気候変動時代のお庭づくり夏の異常気象を乗り切る「事前対策」
「危険な暑さ」の夏のお庭づくり
じっくり備えたい事前の対策
家庭のガーデニングは環境保全の第一歩!ということで、前回は異常気象時代の厳しい夏を乗り超える応急的なお庭のアイデアについて綴りました。けれども、人にとっても植物にとっても危険な暑さの今、できることは限られています。そこで今回は、暑さが落ち着いてくる秋以降から次の猛暑へじっくりと備える「事前対策」について考えてみたいと思います。自分でできることもあれば、専門業者の手を借りた方がいいこともあるかもしれません。日に日に過ごしやすくなる秋はお庭づくりの計画に持ってこいのタイミングでもあります。夏から秋、冬、そして春の準備、さらに次の猛暑へ。今からできる事前の対策を少しずつでも進められたらいいですね。
夏の異常気象から植物を守る
お庭づくりの事前対策
断続的な大雨、ゲリラ雷雨やその直後の高温・日照りなどに対応するためのお庭づくりの具体策を挙げてみます。
①あらかじめ水勾配をつけておく
敷地内に水が溜まらないように予め地面に傾斜をつけ、外への水の逃げ道を計画しておきます。雨が浸透しないコンクリート、タイルや人工芝を敷く場合などには特に十分な配慮が必要で排水桝(はいすいます)を設置することもあります。日ごろから地面の透水性や水の溜まり方を意識することが第一歩です。
②植栽スペースに囲いや高さを設ける
植栽スペースをレンガなどで縁取れば、植栽の仕切りやデザインとなったり、降雨による土の流出も防ぎます。さらに、レンガやブロック、木材などで囲った花だん(レイズドベッド)のように地面よりある程度高さを設けることで手入れもしやすくなり、風通しを良くする効果も期待できます。また長雨や直射日光などを避け、移動が可能なコンテナや植木鉢での栽培も選択できます。
③健康な土壌づくりをしておく
高温や豪雨などで植物は根腐れを起こしやすくなります。土壌の透水性、通気性の良さが鍵となるため、常々健康な土づくりを心がけたいものです。ふんわりとした理想の土壌とは、ショベルやフォークがサクッと入り、空気をよく含み、雨水も浸透しやすいなど、根が新鮮な空気や水分・養分を取り込みやすい状態です。また、微生物のはたらきも手伝い、土壌のすきまを地下深くまで水が染みわたる〈団粒構造/だんりゅうこうぞう〉になっています。地植えでは春先や秋に地面を軽く耕すことで通気性を良くし、必要に応じて前回紹介したような腐植質や透水性を改善する土壌改良材を利用します。鉢植えでは2~3年ごとに植替えをして、水はけや通気性を改善します。
④土壌の表面を覆う(マルチング)
マルチングは雑草対策だけでなく、植物の株元を覆うことで雨による土壌の流出や跳ね返りを軽減し、根や葉の健康を守ります。また、土壌の水分の蒸発を和らげたり、温度を調整・安定化する役割も。費用もかかるため、資材は植物性で土に還るものがおすすめ。腐葉土、バーク堆肥などを選べば次のシーズンにそのまま土に漉き込み微生物の活動を促進する土壌改良剤としても再利用することができます。
⑤グランドカバープランツを利用する
地面を覆うように成長する地被植物(ちひしょくぶつ)は雑草対策、また土壌の流出や周囲への土の跳ね返りも和らげます。また、土壌の保水や温度調整などの役割も担います。ただし、放っておくと虫がついたり、見た目もだらしなくなるため、定期的な切り戻しや、時には間引きも必要です。根の勢いが強い種類は他の植物の成長を邪魔することもあるためバランスを考える必要もあります。
⑥風や日差しを調節する環境を育てる
草花のほかに中低木があることで、日差しや風雨の影響を和らげることができます。夏には木陰をつくり冬には光を取り込む落葉樹は南側に。寒風から住まいを守る常緑樹は北側に。などと立地条件や住まいに合わせた樹木の選びもお庭の機能としてとても重要です。剪定などの定期的なお手入れは必要ですが樹木のもたらす効果は大きいです。樹木を植える際は根が張るまでは突発的な強風に備えるため添え木も欠かせません。
小さなお庭こそ
環境活動の最前線
気温35度超えの屋外は立っているだけで息苦しく、影のない場所での長時間作業は危険すらも感じます。それでも、汗だくで逃げ込む木陰は驚くほど快適で、エアコンの冷風とは違うやさしい風を感じると、心も休まり疲れも癒えるよう。こんなに贅沢な夏のお庭の心地よさや自然の持つ効果を体感せずに過ごすのはもったいない、と思うほどです。最近では人工的なもので覆ったり囲ったりすることがあまりにも増えてしまいましたが、猛暑の日中をさまざまな場所で過ごしてみると、自然の素材を活かして住まいを取り囲む方法が一番理にかなっているなと実感します。外出自体も敬遠されがちな状況ではありますが、夏のお庭での思い出を持つことは草の根の環境活動にちがいありません。緑と寄り添うくらしを理想に描き、試行錯誤しながら異常気象の夏を乗り越えようとするお庭が増えることは、環境にとってもよい効果をもたらすのではないでしょうか。
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