トイレットペーパーは逃せど肉まんは逃すな。

朝起きるとかならず窓を開けるようにしている。誰に言われたわけでもないが、その方が健康的な気がするから。
先週、いつものように窓を開けると「あ、春が来たな」と全身で感じた。四季の中では夏が一番好きだが、冬から春へと変わる空気感は四季の中で一番好きかもしれない。思わず飛び起き、そのままふらりと散歩に出掛けた。朝起きて、とは言ってみたものの主婦の私が起きる時間は9時なので朝?うん、朝、、のような時間のせいか、コロナウイルスのせいか、人は少ない。
とりあえず意味なく歩いていると、マイバスケット(コンビニのようなもの)に今やsupremeに負けないくらい貴重で愛されるトイレットペーパーが8個あるではないか!トイレットペーパー、うちも少ないから買っておきたいが、もう少し散歩をしたいので帰り道に買う事にした。この人の少なさ、大通りに面しているわけではないマイバスケット、なくなることはないだろう。そう思い、ふらり散歩を続けて戻ってみるとトイレットペーパーはなくなっていた。時間にして15分程度だろう。その間で8個全てが売れてしまったのだ。あぁ、、さっき買っておけば良かった。時すでに遅し。だが文句を言っても後の祭り。仕方がないのだ。

時すでに遅しと言えば、危なくもう一つ時期を逃しそうになっているものがある。それが冬のコンビニ肉まんだ。コンビニ肉まんは一年中買う事が出来るが、冬の肉まんはご馳走なのだ。なのに私は、もう何年も冬の肉まんを食べていない。思い出さなければ、肉まんなんて人生において1%もしめないのに、気になり出したら私の脳の半分位をしめてしまったのだ。
私が知らんふりをしている間に、コンビニ肉まんはとてつもない進化をしている。いつの話だと言われそうだが、私が子供の頃には肉まん、あんまん、ピザマンの3種しかなかった。なのに今では肉まんだけでも黒豚肉まんやら辛い肉まんやら熟成やら数種類があるし、チョコやらチーズやらコーンポタージュやキャラメルといった多種多様化している。だが私は普通の肉まんが食べたい。勿論、辛いものやチーズも気にはなるが、まずはとりあえずは普通の肉まんを味わいたい。
保温されたケースから紙に包まれ、ビニール袋に入れられくるくると縛られ、さらにそれをコンビニ袋に入れてくれる。手厚い対応。手厚い対応でしっかり包まれているのに隠しきれない温もりを手で感じ、いざと袋を開けると途端に幸せな肉まんの香り。イーストの良い香り。
家まで5分だが待てない。コンビニ肉まんは歩きながら食べてこそ本来のポテンシャルを全て発揮すると思う。こそこそと袋から出し、真っ白ふわふわにかぶりつく。一口目は具に辿りつけないこともあるが、それもまた良し。口いっぱいに皮を頬張り、うっすらと覗く具に夢を抱く。さぁ二口目。こんにちわ肉まん。ありがとう肉まん。あぁ肉まん。早くしないと肉まんが1番美味しい冬が完全に終わってしまう。実はもう遅いのかもしれない。強風で花粉が舞う中での肉まんは少し気が引けるが、そんな事を言っていると、8個残っていたトイレットペーパーを買い損ねた時のように、肉まんの美味しい季節を完全に逃してしまうだろう。こんな思いをまたしてたまるか。明日は絶対、コンビニ肉まん。快晴、風なし、花粉弱めを願いたい。

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