[北海道日本ハムファイターズ観戦日記 2021]10/23 栗山監督退任決定、そして新庄がハムの新監督に?(追記あり)

 栗山監督の今季限りでの退任が正式に発表されました。シーズン終了後に退任会見があるでしょうから、栗山さんについては後日書きます。今日は今朝いきなり飛び込んできたこのニュース。

 今季限りで勇退する日本ハムの栗山英樹監督(60)の後任として04~06年に同球団でプレーした新庄剛志氏(49)の就任が有力となっていることが22日、分かった。

 まだスポニチ一紙だけの報道ですが、スポニチは栗山退任のニュースも真っ先に報じたので、一定の信憑性はあると見ていいでしょう。実は私は8月末ごろに友人からの情報(プロ野球関係者に近い筋からの話、ということでした)として、ハム球団が新庄と監督就任に向け水面下で交渉中との話を聞いていました。その時は眉唾ものの話として終わったのですが、以前から新庄監督待望説はファンの間では半ば冗談、半ば夢物語のように語られていたので、ファンにとっては全く想定していなかった事態でもない。

 各紙とも後任は稲葉が既定路線、という報道だったのに、なぜ急転直下、こんなスクープが出たのか。スポニチの記事を予期していたかのように東スポが即座に後追いでこんな記事を出しています。どうやら各紙とも新庄監督説は掴んでいて、あえて報じなかったのではないでしょうか。

 これまで日本ハムの後任監督としては、球団OBで今夏の東京五輪で金メダルに輝いた侍ジャパン・稲葉篤紀氏が既定路線。実際、球団サイドも稲葉氏との交渉を水面下で進めていた模様だ。しかし、ここにきて状況が急変。日本ハムと稲葉氏との間で条件面での折り合いがつかず、交渉は進展していないという。
 もともと日本ハムはフロント主導のチーム作りをしており、コーチ人事を含めたチーム編成などに、これまでの現場の監督は決定権がなかった。日本ハムの場合は誰が監督になるにせよ、こうした事情を分かった上で監督に就任してきたわけで、球界関係者の間では「編成権がなく球団のいいなりでは、誰も監督をやりたがらない」といわれていたのだが…。稲葉氏との交渉が進まないのはそんな側面もあるとみられる。
 そこへ新庄氏だ。これまで思わせぶりな言動で監督就任への意欲をチラつかせてきたが、日本ハムの後任監督がなかなか決まらないことで「ありえない」存在から候補として急浮上。球団が提示したすべての条件をのむというのなら、稲葉氏から方針転換する可能性もでてきた。
 一方、球界内には「新庄の名前が出てきたことで、むしろ稲葉との交渉が進むかもしれない」との声もある。もちろん「稲葉破談→新庄監督誕生」の可能性も十分にありそうだが、果たしてどうなるか。

 かなり踏み込んだ記事なのでほぼ全文引用してしまいましたが、いろいろ気になることが書いてあります。さらに少し前のこんな記事。10/18付です。

 栗山監督の後任は、OBで前侍ジャパン監督の稲葉篤紀氏(49)が有力視されていた。
 しかし、川村球団社長兼オーナー代行は次期監督について「準備はしているが、まだ話せる段階ではない」と語るにとどめ、実際に現時点で稲葉氏へのオファーはしていないようだ。
親会社、球団はここにきて、外部招聘を軸に人選を進めているといいます。稲葉就任は五輪金メダル獲得でこれ以上ないタイミングではあるが、球団内には『五輪での成果は参考外』との声があると聞く。確かに東京五輪の野球は参加国が日本を含めてわずか6カ国。全勝での金メダルとはいえ、メジャーリーガーがひとりもいなかった米国はじめ、ライバルと目された韓国もドミニカ共和国も戦力が揃わず、監督としての稲葉の手腕を測りようがない。昨年は稲葉夫人と日本ハム選手の妻たちとのイザコザが週刊誌に報じられた。パワハラが絡む醜聞記事だったから、あれも監督招聘の障害になっているのではないか。親会社はその商売上、消費者からのイメージを重視する。暴力事件を起こした中田翔(現巨人)もあっさり放出した。今回は、稲葉監督はないとみています」

 ちょっとニュアンス、というか理由や経緯は違いますが、こちらも稲葉監督の目はない、という記事です。しかし稲葉に代わるポスト栗山として名が挙がっているのは古田、秋山、そしてヒルマンの3人。新庄の名はありません。

 さらにこんな記事も。10/1付ですから結構前の情報です。

 コロナ禍で昨夏の五輪が延期されて禅譲が1年延びた結果、今季10年目を迎えた栗山ファイターズはもっか借金15で最下位。長期政権の弊害か、同僚を殴った主砲の中田が謹慎の末に巨人に放出されるなど、チーム内の風紀も乱れている。稲葉新監督が新風を吹き込む期待が高まるなか、球界関係者は「しばらく休養を取ることを優先させるようだ」と今秋のバトンタッチを否定。すでに就任の打診を本人が断ったとの情報も流れている。

 そして私が一番気になったのはこの記事です。10/17付。

後任候補には東京五輪侍ジャパン監督の稲葉篤紀氏の名前も挙がっていたが、球団は外部からの招聘(しょうへい)を軸に、水面下で後任の人選を進めており、同社長は「準備はしておりますけども、まだ話せる段階ではありません」と話すに留めた。

 「稲葉篤紀氏の名前も挙がっていた」というのが気になりますね。素直に読めば、後任は稲葉ではない別の誰か、ということになる。稲葉は球団のSCO(スポーツ・コミュニティ・オフィサー)だから、一応ハムの身内であって「外部」ではない。つまり稲葉は後任ではなく、全く別の誰か(外部からの招聘)が栗山の後任監督になる、と。この記事はそう読めます。日刊スポーツはハムとは縁の深い球団で、球団広報も日刊の元ハム番記者。それだけにハムに関しては確度の高い情報しか出さない新聞ですが、もちろん内部情報は掴んでいるでしょう。はっきりと書くことはできないが、稲葉じゃなくて別の誰かが監督になる、というほのめかし、ととれなくもない。

 そしてこの記事の翌日。同じ日刊スポーツはこんな記事を掲載しています。

次期監督に立候補!? 日本ハム、阪神やメジャーで活躍した元プロ野球選手の新庄剛志氏(49)が18日、自身のツイッターで「日本に戻ってきた理由がここにある」とつぶやき、注目された。
フォロワーらからは「もしやハムの監督?」「新たな舞台は北海道?」「新球場のプロデューサー?」など、さまざまな推測を呼んでいる。プロフィルの最上部に表示される写真が、現在、北海道北広島市に建設中の新球場になっていることから、日本ハムファンからは、球団への電撃復帰を期待するコメントが集中した。

 ツイッターで新庄が呟き、それにファンが反応した、というだけの他愛のない話なのに、わざわざ記事にする。これは水面下で新庄監督の就任がほぼ決定していて、その地ならしのためのものだと考えていいのでは? 球団はファンの反応を見て一番効果的な発表の仕方を考えているのでしょう。

 北海道に移転してからのハム球団の監督の人選の基準の第一は「見た目が良く、明るく、華やかさがあること」ということです。ヒルマン、梨田、栗山と、監督としてのタイプは違えど、その点ではすべて同じです。監督としての実力や指導者としての経験など重視されないのは栗山の起用で明らかでしょう。新庄はその点でもこれ以上ない適任。私は新庄がハムの新監督に就任する可能性はかなり高い、と見ています。この記事は、新庄が監督になるという前提で話をします。

 以前私は「新庄が監督になるなら、1年だけならどんな采配をしても、その結果、チームがどんなことになっても我慢する」と書いたことがあります。ハム選手時代の新庄がファンにどれだけ大きな夢と力と希望を与えてくれたのか、ファンなら誰でも知っている。その明るさと華やかさ、話題性の多さ、発信力の高さ、カリスマ性でハームのチームカラーを一気に変えた。2006年の日本一は、もちろん新庄の力がなければありえなかった。それは誰でも認めることでしょう。春先の試合のヒーローインタビューでの突然の引退宣言には驚きました。あれでチームが一体化し一気に勢いが加速したのは間違いない。

モチベーター、あるいは広報として超優秀、また守備技術・理論に於いても超一流。解説やYouTubeなどを見ると、それを言葉としてきちんと伝えるスキルもある。広報あるいは宣伝塔としてなら、あるいは外野守備コーチとしてなら間違いない。

 ですが1年間地味な戦いが続くプロ野球の監督に向いているのかどうか。こればかりはやってみないとわからない。15年もプロ野球の現場を離れている。指導者経験も一切ない。今のプロ野球、ハム球団の内情に詳しいとも思えない。奇をてらうばかりのトンデモ采配やトンデモ用兵を繰り返し、ただでさえどん底のチームをさらにボロボロにしてしまう可能性もある。でもその奇想天外な発想力や発信力、チーム色を変えてしまう影響力、モチベーターとしての力がうまい具合に発揮されれば、良くも悪くも栗山カラーに染まってしまったチームを大きく変えてくれるかもしれない。そういう期待も間違いなくある。球団が期待するのはもちろん、札幌ドームさよなら興行、そして新球場開場というビジネスチャンスに向けての話題の盛り上げと観客動員でしょう。

 そこで気になるのは上記の東スポの記事のこの部分です。

 もともと日本ハムはフロント主導のチーム作りをしており、コーチ人事を含めたチーム編成などに、これまでの現場の監督は決定権がなかった。日本ハムの場合は誰が監督になるにせよ、こうした事情を分かった上で監督に就任してきたわけで、球界関係者の間では「編成権がなく球団のいいなりでは、誰も監督をやりたがらない」といわれていたのだが…。稲葉氏との交渉が進まないのはそんな側面もあるとみられる。
球団が提示したすべての条件をのむというのなら、稲葉氏から方針転換する可能性もでてきた。

 以前からハムは球団フロントの力が圧倒的に強く、監督の権限が極端に弱いことは指摘されてきました。監督は1軍の試合の指揮をとる権限だけが与えられ、編成、育成、はては一二軍選手の入れ替えまですべてが球団の指示、という説もあります。つまりは球団フロントの傀儡であることをよしとしなければハムの監督は務まらない。逆にいうとハムの監督を10年も続けた栗山さんは「傀儡監督」としてこれ以上ない逸材だったということで、球団がなかなかクビにしたがらなかったのも当然。逆に監督として実績もプライドもあった梨田さんは、それに甘んじることができなかったわけです。ヒルマンは外人なので、余計な野心もなく、割り切ってやれたんでしょう。

 でも考えるまでもなく、新庄がそうやすやすと球団フロントの言いなりになるとは思えない。球団フロントも、選手時代のような新庄のやりたい放題を黙認するとも思えない。勝っていればいいですが、負けが込んできた時に両者が揉めるのは必至でしょう。第一、新庄が「球団が提示したすべての条件をの」んで、傀儡に甘んじることをよしとするのか。川村球団社長や吉村GMの言いなりになって、新庄の天衣無縫な魅力が失われてしまってはつまらない。

 もし本当に新庄を監督に据えるなら、ヘッドコーチには野球をよく知っていて、経験豊富で厳しい面もある実務派の人を据えてほしい。身近な例で言えば白井元コーチ、外部の人なら宮本慎也のような人です。でもそれ以前に球団フロントとうまい具合に折り合いをつけて、内部のゴタゴタを現場に持ち込まないような体制を整えてほしい。

 もしかしたら新庄は長くて2年、へたしたら1年の短期契約になるかもしれません。そんな契約期間でチームを立て直せるか大いに疑問ですが、札幌ドームさよなら興行、そして新球場開場というまたとない商売のチャンスに、球団フロントがチーム力の底上げではなく話題性と華やかさ、なにより観客動員を第一に考えるのは、これまでの球団のやり方を考えてみれば当然のこととも言えます。新庄監督なら話題性もあり、物珍しさで当面は客も来るでしょう。新庄の話題性でここ1〜2年をしのぎ、その間にフロント権限で育成をしっかりやって基礎を築き、新庄の後任監督(稲葉なのかどうかはわかりません)に引き継ぐ。それが球団の戦略かもしれません。もちろんそんな球団の思惑を超えて新庄が監督のとしての抜群の適性を発揮して長期政権になる……なんて可能性も、もちろんあります。それ以前に新庄が飽きちゃうかもしれませんが。

(追記)

マーリンズのコーチを務める元日本ハム監督のトレイ・ヒルマン氏(58)が、球団に辞任を申し出たと22日付のMLB公式サイトが伝えた。2019年にマッティングリー監督の下で入閣し、今季から三塁コーチ兼内野守備インストラクターを務めていたが、他球団への移籍を視野に、辞任するという。

 こんな時期に海外のこんな人事を報道する意味はひとつしかありませんが、「他球団」って一体?

よろしければサポートをしていただければ、今後の励みになります。よろしくお願いします。