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今まで悔しいなぁっていうこと何度もあったわけです。
これは負けなのか?みたいな。
そういうこと。
なんだそりゃ!っていうこと。

最近になって僕はどうやら負けず嫌いだと気付きました。
遅いなぁ。遅すぎるなあ。
でもほんとうに最近まで気付いていなかったのです。
当たり前に普通にそういうもんだって思っていたのです。
でもどうやら僕はとっても負けるのが嫌いみたいで。

思えば、オセロでも将棋でも麻雀でもスポーツでも喧嘩でも。
とにかく負けたままは許さない人だったと最近になって気付くという。
負けを受け入れない。勝つまでもう一回って言う。
思い出してみれば、ほぼそんな場面だ。
そういう意味では勝ちも負けもない芝居に進んだのは、何かそういうことだったのかみたいな感じがする。
でも芝居でも稽古ではあるんだよなぁ。そういう感じ。
そんな稽古でも誰かがすごい良い芝居をすると、じゃあこっちはこんなのやるわ!みたいな感じだった、多分。
何ならムキになってた。

いつからいつまでなんだろう。
いや、はたからみたら完全なる敗北ってこともあったはずで。
んー。でも学校の勉強とかで勝ち負け考えたことなかったな。
どうなのだろう。
いや、わかんないんだけど、でもやっぱり敗北を真正面から認めたことなんか数えるほどしかないんだろうなって。

敗北を知って男は強くなるとか言うじゃない。
なんか古めかしいけど、言えていると思う。
逆立ちしたって、自分ではどうにもならないことっていうのはある。
そういうときに確かに自分自身に積みあがるものがあると経験してきた。
もしかしたらもっと負けるチャンスがあったのかもなぁなんて思ってさ。

というのも。
映画『演者』に出演してる男ども。あの三兄弟ね。
あいつら、負けず嫌いだよなぁって最近思ったんです。
は?負けてねえし?とかさ。
負けたつもりはねぇよとかさ。
今にみてろよとかさ。
そういえば何度も聞いたなって思って。
ああ、あいつらはなんて負けず嫌いなんだ。
と一人思い出し笑いしていて。
しょうがねぇなぁってクスクスしてたんだけど。
ふと、ん?待てよ。あれ?と思って。

いや、僕ちゃんもなのか?そうなのか?みたいな。

寄る年波には勝てんよ。みたいなこと絶対に言わないもんな。
人のふり見てなんとやらじゃないけど、自分も同じ穴の狢だったという。
思い出し笑いから、そうか、これがそうだったのかという理解に進んだ。
あまりにも遅い。

きちんと負けてこなかった連中で映画創ったのかよ!みたいな。
はははははは。面白いじゃんね。それはそれで。
悔しい時に落ち込むんじゃなくて発奮する連中って愉快だよと。
そしてまだ自分の知らない自分がいたと。
そうか。僕は負けず嫌いだったのかと。
まぁ、負けるのが好きな人なんているわけないしさ。いんだけど。

お客様の中で、ロックな映画だって感想があったけど。
そうか、そうか。
この映画は負けん気で出来ているわけか。
そうか、そうか。

実に高尚な芸術とは程遠い俗物である。
表現の名を借りた負けん気なのだから。
だからどうしたってんだ!!

みっともなくて最高じゃねぇか。
すがるように勝ちにいくのもさ。

映画『演者』

企画 監督 脚本 小野寺隆一
音楽 吉田トオル

「ほんとう」はどちらなんですか?

◆終映◆
2023年3月25日(土)~31日(金)
K'sシネマ (東京・新宿)

2023年4月15日(土)16日(日)
シアターセブン(大阪・十三)

2023年4月15日(土)18日(火)21日(金)
名古屋シネマテーク(愛知・名古屋今池)

出演
藤井菜魚子/河原幸子/広田あきほ
中野圭/織田稚成/金子透
安藤聖/樋口真衣
大多和麦/西本早輝/小野寺隆一

撮影 橋本篤志 照明 鈴木馨悟 録音 高島良太
題字 豊田利晃 絵画 宮大也
スチール 砂田耕希 制作応援 素材提供 佐久間孝
製作・宣伝・配給 うずめき

【あらすじ】
昭和20年春、終戦直前のとある村。嶋田家に嫁いだ3人の女たち。
血の繋がらない義理の三姉妹は男たちが戦時不在の家を守り続けている。

家長であるはずの長男の嫁、智恵は気を病んでいた。
三男の嫁、恵美は義姉を気遣う日々を送っている。
次男の嫁、陽子は智恵がおかしくなったふりをしているのではと疑っていた。

やがて魔物が再び女たちの前に現れる。
世界は反転して、演技は見抜かれる。

投げ銭は全て「演者」映画化計画に使用させていただきます。