08:14年分を凝縮した様な1年

※登場人物は全て仮名です。また一部詳細を変えています。

年が明け2022年。

途切れずに遊ぼうよ!の言葉の通りになった。

正月から毎月、エミちゃんとプライベートで遊ぶようになった。

そうすると不思議なもので、プライベート以外でも顔を合わせる機会が増えた。

更に、毎月一緒に出掛ける回数もどんどん増えて行った。

出会ってから14年間の空白が嘘の様な距離の縮まり方だった。

共通の趣味であるイベントに一緒に行き、食事に行き、飲みに行き。

春くらいから、エミちゃんが誘ってくれて、とあるタレントさん主催のイベントに毎月一緒に行くようになった。

夏にはオレが誘って一緒にバーベキューに行った。
イベントとして開催されたものだったが、開放的で雰囲気も良く、大変に盛り上がった。

エミちゃんはその帰り際に「私、結婚が早かったから、こういう青春っぽい遊び方をしたの初めてなんだ。凄い楽しかった」と言った。

その頃から、良く顔を合わせ、良く一緒に飲んだりする仲間内では、オレとエミちゃんの距離が急に縮まり出したのを感じて、気を使ってくれる様になった。

とある飲み会でオレが遅れて参加した事があった。
エミちゃんは奥の方で、友達のひとりであるクボさんの隣に座っていたが、クボさんに小声で何かを断って、一番入口側の席に座ったオレの向かいの席に移動してきてくれたのだ。

以来、クボさんを中心に気を使ってくれるようになり、大人数の飲み会でもオレとエミちゃん席が隣になる様にしてくれたり、エミちゃんが遅れてくる時はオレに、今日はエミちゃんが来るのかを確認して、隣の席を空席にしておいてくれたりして、一緒に参加する飲み会のほとんどを、定期的にクボさんの家で開催していた宅飲みに至るまで、オレの隣がエミちゃんの定位置になっていった。

仲間内では、ひょっとしたら、あの二人は友達以上、という見方があったのかも知れないし、この一連の流れでそういう見方になっていったのかも知れない。

たまたま1人で行ったイベントでは、イベント会場で会った人に『今日はエミちゃん一緒じゃないの?』と聞かれる程、本当にいつも一緒にいるというイメージが周りにでき始めてた様だった。

別の機会に別の人を経由して知り合い、当日会って以降はSNSで何となく繋がっているだけ…その人がエミちゃんとも繋がってた事すら知らなかった…程度の希薄な関係だった女性からも、エミちゃんが亡くなってから「この1年のおふたりの親密さ、お互いが特別な存在だという事は、SNSの写真を通じて感じてました。いっつも隣にいるなぁって微笑ましい気持ちで見てました」と言われたりもした。

また、初めましての人でも全く人見知りせず、気さくに接するエミちゃんの周りにはどんどん人が集まってくる、そんな姿も目の当たりにした。

必然的に、その隣にいる事が増えたオレともみんな仲良くしてくれた。

そして、"年賀状替わりのメッセージ交換"の機会だったお互いの誕生日を、とうとう一緒に過ごす事になった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?