす二つの杆がある。それは恐怖と利益である。」と言った。私はこの二つに「尊敬」を加えたい。リーダーは「利益と尊敬と、少しの恐怖」で組織を動かしていくべくで、その潤滑油が「笑い(ユーモア)」だ。
人間の才能なんて、どこに隠されているか分からない。相手の話を聴いてみる。それが第一歩。そこから組織の活性化が始まる。
命令するから、全責任は監督にある。つまり、クビになるのはお前でなくワシや。だから、失敗してもいっこうにかまわない。お前の失敗はおまえを使ったオレが悪いのだから全てを出しきり、結果は神にゆだねろ。
有事に強い者、それは不真面目な劣等性。
コンピューターがどんなに発達しようとしても仕事の中心は人間だ。ならば、そこには「縁」と「情」が生じる。それに気づき大事にした者が、レースの最終覇者となるのだと思う。

最後に一番心に突き刺さった言葉…


"全盛期を過ぎ、落差に耐えつつ、必死にやる。なんてことを惨めと感じる人はいるでしょう。なりふり構わず、自分の可能性を最後の最後まで追求する。そのほうが美しいという、これは僕の美意識です。"


選手としての活躍の姿は見たことがない世代ですが、監督として若者選手を巧みな「ぼやき」で日本一に導く手腕から、経営者としても尊敬する、大好きな指導者でした。

どうぞ安らかにお眠りください。ありがとうございました。

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