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第五話: 300人近い面接希望者と話してこの国を知る

全く面接の準備ができていないのに希望者だけが300人近い事になってしまい、慌てて準備を始める。

他の日系企業さんのアドバイスもあり

面接時に履歴書を書いてもらう

と言う、日本だと考えられない話ではあるのですが、それをやらないとそのワーカーが文字を書けるかどうかわからない。

更に入社後には簡単な計算式をやってもらうと言うのもあって。まぁお分かりですね、算数出来ない人達もいると。

だったので、少し考えて表面は履歴書、裏面が四則演算(+-×÷の2桁から3桁で組み合わせ)で20問。これを15分でやって下さいと。

基本的に考えて15分で全てを埋められる人は居ないと言うか、自分だってこんなの20分は欲しいところではあるものの、あえて15分に設定した。

そもそも、全問解いて履歴書も完璧に書けるような人ならば、そもそもハイスペック過ぎてこの会社に合わないだろうなと。

そんな訳で、面接は事務所で行い、その前の履歴書テストを作業場でやってもらい、流れ作業の様に面接する準備を整えて、リストの面接希望者を上から順番に全員電話してアポを取って、面接開始。

履歴書テストでは、表裏の履歴書テストと、白い紙を1枚。こっちに計算を書いて貰って、それも合わせて提出してもらう。

そうすれば、計算をやった過程が見えるので、どんな考え方なのかも分かりやすいかなと。

最初は一度に5人くらいを一回の面接に充てて、自己紹介をして貰いながら、その子の話し方だったり他の人を待っている態度とかを確認しながら進める。

しかしまぁ、一度に5人なんて半端な数じゃあ捌ききれないので8人に増え、最終的には一度に10人を面接していったと思う。

履歴書テストの時に、自分の名前すら書けないで沈黙している人や、足し算をするのに縦棒を一本ずつ書いて、後から全部数えていたりする人、はたまた計算用紙は白紙なのに何故か答えが書いてある人(まぁ単純に隣の子とか、周りの子の答えを見て書いてるって事)とかもそれで判断できたので良かった。

専門学校とか大学を卒業してますと言って卒業証書とか持ってくる子なのに、計算式が10点以下だったりする子も。

そんな中、計算問題で18点を叩き出し、履歴書もそこそこ必要な事は書いてる(名前、性別、生年月日、住所等)子が出てきた。

面接の時に、

私: 計算式の成績凄い優秀だね。履歴書の学歴部分書いてる途中で時間が来たの?

パイユーン: いいえ。学歴は小学校の途中まで。

私: どうして学校辞めたの?

パイユーン: 両親に私には下に兄弟が沢山いるから、お前は学校を辞めろって言われた。

私: でもめっちゃ成績優秀だったんじゃ無いの?

パイユーン: うん、学校内で1番だった。

割と素っ気なく話すその子はまぁ見た目も可愛い感じだし、学校に居たらリーダー的な立場だったろうなぁと。そんなタイプの子が学校辞めさせられたらそりゃあまぁ・・・グレるよね。

後からティプさんにも確認して貰ったけど、ラオス語の発音だったり、言葉遣いも悪くないと。

後から考えても、このティプさんのアドバイスが一番選考時の基準になっていて、基本的に自分が気に入ったとしても、ティプさんにこの子どう思う?と聞くと、嫌な子だったりすると顔が曇る(笑

ティプさん: う〜ん、この子は・・・普通。

私: 普通の上ですか?真ん中ですか?下ですか?

ティプさん: 普通の

・・・下かなぁ?

ティプさんは面接の時に絶対に相手の事を悪くは言わない。でも、既に決まっているメンバーの中に入って一緒に仕事が出来るかを考えながら話している。彼女だけが私が面接して採用した子では無かったけど、この子を失うとこの会社も危ないと感じられる人材だったなぁと。

パイユーンの話に戻ろう。

ティプさん的には、少し遊んでる子だから気をつけた方が良いとは思うけど、頭はとても良いし問題ないんじゃ無いかと。

そんな訳で、パイユーンを採用。

他にも履歴書テスト満点で元警察官のランさん、工場から40キロ離れた村からやって来たケット、学校の先生の資格は持ってるけど、求人が無くてココを受けに来たメリーさんなどなど・・・

気がつけば新人採用だけで15人になってしまった。合計で20人、オーバーしているのを日本の会社にはいや、もしかしたら急に辞める子も出てくると思うので・・・と、誤魔化して許可を貰う。

まぁ、そもそも採用枠10人で途中で辞める子も含めて15人って話だったんだけどね・・・。


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