“ドラゴン桜” 桜木先生の名言を教育学的・心理学的な視点から考察する “受験に一番必要な〇〇力”
今話題沸騰中の“ドラゴン桜”。その登場人物である桜木先生の発言には、説得力のあるものが多いですね。説得力のあるものには、たいてい学術的な根拠があります。そこで今回も、桜木先生の名言を教育学的・心理学的な視点から勝手に考察していきたいと思います。
第7話は、「東大に合格する見込みのないものは、東大専科をやめてもらう。」という衝撃的な発言から始まりました。この真意はいったいなんだったのか。後のあの名言で、全てが明らかになります。それでは早速紹介していきます。
東大受験に一番重要なもの それは『◯◯力』
思うように模試の結果が出ずに落ち込む生徒に対して、桜木先生は「この模試の結果を受けて、お前らは東大を受けるのをやめようと思うか?」と尋ねます。その問いに対して生徒たちは「そんなこと思わない。」と、受験に対してやり抜く姿勢を見せました。そこで桜木先生は、次のように話します。
「この結果と向き合って、それでもなお東大に行きたいと思える人間なら、東大合格の見込みがある。」
この言葉から、桜木先生が東大受験で最も重要視している力は、『グリット力(やり抜く力)』であると考えられます。この『グリット力(やり抜く力)』が、近年教育界で大きな注目を浴びているんです。なぜ『グリット力(やり抜く力)』が求められているのか。桜木先生はその理由を分かりやすく話してくれています。
ブレイクスルーの瞬間を目指して
なぜ『グリット力(やり抜く力)』が大切なのか。それを桜木先生は、飛行機に例えて話しています。
「勉強というものは飛行機と同じなんだ。飛行機は飛ぶために滑走路を走らなければならないだろ?走って走って浮力が溜まり、ふわっと浮き上がるとあっという間に上昇していく。お前らもいつか、必ず上昇する時が来る。勝負はここからだ。」
桜木先生が話した飛行機の例え話は、「ブレイクスルー思考」という思考法に基づいています。図に示すように、人は努力した分の成果が現れることを期待します。しかし、実際はそうではないんです。実際の「成長曲線」は、最初はほとんど伸びません。そして、努力しても思わぬように成果が出ない時に挫折を経験します。しかし、それでも努力し続けた人にのみ、急激な成長が訪れます。この急成長をする瞬間を「ブレイクスルーポイント」と言います。桜木先生の言う「飛行機が上昇する時」というのは、この「ブレイクスルーポイント」のことなんですね。この急成長を経験する前に、多くの人は努力することをやめてしまいます。しかし、受験を成功させるためには、このブレイクスルーの瞬間まで努力を続け、急成長をする必要があります。そのため桜木先生は『グリット力(やり抜く力)』を重要な力として捉えているんですね。
「では、『グリット力(やり抜く力)』はどのように高めることができるのか?」そんな疑問に答えるために、来週は【『グリット力(やり抜く力)』を高めるために】というテーマでお話をしたいと思います。
今回の内容はここまでです。最後まで読んでくださった方はありがとうございました。今回の記事が、教育に携わる方のお役に立てれば幸いです。
参考文献
「ブレイクスルー思考」飯田史彦 2002
「GRITやり抜く力」アンジェラ・ダックワース 2016