シェア
大西羊
2020年11月7日 22:13
消防署があった。それは、すごおく大きな消防署にみえる。かれは「いや」と思う。「まえの町もこんなじゃなかったっけな?」と、思う。右手にずっしりとした石造りの門があり、左手にシャッターと、そのガレージがある。ガレージはとても広い。かれは門のほうへ、ちょこっと首を伸ばしてみる。さっぱりとひらけた砂地があり、左奥にクリアな自動ドアがみえる。 砂地では男たちがひまをしてみえる。じっと、目を凝らしてみ