見出し画像

空港に行くと、ふと思い出してしまう人。


空港にいくと、飛行機に乗ると、思い出してしまう人がいる。

数年前、大学時代にお付き合いしていた人が、空港の職員、飛行機を地上から飛ばすグランドハンドリングという職に就いていた。(離陸の時に飛行機に手を振ってくれる人、といえばわかるはず)

彼とはお互い学生時代に出会い、彼の就職が関東の空港だったため少しの遠距離恋愛も経験した。大学生なりに夜行バスの運賃とにらめっこしたり、バイトを頑張って新幹線で行ったり彼がこっちに来てくれたり。新鮮さを求めて文通をしてみたり、東京駅の八重洲バスターミナルで泣いてみたり、と今思うと我ながら甘酸っぱい ザ ・遠距離ライフを送っていたと思う。しかし、遠距離という壁に加え、国際空港だったため変則勤務が多く、連絡もままならず逢瀬を重ねることも難しく、他様々な理由でお別れという形になってしまった。

当時の私は半同棲のような生活をして、趣味は彼氏といわんばかりの大学生だったので、なかなか引きずった。悔しかった。たくさん泣いた。
周りの友人たちの助けもあり、色々なことを楽しんだり、自分の時間をもったりした。すると時が経つにつれてどうでも良くなり、だんだんと良い思い出になっていった。

そこから私は彼でいっぱいだった頃には、やりたくても踏み出せないでいた旅にハマりだした。東南アジアバックパッカー 、短期留学。あのまま彼と付き合っていたら知らなかったかもしれない景色たち。

私は今の私の人生が好き。でも価値観も感情もすべて、あの頃はあの頃で楽しかったし、過去の自分があって築かれたもの。感謝はしてるけど、今は後悔は微塵もない。

でも、空港にいくと学生の時彼が荷物の積み方の勉強をしていたこと、荷物を運ぶための大型特殊の免許をとりにいっていたこと、空港のコードを覚えていたこと、早朝便や深夜便の大変さを愚痴っていたこと、葉加瀬太郎のANAのテーマソング。仕事終わりの彼をキラキラの展望デッキで待ってこと、空港を案内してもらったこと。
そういえばそうだったなぁ、とふと当時の彼を思い出すと、ちょっと笑えてくる。

そういえばお別れする時、最後に「いつか俺の飛ばした飛行機に乗ってもらえる時が来るといいな」って言ってたな。

懐かしい気持ちに浸りながら、どこかで元気にやっててくれ!!!!と飛行機を送り出してくれるグランドハンドリングのスタッフに必ず手をふり返す。

なんだか応援されているような気持ちになる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?