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怪談奇談

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御前田次郎が書いた怪談および不思議な話をまとめています。ほとんどが創作ですが、実際にあった事象が紛れ込んでいるかもしれません。
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記事一覧

抜きますか

 田中さんという五十代の男性の話である。  彼は一年前に今の職場に転職した。人間関係はお…

御前田次郎
1か月前
4

いきる

 そいつが姿を見せるようになったのは三ヶ月ほど前だろうか。ワンルームの我が家、仕事の帰り…

御前田次郎
2か月前
4

押したのは誰

 三十代の男性、渡辺さんの友人の話。その友人、気功や古武術などの東洋の身体技法に興味があ…

御前田次郎
2か月前
9

夢で感じた重み

 夢を見ている時、人は身体的な実感をどれくらい感じるのだろうか。脳内で起きているだけだか…

御前田次郎
5か月前
1

コーヒー豆の怪

 私は無類のコーヒー好きで、豆を自分で挽くのは勿論のこと、休日は生豆を買い出しに行って自…

御前田次郎
5か月前
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母に会えたら

 私には霊感がないらしい。そもそも霊感の厳密な定義など分かっていないのだが、霊を見たこと…

御前田次郎
6か月前
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クリスマスね

 年の瀬も迫った冬の夜、彼女と近所の公園を歩いていた。人もあまり通らない小さな公園にもかかわらず木々が青白くライトアップされている。こんなの税金の無駄遣いだよなと思いながらも枝の形に広がる冷たい光を見上げていた。彼女は俯いて歩いている。さっきからずっと俯いている。すると突然、 「××××ね」  彼女が俯いたまま何かを囁いた。 「クリスマスね」  おそらくそう言ったのだろう。何をあたり前のことを、街中クリスマスムードなのに今さら気づいたのかと思ったが 「そうだね、クリスマスだね

会議卓は踊る

 この話は友人のHから聞いた話であるが、90パーセント嘘ではないかと私は思っている。なぜ…

御前田次郎
8か月前
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短編小説「半身」

「下半身を一晩お貸ししてもいいわ」と娘は言った。小さな声が夜更たマンションの一室に響いた…

河崎 卓也
1年前
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告ックリさん

 これは、ある二十代の男性――名を優斗さんとしよう――彼が小学六年生の時の話である。  …

御前田次郎
10か月前
8

虫の命

 三十代の主婦A子さんは、とある動物愛護団体に所属している。そういった団体は数多あるが、…

御前田次郎
11か月前
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私がメーテルになった日

 友人のSは古くからの松本零士ファンである。彼の部屋に遊びに行くとコミックが全巻ずらりと…

御前田次郎
11か月前
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引っ越し

 雅江の部屋がいわく付きの物件であることを知ったのは彼女が入居して三ヶ月経った頃だった。…

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