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映画『夢みる小学校』から思う社会のハードル

前から見たかった映画『夢みる小学校』を見てきました。和歌山をはじめとした全国5カ所にある『きのくに子どもの村学園』、中でも山梨の南アルプスにある学校を舞台にしたドキュメンタリーです。


その子が、その子のままでいられる場所

あなたの小学校生活は、楽しいものでしたか?

わたしはどうだったかなぁ。先生の顔色を見たり、クラスの空気を読んだり、いま思っても理不尽なことで怒られたり…そんな思い出ばかりなので、あんまり楽しんでなかったのかもしれません。

この映画に出てくる子ども達は、みんな本当にいい顔をしていました。大人からやらされて取り組んでいるのではなく、自分が選んでみんなで考えた学びだからだと思います。どうやったら美味しいお蕎麦ができるか、修学旅行はどこに行くか、行事をどう進行するか…。大人も子供も同じ1票を持って話し合って決めていくスタイルで、先生の意見が通らないという場面もありました。子どもも自分たちがその場の当事者であることをちゃんと分かってる様子がとても頼もしかったです。

「自由には責任が伴うというのは、この学校ではタブーです。責任は大人が取るから、自由にやっていいよということです」堀学園長のこの言葉が全てを表していると思います。

オランダ、フィンランドに通じるものを感じる

教育先進国としてよく名前があがるオランダやフィンランド。視察に行った方のお話を何度か伺ったことがありまして、もしかしたら目指してる方向が似てるのかもしれないなーと感じました。映画の中の子ども達の自由さ、プロジェクト学習への取り組みなど、通じるものがあると思います。

たぶん、学園自体はオリジナルの方針で運営されてるんだと思うんですね。〇〇式などどこかを真似しているのではなくて。良い教育をやろうとすると根本的には同じ方へ向かうので、そういう意味で似てるのかなと。

そういう目線でみると、この教育は最先端です。と同時に、根本的で本質的。子どもを一人の人間として尊重しましょうということです。こんな時、人間を幸せにする学びとは実はとてもシンプルなんじゃないかなと思います。いま当たり前にある教育の方が何か無理をしてるんじゃないかなって。

オランダやフィンランドを思い浮かべながら、いま我が家がお世話になっている保育園のことも考えました。たぶんこっちとも似てるんだろうぁ、いまの保育園からこういう小学校に行ったらスムーズだろうなぁ…と。

彼らのこれからのハードルが少なくなりますように

こういう従来の学校と比べて制約の少ない学校の話題には、大抵の場合「ちゃんとした大人になるのか心配」というコメントがつきます。

こういう意見の方とは”ちゃんとした大人”の定義が合っていないのでしょうね…。それはそれで仕方ないです。私は、こういう学びをした子供たちはとても魅力的な大人になると思います。一緒に仕事したら楽しいだろうなぁ。

〇〇大学以上じゃないと、体育会系じゃないと、意見を言う人より黙って従う人じゃないと…そんな社会がもっともっと小さくなると良いな。ああいう学びで育った子たちの力がそのまま伸び伸びと発揮される社会が、もっと広くなって欲しいです。

あー、そのために大人のわたしは何ができるだろう。
彼らが伸び伸びと生きられる社会の拡大に貢献したいなぁ。そしてもっともっと多くの人が後に続きやすい環境にしたいなぁ。

あのキラキラした子どもたちが10年後に社会で働くとき、彼らの良いところをしっかり受け止めてあげる社会であって欲しいと願ってやみません。

でもきっとだいじょうぶ

ここまで書いて一回公開したんですけど、一晩寝たらひらめいたので追記します。

ここまでのテキストは私が見ている「社会」での話。たぶんあの子たちは私が知っているよりもっと広い社会、別の社会にも行けるでしょう。そこでは彼らのような人はたくさんの人に愛されてぐいぐいと進んでいけるはず。

そう思わせてくれるだけのパワーがあの子たちにはありました。うん、大丈夫だ。

わたしも、きのくにの子ども達が歓迎されて輝くような社会で生きていたいな。そういう社会の大人になりたいなぁ。


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