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#建築 記事まとめ

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建築系の記事を収集してまとめるマガジン。主にハッシュタグ #建築 のついた記事などをチェックしています。
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2019年10月の記事一覧

日本の高層建築における施工技術の変遷第3回 プレファブ化

この記事は「建築士2019年2月号」(日本建築士会連合会)に掲載された原稿の文章・図を修正したものです。 サイトプレファブトップの写真は1950年代にフランスで開発され、オランダでも施工実績のあるポルトデリラ工法の建て方である(「Systems Building」, Thomas Schmid, Carlo Testa, 1969, Pall Mallより転載)。写真では10階建て程度の鉄骨造建築であるが、全階分の鉄骨柱と梁(2層ずつ)を地上で組んでしまい、一気に建て起こす

絵は上達するのか

上の作品は6年前の今頃に描いてた作品で下の作品は今月初旬に描き終えた新作。 6年前はまだ線が未熟で今よりも緻密性が足りていなかった。 それからは常に研究に研究を重ねて今の画風になった。もちろん今も進化の途中である。そして6年間で描いた枚数はおよそ50点ほど。 よく「いっぱい描けばうまくなる」と言うが、半分当たりで半分そうじゃない。 ただ描くだけでは上達しない。 何枚か描いて考察しながら求める描き方をひたすら研究するのみだ。そして必ずしも上手く描く必要はない。

「日本にデザインミュージアムをつくろう準備室vol.2」公開ミーティング議事録(後編)

開催日:2019年9月15日(日) 登壇者:色部義昭(グラフィックデザイナー)、林 保太(文化庁 文化経済・国際課 課長補佐) モデレーター:齋藤精一(クリエイティブディレクター) 「みんなでつくるデザインミュージアム」。三宅一生さん、青柳正規さんが2012年に提唱した精神を受け継ぐ「デザインミュージアムをつくろう準備室」の公開会議vol.02。前編では、色部さんによるデザインを展示する難しさと展示アイデアについてのお話、林さんによる文化庁の文化経済戦略、そしてデザインプラ

16 世界最高峰の無用

2013年、ロンドン。ハイド・パークに隣接するケンジントン・ガーデンズに、巨人が石積み遊びをしたような、巨大な岩が巨大な岩の上に載った巨大なオブジェが現れた。 ©Peter Fischli David Weiss Photograph:2013 Morley von Sternberg 映像作品『事の次第』などで知られるスイス出身のふたりのアーティスト、ペーター・フィッシュリ(Peter Fischli 1952〜)とダヴィッド・ヴァイス(David Weiss 1946

故郷のまちについて思うこと

ここ数年、八戸のまちなかが大きく変化しつつある。 私は青森県八戸市に生まれ、18歳までを過ごした。 大学進学と同時に八戸を離れてから、もうすぐ9年になろうとしている。 そして現在は、東京で建築設計の仕事をしている。 建築やまちづくりに携わる人間として、八戸のまちについて最近なんとなく思っていることを書いてみようと思う。 八戸の中心街の成り立ち 八戸市は古くから漁業で栄えた港町である。 市の中心市街地は、藩政時代から続いた城下町の都市計画の名残であり、市役所などの行政施設や、

大谷石と建築家の巨匠

RPGダンジョンのような幻想的な地下空間! そんな口コミでSNSを中心に話題になっている場所がある。栃木県宇都宮市にある大谷資料館という場所だ 大谷採石場 ここで石を本格的に採掘しはじめたのは江戸時代の中期ごろ。それから戦後に至るまで機械化されることなく手堀りで作業が行われていた。ツルハシで石を砕いて、それを人が背負って外に運んでいく。当時の労働者の負担たるや・・・。 そういった苦難を感じさせる展示もあるかと思えば、観光客を呼び込む為の工夫なのか、オブジェだったり、キラ

建築事務所のいろいろ_BIG U_マンハッタンを水害から守れ!

台風19号は川を中心に多くの水害をもたらした。東京に住む友人からも「荒川と多摩川と神田川と目黒川が氾濫危険水域になって、これが全部氾濫したら東京はどうなるのかと思って緊張した。」とメールが届いた。 今の異常気象では水防が追いつかない、とニュースでもあった。これはニューヨークも他人事ではない。 2012年のハリケーンサンディはマンハッタンの南先端が浸水し、広い範囲で電力が止まり2000億円もの損害をもたらした。特に水辺に多く集中した低所得者たちが被害を被った。 当時勤めていた

箱根、江之浦を行く(3) 小田原文化財団 江之浦測候所 (Enoura, 2019.10)

□Day1(Sat.) 東京→箱根 ■Day2(Sun.)箱根→小田原→江之浦→東京(本記事) この旅の動画はこちらからご覧ください。 江之浦測候所は注文の多い場所(アート空間またはランドスケープ)だ。 見学は日時指定の予約・入替制。当日券も若干あるようだが、基本は事前にウェブサイトから購入してコンビニで発券し、当日持参しなければいけない。前売券は3,000円、当日券は3,500円。 アクセスも良いとはいえない。小田原駅から約7分のところにあるJR東海道本線 根府川駅

箱根、江之浦を行く(2) 強羅散策とかまぼこの里 (Hakone, 2019.10)

□Day1(Sat.) 東京→箱根(本記事) ■Day2(Sun.)箱根→小田原(本記事)→江之浦→東京 この旅の動画はこちらからご覧ください。 ゆとわでの朝朝6時半に起床し、予約していた貸切風呂を楽しむ。 中庭手前のラウンジに差し込む朝の光が美しい。 7時30分頃から朝ごはん。バイキング。 センスのない盛り付け。 ご飯の後、もう一度中庭に出て、昨晩同様足湯を。あまり熱くないので、足湯として機能したというより、朝の爽やかさを楽しんでいた。 ライブラリーラウンジは、

箱根、江之浦を行く(1) ターンパイク箱根とポーラ美術館 (Hakone, 2019.10)

9月末の晴れた土曜日。はとバスに乗るための待合でふと江之浦測候所のことを思い出した。 一年ほど前か、建築系サイトの記事で見て以来、いつか行きたいと思っていたこの場所。杉本博司氏が蒐集した宝物を展示している完全予約制の空間。写真で見る限り、直島の護王神社近辺を彷彿させるような景色。 10月前半は、行楽にちょうどいい季節。よし、2週間後に行こう!せっかくだから日帰りではなく一泊して箱根観光もしよう!ということでその場でホテル・レンタカー・江之浦測候所のチケットを抑えたのだった

建築優秀主義

今東京とかでやってる建築展の多くはコンペで最優秀賞を獲った人や有名建築家が展覧会を開いたり参加してたりする。 一見すると建築展って優秀な人間しかできないものなのか?という敷居を作ってしまっているように思える。そのため建築界で展覧会を行う事=優秀な建築家に見える。 学生の展覧会では学内で選ばれた者だけが出せる全国学生卒業設計コンクール、レモン展。 建築家ではSDレビューなどだ。 どれもが選ばれた優秀な人間が集まり、その後においても優秀な人間だけが注目される世界である。

SDレビュー2019を見学して

noteを始めてみました。 まだまだ試行錯誤です。 僕が生業とする建築のこと 趣味のコーヒーやランニング そして奈良での逗留生活 について共有できればと思います。 さて建築についてです。 SDレビュー2019の京都展を見学してきました。 そのレポートです。 SDレビューって何?という人が大半だと思いますので簡潔に説明すると、現在進行中のプロジェクトを募って、その中から優れたものを選抜する、ちょっと変わった建築のコンクールです。若手建築家の登竜門という位置付けです。

第5章 その後の物語──2004、弦と弧 立石遼太郎

芸術についてのあらゆる解説と議論は、芸術作品を——そしてひろげて言えば、われわれ自身の経験を——われわれにとってもっと実在感のあるものとすることを目ざすべきである。作品と経験の確かな実在感を薄めてしまってはならない。批評の機能は、作品がいかにしてそのものであるかを、いや作品がまさにそのものであることを、明らかにすることであって、作品が何を意味しているかを示すことではない。 スーザン・ソンタグ『反解釈』高橋康也、出淵博、山良君美、海老根宏、河村錠一郎、喜志哲雄訳 ちくま学芸文庫

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「日本にデザインミュージアムをつくろう準備室vol.2」公開ミーティング議事録(前編)

開催日:2019年9月15日(日) 登壇者:色部義昭(グラフィックデザイナー)、林 保太(文化庁 文化経済・国際課 課長補佐) モデレーター:齋藤精一(クリエイティブディレクター) 「みんなでつくるデザインミュージアム」。三宅一生さん、青柳正規さんが2012年に提唱した精神を受け継ぐ「デザインミュージアムをつくろう準備室」の公開会議vol.02。前回の会議では、「アイデアをストックするミュージアムはどうか」「全国の民芸館、資料館などの所蔵品を一気に閲覧できるwebが必要」「